- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101229225
感想・レビュー・書評
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このサイトではなぜか評価が低いが、私は素晴らしい小説だと思っている。柳美里の小説では主人公は弱者であり、彼らは迷いはありつつも、自分なりの正義感と価値観があって、それらに基づいて自分なりに正しいと考える行動をとっているのに、不器用であり、また置かれている社会環境あるいは時代背景、生まれた境遇によって失敗してしまう。阻まれてしまう。
このコロナ禍で私にもそういうことは起こっていたから、彼女の小説はいつも私にとっては救いであり、この小説もまたそうであった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代版ドストエフスキーといっても過言ではないかもしれない作品。少年の親殺しをメインに、社会・教育の在り方まで揺さぶる必読小説。
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「酒鬼薔薇事件に触発されて書かれたハヤリモノ」というイメージがあって、刊行直後は敬遠していた。文学が現実の後追いをしていると思ったのだ。しかし読み始めた途端、先入観は軽く吹き飛ばされた。そこには、現実より遥かに激越で独創的な14歳の少年がいた。 父はパチンコ店を経営する金持ち。しかし家庭は崩壊している。ささくれだった精神を持つ少年はある日、衝動的に父親を殺害する……。少年が唯一頼りにするヤクザ金本の哀しみが印象に残る。また、少年が徘徊する横浜の街が極めて精緻にリアルに描き込まれ、もう一つの「主人公」の様相を呈している。(石飛徳樹)
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何度読んでも苦しくなる。まっすぐに生きることの難しさが歯がゆい。
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苦しい。そしてせつない。見てはいけないものを見てしまった。触れてはいけない他人の闇を覗いてしまった。そんな後悔が残る。けれどどうしようもない。
同年代の少年たちが抱くさまざまな夢の代わりに、14歳の彼は、切実に、力と智恵を必要とした。その姿は不気味だし滑稽だ。彼の不幸は、周りのオトナがあまりにもヤワだったことだ。
何度読んでもうまくいえないけれど、背表紙の解説に違和感を感じる。「生きることはゲームだと思っていた少年が、信じるという心を取り戻すまでを描く感動的長編。」果たして彼は信じる心を取り戻したのか? -
読書初心者だった高校生のとき、この小説を読んで衝撃を受けた。少年の行動と心の空虚さがリアルに描写されている。ぜひ読んでほしい一冊です!
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柳美里作品で多分これを一番最初に読んだ。描写がリアルでとても力強い。全て崩壊する感じ。
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15歳の少年の鋭さがすごく描写的に表現されてます。この本を15の頃に読んでいたなら、きっと今の僕はないと思います。