警官の血〈上〉 (新潮文庫)

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著者 : 佐々木譲
  • 新潮社 (2009年12月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101223223

警官の血〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 書き手の懐の深さみたいなのがもうバンバン
    来ます。いやジャンジャンかな。ギャンギャンか?
    もういっそ来ないです。おもそろかったです。

  • 昭和23年から平成12年まで52年間警官3代に渡る大河ミステリー小説。帝銀事件の日、清二が警察官募集の広告を妻に見せる導入部が良い。戦後の混乱の中で、清二の希望に満ちた警察官としての第1歩の様子と、3人の同僚との出会いの場面は秀逸。妻と清二のやり取りも心地よい。
    上巻は、清二が上野警察署に配属され、手柄を立て希望していた谷中の駐在所勤務となり、五重塔火災の夜の遭難から、息子民雄の警官としてのスタートを描く。浮浪者、男娼、ヒロポン、原田先生という怪しげな浮浪者のリーダー等、昭和20年代の風俗の描写が詳しく、生き生きとしている。
    ミステリーとしてはふたつの殺人事件が中心となっているが、この小説の面白さは戦後の警察の機構と警官の意識がどのように変化してゆくかである。ジャカルタから成田への夜行便の中で一気に上巻を読んでしまった。

  • 清二、民雄、和也の親子3代に渡って描かれる物語。

    戦後の民主警察の黎明期に警視庁に採用された清二。
    ある事件を追うなか、突如として・・・

    民雄が公安警察で潜入捜査する場面も、
    とてもスリリングで、読んでいるこちらがドキドキしてしまう。

    続きが気になる作品。

  • 舞台は終戦直後の東京。定職を探してみつけた『警官募集』広告で
    主人公:安城清二は警視庁警察官採用試験を受ける。

    昭和初期の警察官から入り昭和後期、平成と
    父、息子、孫と三代続く警官の御話。

    歴史に忠実にそった内容で
    非常に興味深い内容になってます。

    上巻で出てくる歴史的な事件時系列は
    父親:清二(駐在警官)の時に
    上野公園不法滞在者強制退去代執行、
    御徒町親善マーケット(アメ横)手入れ、
    谷中:天王寺五重塔放火心中事件、

    父はこの五重塔火災の夜近くの
    線路で不審な死をとげます。


    息子:民雄(公安部出向、潜入捜査員)の時に
    共産同赤軍派大菩薩峠事件

    本庁公安エリートコースを辞退し
    本来希望していた念願の駐在警官になった
    息子の話は下巻に続き、
    父:清二の自殺とされた不審死に
    民雄は単独捜査を始める。

  • 上下巻読んでの感想
    安城清二、民雄、和也。三代に渡り警察官として生きた男たちの物語である。
    終戦直後に警察官採用試験を受けた清二は、警察練習所で同期だった三人と共に警察官になる。
    それぞれに将来に向けた希望はあったけれど、清二の希望は駐在所勤務だった。
    やがて希望通りに天王寺駐在所に配属された清二だったが、ある日突然に謎の死を遂げる。
    万引常習犯の少年と父親との場面が印象に残っている。
    警察官でもあり父でもある清二。
    民雄にとっても印象に残る出来事だったのだろう。
    父として警察官として清二を尊敬していた民雄だからこそ、突然の清二の死が納得できなかったのだ。
    いつか事実を突き止めたい。
    それは自然な思いだったように思う。
    公安というと後ろ暗いイメージが付きまとう。
    組織だった左翼運動は次第に暴力化し、民雄が任官した頃は公安の果たす役割もいまよりは大きかったのかもしれない。
    仕事なのだから。そう納得はしていても、神経が擦り減っていくのはどうにも出来なかったのだろう。
    学生運動では多くの犠牲者が出たという。
    命を失った者も、その後の人生が変わってしまった者もいた。
    民雄もまた、その多くの犠牲者のひとりなんだと思う。
    PTSDなんて子どもだった和也にわかるはずもない。
    警察官なのに、家では母親に暴力をふるう父親。
    父親への反発もあったのだろう。成長し同じ警察官になって、あらためて父親が理解できた部分もあっただろう。
    父親としてはけっして立派な父親ではなかったけれど、警察官としては誇れるような父親だったと和也は思っていたはずだ。
    事実を突きつけられたときの和也の対応が、三代にわたる警察官の血を感じさせた。
    したたかであるけれど、間違ったことはしていない。
    父である民雄ほど弱くもなく、祖父である清二ほど純粋でもない。
    利用できるものは利用し、したたかに組織の中で生きていく。
    それが和也の選んだ道なんだろう。
    読んでいて長さをまったく感じなかった。
    それぞれの時代を感じさせるように、物語の中に流れている当時の空気感がいい。
    重厚さも、構成の巧みさも、人間描写も、細かな設定も。
    すべてが面白く、すべてを楽しむことができた。
    犯人は途中で「この人怪しい」と思った人物だった。
    やっぱり・・・とは思ったけれど、ガッカリはしなかった。
    犯人当ての物語ではないし、そこにはあまり重要性は感じずに読んでいたからかも。
    読みごたえは十分!!

  • 「警官の条件」を先に読んでしまったので楽しめるか少し心配だった。安城家は三世代に渡って優秀な警察官だったのか…。しかし、だからこその悲劇に見舞われるという皮肉。上巻は淡々と進む。下巻に期待。

  • 祖父・父・そして息子と
    3代に渡り警察官となり
    1つの事件を追い求める。
    そんな話である。

    と有る事件が柱であるが
    その事件だけでは無く
    その時代の主人公を中心とした
    人生が書かれている点で
    戦後段々人々が
    裕福になるそんな
    移り変わる時代背景も
    一緒に読むことが出来る。
    確かにスケールの大きな
    読み応えのある本である。

    「上」は祖父と父の人生の途中まで・・・
    現在「下」のいよいよという所まで来ている。

    勿論未だ犯人の予想も立っていない。

  • 警察官の血、まさに。面白かったです。

  • 親子3代に渡る、警官の物語。
    戦後すぐの焼け落ちた日本から、高度経済成長を経て、成熟社会と移りかわっていく、社会派ドラマとしても楽しむことができた。

    タイトルにある、警官の血、とはなんなのか。

    警官=「正義の人」であるべき、と世の中は当然期待をしているだろう。悪に対して敢然と立ち向かう、それこそが警官の本分であり、警官の血であると。

    ただし忘れてはならないことは、
    警官もまた「唯の人」である、ということである。1人1人の性格があり、価値観があり、生い立ちがあり。そして、家族があり、恋人があり、それ故の苦悩もある。葛藤もある。

    警官の血、とは、唯の人の血、でもあるのだ。
    警官の血、とは、「警官」という職業への誇りや憧れや夢を描きながらも、その一方でこの職業が放つ独特の「粘着質な匂い」に、好む/好まざるとにかかわらず惹きつけられた、その「血」を持つ、3人の血族の話である。

  • 親子二代にわたる作品です。二代目の民雄には、感情移入しづらかったですが、ストーリーの壮大さは圧倒されます。なぜなら、まだ上巻。戦後の時代背景が伝わってくる描写も読み応え十分です。

  • 内容に関しては下巻の方に記したので,そちらを参照されたい。

  • 三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
    2007年、日本冒険小説協会大賞を受賞。直木賞にノミネートされ、2008年版の「このミステリーがすごい!」では第1位になった。途中まですごく良かったけど、下巻で失速。種明かし的な展開にがっかり、孫の恋愛も後味悪いなぁ。

  • およそ60年間、警察官三代の人生を追った壮大な物語。その上巻、清二・民雄編になる。
    北海道警察シリーズなど佐々木さんの作品は読んできたけど、これも含め共通して言えるのはストーリー完成度の抜群の高さ。素晴らしいと思う。
    この作品は東京下町が舞台で、馴染みある地名がたくさん出てきて個人的にはそこも楽しめた点。
    ここまで読んだ限り、物語はどんな展開を迎えるのか全く予想がつかない。下巻へ続く。

  • 駐在として真っ直ぐ勤めている最中に殉職した父の背中を追って警察官になった息子は、公安の潜入捜査官としてのストレスに精神を病むが、ついに夢であった父と同じ駐在所勤務となった。

    ここまで特に劇的な展開もなく、淡々と物語が進行しています。

  • 第一部は退屈、第二部は面白い。

    <第一部 清二>
    戦後の無秩序な状態から、徐々に近代化していく日本で警察官になる至って普通の人の物語。

    語り口や、当時の情景描写はいいのですが、たいした事件も起きず、ちょっとダレました。
    まー導入部分なので仕方ないのですが…

    第一部だけいうと、退屈な物語です。

    <第二部 民雄>
    清二が謎の死を遂げる。

    息子の民雄は、大学を諦め警察官になるが、警察から大学を受験し、左翼の情報を探れと命令される。

    公安のスパイとして成果を挙げつつも、虚偽の生活に精神が蝕まれていく…

    左翼の活動や、公安という、あまり知らない世界の話が結構面白い。


    父親の死の真相は…?
    民雄の精神状態はどうなるのか?

    やっと面白くなってきました。
    もう一波乱あることを期待して、次巻へ

  • 最初の話が一番好き。だからこそ、その死が三代に渡って影響を与えることに無理がないのかも。こっちも気になるからね!重厚な読み応え&情報量だけど、無理なく読み進められるのはさすが。

  • 作者の作品はエトロフとか戦時もの以降、読む機会を失っていたので、警察ものとして初読。作者本人も書いているように、警察署長の様な警察大河小説。

  • 警官の条件を先に読んでしまい、なぜ和也が父を意識し過ぎるのかわからなかったが、読み終えて納得。
    これは和也の祖父の話から始まる、
    壮大な親子三代の物語。
    戦後すぐの混沌とした時代に、柔軟で機転がきき、頼られ息子も憧れるような警察官だった祖父の清二。とくに工藤親子との対峙シーンは胸熱だ。
    と、突然に、謎を遺したまま亡くなったあとは、その息子の民雄の話が続く。

    クールで秀才な民雄に想像は膨らみ、潜入捜査シーンなど、公安、カッケー!で読み進めた自分を恥じる、、、公安とは人をこんなにも変える。

    読み終えて今、全体を、清二の遺した謎が包む。
    明日下巻読むの楽しみ過ぎます。
    久々に一気読みしました。眠い(z_z)

  • 2014.6.16 〜 25 読了
    三世代に渡る警察官を戦後から現代までの時代を背景にして描いている。各時代の事件、事故を通じて社会世相が想いだされる構成がよい。三世代を通して持ち続ける疑惑、祖父と父の本当の死因が最後に明らかにされる構成も巧み。

  • 三代に渡る物語。
    一気に読めます。

  • 昭和23年組 時代背景 変わりゆく世の中がよく伝わって来ます。先の展開が楽しみです。

  • 2014.04.03 最初、進まず何回か積読だっが、民雄の項からスピード感が出て面白くなってきた。下巻が楽しみです。

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昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。

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