コールドゲーム (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230313

作品紹介・あらすじ

高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが-。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 因果応報といえば、それまでやけど…
    イジメた方は忘れても、イジメられた方はずっと憶えてる。
    それで、自分の人生を台無しにされたら、恨むのは分かるけど実践したら、あかんな。それも殺しまで…と模範回答はしたけど、ならお前はどうするねん!と聞かれれば、「…」やな(−_−;)

    私の学校は、比較的恵まれてたのか、こんな酷いイジメはなかったな。自分が見ていた部分に限るけど。

    イジメの復讐をめぐる学園ミステリーになるんかな?
    イジメから、4年後にはじまる復讐劇!
    復讐から、身を守る為に、自衛団みたいなの作るけど、やっぱり、警察やろ!頼りにならんかもしれんけど…
    ストーリーとしては、「はじめちょろちょろ中ぱっぱ」って感じで、後半盛り上がる!
    どんでん返しありで、なかなか面白かった!
    しかし、題材自体がイジメだけに、終わりは、ハッピーエンドという感じにはいきません〜
    主人公達は、一皮剥けて成長した感はあるけど、反省だけでは取り返せんもんもあるし…

  • 中学時代にトロ吉をクラス全体でいじめていた。そしてトロ吉がクラスメイトを復讐する。トロ吉が最後まで秘密兵器であるかのように隠された展開、着実に相手に忍び寄り復讐していくヘルメット頭の影。この恐怖感、クラスメイトにダメージを与える見事な神出鬼没。そして最後のクライマックスでは、サイコパスの登場で一気に犯人が明らかになり、鬼の形相で復讐すると思いきや、壮絶な復讐は叶わず、終わり方もちょっと雑だった。もう少し劇的な展開で終了できなかったのかな?クラスメイトのトロ吉に対する後悔が見えず、残念な気持ちにもなった。

  • 中学時代、クラスのほぼ全員からイジメを受けていた被害者が、イジメられた方法と同じような方法で、クラスメンバーに復讐を始めた。

    元クラスメイトが1人、また1人と被害にあっていく。

    何となく似たような小説を先に読んでいた為、割と真相に近い推理が出来てしまっていた(^_^;)
    最初は少し単調でイマイチかな?と思ったが、後半は畳み掛けてスピード感がアップした。

    これはイジメの加害者側から書いてある小説だが、被害者側から書いたらたまったもんじゃないだろうな。。。

  • 野球の話かな?と思い買った一冊。

    野球の話ではなかった。

    中学時代にいじめてた同級生に復讐される話しだった。

    ひどいいじめだったので復讐されても自業自得だと思って読んでいたけど、殺人までいくとやり過ぎだ。

    小説の中のセリフで頭に残ったのは
    「自分にはたいした事ない事でも、他人には大切な事かもしれない」

    いじめをしている方はたいした事やってないと思ってるんだろうけど、いじめられてる方はいろんなものを失ってる。 

    早く気づいて欲しかった。

    意外な結末だった。

    主人公がこの事件で人間的に成長したのは良かったんじゃないかと

    マスターが隠れたヒーローだった小説でした。
    ネタバレになっちゃうかな?

  • 爽快感が全くなくて最後まで胸糞だったけどページをめくる手が止まりませんでした。
    虐めに関与してた子達が一生心に傷を負って生きていくことになったのがせめてもの救いかもしれません。若くて浅くて誰かを傷付けて、自分は忘れてしまっても相手の人生には取り返しの出来ない傷になるかもしれない。そのことを登場人物達と一緒に強く考えさせられました。
    また、虐められていたトロ吉が面と向かって闘わなかった事、卑劣な方法で復讐した事に対して責める気持ちは起きませんでした。

  •  中学2年生の頃、クラス中からイジメられていた廣吉が、4年後当時イジメに荷担していたクラスメイトへ復讐するストーリー。復讐の内容はもちろんだが、当時のイジメの内容もなかなか酷く、「やらなければ自分がやられる」という言い訳では通用しないほど。亮太ら加害者側が若気の至りで片付けようとするには無理があり過ぎる上、クラスメイトたち全員に反省の色が感じられない。廣吉があまりに可哀想。
     光也もイジメの流れをストップさせる発言ができるようになっていたことから、反省・後悔の気持ちは出てきているものの、「勝手に頼るな」はちょっと違うのでは?と思ってしまった。まぁ、まだ人にせいにしたがる10代の少年なのだから、こんな反応が妥当なんだろう。

  • イジメミステリー。
    ハッピーエンド的な〆方だけど、全くハッピーエンドじゃない。
    頭おかしくなるまでイジメ抜いたヤンキーが何故かちょっと良い奴扱い。
    胸糞ですなー。

  • 文章は好きなのだが、イジメや青春ものの設定、後味の悪さ含め嫌悪感しか抱かない。読まなきゃ良かった。

  • 2010/10/01
    高校の時に読了

    面白かったけど、
    それにしても不思議な終わり方だった。

  • 光也のツッコミが面白くて読みやすい。
    内容としても続きが気になるハラハラサスペンスものなので、するする読めた。
    犯人はなんとなく想像がついていたけれど、廣吉が自殺してしまっていたのは想定外で驚いた。自殺した息子を冷蔵庫に入れてずっと保管し、母親に至ってはまだ生きているように扱うなんて、思っていたより廣吉の両親は廣吉の死によって狂ってしまっていたんだなぁと感じた。いじめはそれほどまでに"された側"の人生はもちろんのこと、その家族など"その人を大切に思う人"の人生をも狂わせ得ることなのだと再認識した。逆にいじめを"した側"の人生には、いじめをした過去は捕まったり世間にバレたりしない限りあまり影響を与えないのが、された側からすればやるせないし、理不尽な話だろうと思ってしまう。
    卒業して時が経った清水や亮太の様子を見ていると、憎めないところもあったのだが、やっぱり廣吉に対してひどいいじめをしていた過去は消せないし、忘れるべきではないことだったのだと思う。清水は死んでしまったが、亮太は運良く足の怪我で済んだので、これからも廣吉のことを忘れずに、美咲と子供、周りの人を大切にして生きていってほしいなぁと思った。

  • 過去のいじめが題材
    復讐する側ではなく、される側の話。
    見てみぬふりも重罪だと確かに思わされた作品

  • 高校3年生の男子が主人公。
    夏休み中、中2のときのクラスメイトが次々と襲われる事件が起きてきることを知る。状況から推理すると、当時クラスでいじめられていたある同級生が犯人として浮上する。
    これ以上被害者を出さないために、主人公は元クラスメイトたちと見回りをしたり張り込みをしたりなどするが、次元は止まらない。

    いじめが悪いとか良いとか、復讐が悪いとか良いとかは言わず、いじめの加害者たちの言い訳めいたものを聞かされている気分になる。
    被害者は忘れたくても忘れられないのに、加害者はん簡単に忘れる。そして、当時のことも忘れていたことに対しても反省はしていない。
    ただそれだけのことが書きたかったのだろうか?

  • 最後の数十ページで急展開。結末はもう少し深く書いてもよかったような。
    ガラケーや今は使わない省略した言葉もいい意味で時代を感じます。

  • 最初はボチボチだったけど、最後のほうは畳みかけるようなスピーディな展開。途中でやめられなくて読み切った。なんだか怖かった。

  • いじめっ子側が視点で進むから、復讐する側が敵のような感覚に陥るし、いじめっ子側を応援したくなる。逆視点でも読んでみたい。
    復讐をされる側としては何もしなかった人が1番ストレスが溜まりそう。「何もしなかったのに」と「何しなかったから」がぐるぐるまわる。
    復讐をする側としては、まあ、ざまぁみろな結末。もっと痛めつけて心をえぐってもよかったのに。

  • 高三の夏、中二の時のいじめの標的だった廣吉によると思われる復讐が始まる。北中防衛隊として連み始める当時の主犯格の一人や何もしなかった光也たちのノリが死まで絡む陰惨な事件に対して軽く、過去も今も重く捉えていないことが苦しい。大人も子供も自分を正そうとせず蹂躙して、誰に感情移入して良いかわからなかった。

  • いや、今までと全く違いました。
    いつものユーモアを期待していたのですけどね、それは全く影をひそめ、陰湿ないじめとそれに対する復讐という、ひたすら暗い内容ですね。
    いじめの加害者側が主人公というのは、ちょっと変わった視点のようにも思います。しかしいじめそのものが主題では無いので、深く突っ込まれることは無い。
    次々に同級生を襲う恐怖。正体のわからない犯人。やはりサスペンスに分類される内容でしょうね。その分、(サスペンスに興味に無い)私の評価は下がってしまいます。確かに、背景、人物設定など良く出来ているとは思いますが。
    エンディングは荻原さんらしくスッキリしていて、そこに救いがあります。

  • 面白かったけど最後がなあ。ちょっとなあ。
    3分の2過ぎたあたりから子供向け小説みたいな気がして来たよ。ミステリーと見せかけて思春期少年少女向けの成長物語って感じ。これが主人公が大人だったらもう少し現実味を帯びてたんだろうけどなあ、、、作者も半ばやけくそだったんだろう。
    いじめとか受けた方は一生忘れないよね。一生かけて復讐しようとおもうよね(私はしたつもりです、軽いものだったけど、彼女たちの好きな男を奪ったり元カレとセックスしたり好きな男と親友になったりね)
    いじめってめちゃめちゃでかい罪だと思う。でも本当に本の父親が言ってたように、大人になったらそんなこと全部大したことなくなる、周りにどう思われたって一人でいくらでも楽しく好きに生きていけるようになる。なのにそれも分からずに命を絶ってしまうのは、許されないことだし、それにいじめられた方も悪いっていうのは本当だと思う、自殺は結局自殺で社会のせいでも他人のせいでもなくて結局自分のせいなんだよ、、、、いじめだけじゃなくて全てにおいて、自分で考えられる年になったら他人のせいにするのはやめよう、と改めて考えた。
    加えて、子供に対する親の愛ってものは揺るがないんだなあとおもった。
    日本人作家ってとこにいつも読まないから気をとらわれて批判的な読み方して、はあ?みたいなポイントちょくちょくあった。あと野球に絡める意味もわからないしコールドゲームってタイトルもなぜそうしたのか謎

  • 被害者の心の傷は生涯残る。加害者はそれを自覚してほしいな。自身の行動がどれほど残酷なものなのか。最後まで緊張感が続く、面白い一冊でした。
    あらすじ(背表紙より)
    高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが―。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。

  • イジメは当然悪なわけで、そのイジメも相当残酷なら報復も尚更である。トロ吉側を退治してハッピーエンドみたいな終わり方だったけど、それがやたらと複雑な感情をそそる。

  • いじめの復讐です

    どんなに月日が立っても、やぱりそれは「いじめ」から始まったこと。
    救われる人はいないよね。

  • どんでん返しがイマイチ

  •  今しも大津のいじめ問題が大きな話題になっているときだから、というわけではないけれどなんだかなあ。これが書かれた時代って何年前なんだろう。いじめ問題がそれほど大きく取り上げられてなかった頃、ってことはさすがにないだろう。それでいてこういう作品を書くというのは、すごく勇気があるのかあるいはすごく鈍感なのか。
     中学校時代に徹底的にいじめられた少年が、高校生になってからいじめた相手をひとりずつ予告しては報復してゆくのに対し、もといじめた側は何の反省もなく返り討ちにしてやろうと待ちかまえる、という救いようのない筋書き。相手の現状が正体不明で出方がわからないのに翻弄されるというサスペンス的でもあり、最後には意外な真相が明らかになるというミステリー的でもある。まあ、話を引っぱって行く筆力は評価するにせよ、いかんせん弱者の側に立っているとはいいがたい主人公あるいは作者の姿勢が共感しにくい。出てくる元のクラスメート達を、みんなまとめてぶん殴ってやりたい、さっさと殺されろよ、としか思えない。終わりもまた救いがない。同じテーマをミステリーに仕立てるにしてももう少しなんとかならんもんかね。

  • サイコミステリっぽい雰囲気を感じる小説。過去のイジメの復讐にひとりずつ同級生を襲う犯人を、いじめていた側の同級生たちの視点で探していくという話。復讐方法や犯人の行動が逐一不気味で、復讐という正当性のある動機を差し引いても恐ろしい。次何が起こるのか、ページをめくる手が止まらず一気読み。いじめや青春という観点よりも単純にホラーやミステリとして読むとたのしめそう。

  • 読みやすい、伏線をわかりやすく置いてくれているので回収しやすくて楽しい。
    自分自身いじめる側にもいじめられる側にもなったことがあるのでとても考える作品でした。
    過去に起こしてしまったことはどうにも変えることはできない。謝ったとしてもそれで終わりというわけにはいかない。お互いが受け止め考えることが大事だなと思いました。
    シャングリラのマスター最高に好きです。

  • だれも救われない、後味の悪い小説だった。
    しかし、実際のいじめは文字以上に残酷だ。
    クラスや教師によるいじめは、学校だから軽視されているのであって、相手の生存権を剥奪する犯罪行為だと思う。
    自分や自分の未来を守るためには、逃げよう。
    いじめられるために生まれてきた命なんてない。

  • 中学生の時、何度も何度も繰り返し読んだ。
    私がこういうジャンルが好きになったのはここからな気がします。

  • いじめ被害者による加害者への数年越しの復讐
    見るに堪えないいじめの描写
    罪の意識が希薄で、保身にばかり走る屑加害者達
    あまつさえ逆ギレとあっちゃあ…
    本文は加害者側の視点で書かれているがどうしたっていじめ被害者側の立場で読んでしまうので、加害者同級生達のノリとか度々入るクスっとさせるような一文も薄ら寒い
    友情だとか、青春だとか、何を勘違いしているんだろう
    最後の展開で多少溜飲は下がったけどどうせなら全員ぶち殺すぐらいしてくれたらスッキリしたのに

  • 正しいか、正しくないかとかじゃなくて、一人称で18歳の主人公の感じ方がすごく鮮明で気持ちよかった。
    倍返しだ!!の実現。

  • とても重たい内容でハラハラしました。
    本人にはどうでもいいことだけれど、他人にとってはとても重要。
    これはいつのどの時にでも当てはまるなぁと思いました。
    保身のための行動が相手の恨みを買っていたり。
    人間関係は難しいなぁと思いました。
    描写が怖かった。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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