菊次郎とさき (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101225241

感想・レビュー・書評

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  • フィクションと書かれているが、ノンフィクションのように感じる。リアルに感じて泣ける。

  • 軽い調子で書いてるけど、酒乱で暴力を振るう父とそんな父を嫌う毒舌の母。そんな美談になるような話ではないのでは……?
    そう思って読んでいたのだけれど、後半に差し掛かったところにあるこの一節で、あぁやっぱりなんか美しい本だなと。

    "でも、最近ふと、オヤジはよくおいらに笑いかけてあたような気がすることがある。声をかけてもらった記憶はほとんどない。でも、ニヤッと笑ったオヤジの顔ならいくつも思い浮かべることがでる。(中略)
    ようやくおいらも、五十歳を過ぎてオヤジを許せる大人になったのだろうか。"

    ビートたけしという人は、ろくでもない人間のどこか愛せる部分を感じられる人で、そこが魅力なんだろうなぁ。

    お兄さんの大さんによる最後の章が、冷静で愛があっていいんだけど、そこにもお父さんとの関係について書いてある。

    "武の映画のには、弱くて情けなくて、だけど優しい人間がたくさん出てくる。(中略)
    武だけは、オヤジを非常に魅力的な存在として見ていたのかもしれません。"

    弱さや情けなさ、辛いことのなかに、魅力や滑稽さを見出す。
    それが表現者であり、コメディアンなんだろうな。
    お兄さんの章の最後の言葉は、愛をもってわかりやすく、そのすごさを語っている。

    "あんなにつらかったペンキ塗りの思い出や、貧乏で欲しいものもロクに買ってもらえなかった子供時代だって、武は笑って語ってみせる。"

    "彼には表現者としての才能があった。苦しいことを苦しいとしか言えず、やりたいことがあっても、きっとダメだろうとくちにも出せなかった私に比べて、だけど武にはそれを見事に克服してしまう力量があったんです。"

    ビートたけしってすごいんだなって本なんだけど、主に最後のお兄さんの書いた章が心に響いた、不思議な本でした。
    oasisのギャラガー兄弟の長男が、バンドで大成した弟たちについて書いた『ギャラガー・ブラザーズ』を少し思い出した。

  • 子供は親次第。環境がものを言うんだろう。作者の家庭に限らずどこの家庭も知識は母、性格は父譲りみたいな気がします。

  • 稀代の毒舌家ビートたけしも母親の愛には毒づけなかったみたい。

  • 【苦しいことを苦しいとしか言えず、やりたいことがあっても、きっとダメだろうと口にも出さなかった私に比べて、武にはそれを見事に克服してしまう力量があったんです。】

    上の言葉、後ろの方にあるお兄さんの言葉。
    小説自体はテンポが良くてとても読みやすい。
    やはり父と母の影響は大きいのだなぁと実感

  • むかし、新潮文庫夏の100冊に入ってましたよね??
    買ってから何年もほったらかしにしてたくせに、1時間で読めてしまった。

    さきさんがお亡くなりになったのはちょうど10年前なんですね。しみじみ。
    ドキッとしてプッと笑えてちょっとホロリ。メリーゴーランドに乗ってるような気分です。素直に感動してしまいました。
    リリーフランキーの東京タワーにしろ、この本にしろ、バカ息子のお涙頂戴話に不覚にもホロリしてしまうのは、やっぱり母の愛が偉大だからだ!

    09.07.22

  • 主人の実家の本棚にあったので、借りて読みました。

    いくつになっても、母親は母親のまま。
    どんなに有名な人でも母親には頭が上がらないのだなぁ。

    ホロッときて、義母にも優しい気持ちになりました。

  • 元気になれます。

  • ドラマ好きだったけん買った!
    やっぱり泣けます。
    お母さんすき・・

  • ビートたけし。

著者プロフィール

1947年東京都足立区生まれ。浅草フランス座で芸人としてデビュー後、1972年に漫才コンビ「ツービート」を結成、人間の「建前と本音」「理想と現実」との落差を舌鋒鋭く突きまくる芸風で漫才ブームの牽引役となる。テレビに進出後、『オレたちひょうきん族』『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』などの人気番組を次々と手掛ける。映画監督としても『その男、凶暴につき』『ソナチネ』『HANA-BI』などの話題作を多数世に送り出す。2016年にレジオン・ドヌール勲章、2018年には旭日小綬章を受章。近年は小説執筆にも力を入れている。著書に『弔辞』(講談社)、『不良』(集英社)、『浅草迄』(河出書房新社)など。

「2022年 『浅草キッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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