ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101228013

感想・レビュー・書評

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  • 「世界の小澤」の称号とお顔くらいは知っているものの、どんな方なのか人となりはほとんど知らなかった。この本を読むと、小澤征爾という指揮者がどのように成功していったか、その破天荒ぶり、ざっくばらんな性格、いかに才能があり、音楽仲間や聴衆に愛されているかがよくわかる。
    回想録のわりには妙に現在進行形だなと思ったら、本書が書かれたのは身一つで日本を飛び出してから、やがて指揮者として認められ、ニューヨーク・フィルの副指揮者として日本に凱旋するまでのほんの数年間を直後に振り返ってまとめたものだった。
    文章はお世辞にもうまいとは言えないけれど、その時々に何を感じたかが生き生きと素直な言葉で綴られている。
    その当時ならではの偏見も多分に混ざっているが、各国の特徴を音楽を通して捉えているのが面白かった。
    バーンスタインの楽曲が大好きなのだが、指揮者だったとは知らなかった。

  • 小澤征爾が、スクーターでヨーロッパ一人旅に向かったのは24歳。勢いのある文章。こちらまで何かに挑戦したくなる。初心を忘れず、ただ良いものを作りたいと、したいと、思える何かが、好きだから続けられる、それが天職なんだろうな。

  • 「世界のオザワ」こと指揮者の小澤征爾氏の若き日の海外での音楽修行を中心としたエッセイ。
    60年近く前に書かれたもので、24歳からの約2年の、パリ、ドイツ、アメリカなど、滞在先の生活がユーモアたっぷりで描かれている。

    指揮者コンクールのことも書かれていて、興味深かった。
    パリではブザンソン指揮者コンクールで優勝。
    そのあとのボストンのコンクールでも優勝。
    指揮者のコンクールについてあまり知らなかったんだけど、最近Netflixで見た「のだめカンタービレ」でも千秋先輩のコンクールの場面を見ていたので、より内容がイメージできた。
    オーケストラの音の間違い探し、初見での課題曲って、本当に審査内容だったんだなぁ。
    ピアノコンクールとも審査の方式はまったく違っていて、面白い。
    (この頃の小沢さんの年齢も、ちょうど千秋先輩がパリで指揮者デビューした頃と同じくらいの年齢だ!)

    指揮者コンクールで立て続けに優勝してからは、ベルリンやボストンでの音楽祭に参加したり、ニューヨークフィルの副指揮者に就任し、日本に帰国してからは日比谷公会堂で日本フィルハーモニー定期演奏会の客演奏を務めたりと、大活躍。

    滞在先からの家族への手紙の描写も多く織り交ぜており、小沢さんが家族にとても優しく、楽しい人物なんだな、というのが伝わってきた。

    だけど、ネットで調べたところ、N響のオーケストラにストライキを食らうなど辛い経験も沢山したようですね・・・。
    海外での指揮の作法が日本の風習と合わなかった、とか・・・。

    いつか、小沢さんの指揮するオケ、見てみたいな。

  • この時代に日本人がヨーロッパに渡って指揮者コンクールで優勝するというのが、どれほど大変なことか想像もつかないけど、そんなことをまったく感じさせない飄々とした文章。巨匠たちとの交流も面白い。

    どちらかというと、まだ旅の途中という感じだけれど。

  • さらっと書かれているが、多分この当時の(そして今もか)日本人が欧米クラシック音楽の世界でのしあがるのは並大抵のことではないのだろうと門外漢でも想像はつく。
    そんなことはほとんど関係ないとばかりにひたすらある若者の冒険譚が展開される。それこそヨーロッパ、アメリカを縦横無尽に軽やかに駆けているように見えて読んでいて心が弾む感じさえある。
    これはなかなかの好著、あまり期待していなかった分もあるかもしれないが是非ご一読を。

  • 自分が初めて海外を旅した思い出が脳裏によみがえってきた。機上からアメリカの西海岸の地が見えた時の興奮……

    国際的な指揮者の氏が駆け出しの頃に書いたエッセイ。先の見えないままフランスに渡り、その後チャンスを掴みニューヨーク・フィルの副指揮者になるまでのストーリー。
    みずみずしい感性に読んでいるオイラも一緒になってドキドキしてしまう。

    フランスとドイツとアメリカと日本のオケのアンサンブルの違いなんかはとても興味深かった。実際に演奏を聞いてみたくなった。またバーンスタインの仕事部屋のカレンダーには三年先の予定まで書き込んであったらしい。マエストロのおよそ芸術家らしくない一面だが、その自己実現方法は試してみる価値がありそうだ。

    「いくらいろんなことを経験したつもりでも、緊張がそのたびに新たなのは不思議だ」
    本当にそう思う。いつになっても新しいことに挑戦し続けていきたいものだ。

  • 今も変わらず柔軟な小澤さんの青年時代。
    まだ20代、しかもいろいろ状況も整っていなかったであろう50年も前のことだというのに、おじることなし。
    音楽はもちろん、遊びも文化も時間も空気も、とにかく何でも吸収してやろうというのびのびと向かう姿が頼もしい。

    何かと縮こまりがちな私としては、ちょっと爪の垢でも煎じて飲ませていただきたいところです(笑)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「今も変わらず柔軟な小澤さん」
      体調を崩された小澤征爾。復帰出来るくらいに早く元気になって欲しい、、、
      「何かと縮こまりがち」
      良い音楽を聴...
      「今も変わらず柔軟な小澤さん」
      体調を崩された小澤征爾。復帰出来るくらいに早く元気になって欲しい、、、
      「何かと縮こまりがち」
      良い音楽を聴いて、心を柔らかくすれば、伸びやかになるかも←私も、頭も身体も柔らかくしたいです。
      チョッと話はズレますが、村上春樹との対談「小澤征爾さんと、音楽について話をする」が早く文庫にならないかなぁ~と願っています!
      2012/05/23
    • pponさん
      nyancomaruさん
      クラシック、あんまり詳しくないのですが、それでも小澤さんの大らかな雰囲気とか子どものようにおちゃめな笑顔とか、見る...
      nyancomaruさん
      クラシック、あんまり詳しくないのですが、それでも小澤さんの大らかな雰囲気とか子どものようにおちゃめな笑顔とか、見るといつも気持ちのなごむ方の一人です。
      早くよくなられるといいですね!
      村上さんとの対談、読んでみたいかも。
      2012/05/23
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「子どものようにおちゃめな笑顔」
      確かに、タクトを振っている時のお顔からは想像出来ないくらいですよね。。。
      「子どものようにおちゃめな笑顔」
      確かに、タクトを振っている時のお顔からは想像出来ないくらいですよね。。。
      2012/05/23
  • 1959年の2月、単身日本を離れ、その後、ニューヨーク・フィルの副指揮者になり、日本に凱旋帰国する1961年までの約3年間を当時26歳だった小澤が綴った回想録。

    文章は、その当時家族宛に送った手紙がベースになっているため、小澤の当時の気持ちが良くわかる。

    その後、ボストン響、ウィーン国立歌劇場の音楽監督となるほどの成功を収めた小澤の、初期の成功物語。

    小澤ファンは必見だが、小澤征爾の名前を知っているというくらいの人が読んでも面白くないかもしれない。記録としては貴重だが、一般的な冒険譚としては、トントン拍子に進んでいくため起伏がなく、面白みには欠くという側面があるからだ。

  • なるほど〜

  • 2021/03/21

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