コールドゲーム (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3908
感想 : 464
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230313

感想・レビュー・書評

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  • ビブリオバトルで高校生の子が紹介していて興味を持ったのだけど、面白かった。高校生視点でのリズムの良い(でも軽すぎない)文体で、話のスピード感も相まってあっという間に読み終わった。広い意味でのイジメというものを感情的になりすぎず掘り下げている。良かった。

  • いじめと復讐を取り扱った作品。だからいじめはやめましょうという作者の主義主張は出てこず、恐怖と狂気、やるせない読後感を演出することで読者にこの問題について考えることを問いかけています。
    一方、犯人を当てる小説として見た場合、元気な18歳を格闘戦の相手とするには犯人の人物設定はちょっと無理があるのではないか?物語の中盤で接触があった際の描写があまりにもミスリードでフェアでないと感じた。

  • いじめと呼ばれている学校での集団リンチ行為の話題は、結末がどうあれいつもどうしようもなくやりきれない思いが残る。暴力を振るっていた子どもたちは全員、何年先になろうとも死ぬまでの間に絶対に報復されるべきだと思うが、暴力を受けていた子どもはもはや救いようがない。せめて彼自身の手で、動物以下の教師や同級生たちに復讐させてやりたいと思うだけ。以上は小説の世界ではなく、現実社会の問題としての意見。この小説としては、硬派の荻原さんの持ち味が十分発揮されたとても読ませる話でした。

  • ミステリー。
    世界はこんなに絶望で溢れてるなものかと悲観してしまう。過ちを繰り返さないようにと思ったのは、自分のやってたことを後悔したから?それとも二度とこんな怖い思いをしたくないから?

  • 確かに面白かった。解説にもあるように何かに偏らない大人の作家さんなんだな。社会的なテーマが見え隠れするけどそれが主軸になってないし、意見のステマ的刷り込みもなかったし、純粋にスリリングに読めた。

  • 今まで読んだ萩原浩さんの作品、「メリーゴーランド」と「オロロ畑でつかまえて」が余りにもダメで、全く期待しないで読み始めたが、圧倒的に良かった。途中から止まらなくなり一気に読む。
    いじめという重く難しい永遠のテーマを扱っているが、小難しい議論より、高校生の語り口のストーリー展開のテンポが良く、読者を飽きさせずに最後見事に完結させていると思った。たまにある軽いジョークもいい。

    いじめたほうもいじめられたほうも、過去のことはハッピーエンドにはできない。いじめられたほうの傷はあまりにも大きく深く、いじめた側の後悔や懺悔は何の救いももたらさない。
    トロ吉の親の気持ちは痛いほど分かるし、いじめた側の過去の自分がほんのお遊びでやってしまった間違いを、修正できないもどかしさも分かる。これはそういう微妙な感じを残して終わる物語だ。

    トロ吉の復讐劇が始まると、そのクラスメイトは各自、自分のしたことを思い出す。やられた本人が思うほど、周りは覚えていないものなのだ。一人の人生を狂わすという大罪を、分別のない子供は残酷にやってのけ、それを成長とともに忘れていく。まるでメダカやオタマジャクシの共喰いのように。倫理も道徳も無く、知恵があるだけ残虐な本能をむき出しにして遊び育つ。

    子供とは分別も常識も無い生き物で、何が正しいのか分からない。だから親や大人がついていて教えなければいけないと思う、何が良くて何が悪いのかということを。

  • 中学時代にいじめられた奴が復讐していくという話(だったような)。気持ちの良い話ではなかったけど、どんどん読めたような。最後の真相はびっくりしたけど、まさかなーという感じ。自分はバカなので、何を読んでも犯人捜しは出来ず、ハラハラします。バカは何でも楽しい。

  • いじめというのはやはり時間で解決できるものではない。いや、いい方向転換になることもあるが、傷は癒されることはない。
    後味の悪さは私的に良かった。
    子を亡くした親の気持ちは狂気に変わるほど。

  • 中学生のイジメ問題がサイコ・サスペンスへと昇華していく。引き込まれてどんどん読み進められる、テンポの良い快作。サイコ部分だけじゃなくて、イジメを見て見ぬふりした主人公の心情変化も見事。

  • 終わりまでいかないうちに犯人がわかってしまったので,ミステリーとしての面白さより,何というかいじめの理不尽さややり切れなさがどんどん迫ってきて,救いのない読後感.最後これで良かったの!って思った.

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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