四度目の氷河期 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (628ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230351

感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    父親を知らずに育った男の子の、想像たくましい生き方が、何とも微笑ましい。(世間的には)家庭に恵まれなかったワタルとサチだけれど、二人で歩く未来は明るく思えた。

  • 1308 幼少期から始まるアイデンティティー探しの青春小説。このままずっと見守りたいくらい感情移入出来ました!最後駆け足気味だったけど終わりも良し。星4つ半って感じです。

  • タイトルからタイムスリップ的な内容と勝手に想像していましたが、萩原氏を舐めていました。少年の葛藤と成長が丹念に描かれている力作です。

  • 久々に荻原作品を読みました。
    どうおさまるのだろうとドキドキしていましたが、やっぱり面白かった。バウボ・ンバボ・ダム

  • この物語を青春の二文字では語ってはいけないと思う。
    自らの出自に縛られ続け、ようやく答えを見出した頃には、
    大切なものを、あまりにも大切なものを、失っていた。

    月並みではあるが、この本は未来に生きる人のための、物語である。とおもう。

  • ワタルが成長していく過程の心理を巧みに描いていて、笑いあり、涙あり(ほんとに泣きました)、そしてバカバカしさ満載で、「あ〜、小学生男子ってこんなんだよね。」って思わず納得してしまう、とてもおもしろい作品でした。
    ただ、最後がちょっとやり過ぎかな、っていう感じ。

  • ひとりの少年が自分や自分のまわりの環境に、悩み、もがき、向き合って、そして克服していく。そんな内容。
    同じく悩み、もがいてる男の子ならきっと共感できるはず。ただ主人公にはその過程で、大切な仲間やガールフレンドが出来ます。大多数の人はそんなことはなくって、自分ひとりで、もがき、乗り越えて行かなくては行けません。
    そこはほら、小説だから。

  • 記録

  • 僕の体には、1万年前の特別な血が流れている。ただの感動じゃない。いまだかつて読んだことのない、青春長編小説。
    小学五年生の夏休みは、秘密の夏だった。あの日、ぼくは母さんの書斎で(彼女は遺伝子研究者だ)、「死んだ」父親に関する重大なデータを発見した。彼は身長173cm、推定体重65kg、脳容量は約1400cc。そして何より、約1万年前の第四氷河期の過酷な時代を生き抜いていた――じゃあ、なぜぼくが今生きているのかって? これは、その謎が解けるまでの、17年と11ヶ月の、ぼくの物語だ。

  • 中学生向け問題集のどこかで読んだことがきっかけで惹かれた。
    美術の授業中のシーンを抜粋してあった。
    とても瑞々しくて痛くて好きになった。

    全体的に若者の口語体であるためテンポよく読めた。
    難しいところは特にない。
    彼の苦悩は私と同じではないが、なんとなくわかる。
    特別だと思い込まなければ今死んでしまう気がする感じ。

    こちらも概ね思い込みであった、都度起こす彼の犯罪にはあまり共感できなかったが、それこそ彼と同じ境遇だったらわからない。
    アイスマンを持ち出したら何か変わる気がしてしまうのもよくわかる。
    でもきっと、私には実行するだけの度胸はない。

    そこだけが少し気になった。

    私はやっぱり、青い何かのために犯罪を肯定できない。
    それに手を染めてしまう、一種の陶酔は、理解する。

  • 荻原さんの本はいつも面白い‼️

  • タイトルと「クロマニヨン人」ってのはアレだけど、今まで読んできた荻原浩(10作品ほどだけど)の中では一番好きかも。
    やっぱ、個性的な子供が成長していく過程の話ってのはいいなあ。

  • 生まれた時から父親が不在で、外国人のような外見が周囲と違うことで悩んできた主人公。自分をクロマニヨン人の子供と思い込むようになる。
    すごく良い話だったが、あまり好みではなかった……なぜだろう、ちょっと私には眩しい、まっすぐな青春すぎたのだろうか。ただ、それほど特別なことが起きる内容ではなく、1人の少年の成長物語でしかないので、それをここまで読ませる物語に仕上げられる著者がすごいと思う。

  • 図書館で。本当に面白かったなぁ。しあわせな読書時間だった。ワタルと一緒に成長した気分。少年〈ワタル〉の成長物語で、家族の物語で〈ワタルとお母さんの2人、ワタルとクロマニョン人のお父さんと?!〉友情の物語で〈ワタルとトラとウサギ〉恋の物語〈ワタルとサチ〉でした。満腹。満腹。絶対何回も読み返したくなるな、きっと。

  • 生まれたときから父がおらず、人と違う外見で差別されてきたワタルが自分のアイデンティティーを確立するまで。特別扱いを嫌だと思いつつ、どこか自分は人とは違うのだと思いたいという気持ちもある。まさに青春である。
    しかし、ラストは若干ぶっ飛び過ぎているような。確かにクロマニヨン人と向き合うことは、ワタルにとって非常に大きい出来事だったわけだが、明らかにやりすぎ。クロマニヨン人のことだけでなく、申告外の滞在なんかも、その後、大変なことになるのではないかという気がするのだが。余計な話なのだが、そこが気になって、なんとなく余韻に浸れないのであった。

  • 相変わらず上手な作家だな。主人公と同様に、母親を亡くしている私にはかなり刺さるものがあった。

  • 着想が面白い。
    その自分の出生が、最後まで貫かれている。
    終盤からは、一気に読み進まなければと思うほど
    吸い込まれてしまった。

    「こんな青春はいいなぁ」と思ってしまいました。
    そして、サチの人間性にも惹かれてしまった

  • ぼくの父はクロマニョン人。
    自分のアイデンティティと周囲との軋轢と、初恋と友情、思春期と破天荒の詰まった青春小説だった。

    ぼくの見たことない父親は、強くてかっこよくて優しくてぼくを傷つけるようなことはしない。
    そう思いたいけれど、実際は全然そんなことなくて、どちらかというとクズで「一生愛なんて囁くな」という気持ちになるのだけど、文章が潔くて潔白で孤独で、実際そうなっちゃうよね、というくらい主人公は冷静だったりする。

    他人と違うというだけで忌み嫌ったり、そんな人間、本当にいるの?と思うけれど、普通にいるのよね、となんとなく思う。

    初めて読んだとき、わたしは入院していて、外には雪が降っていて、年末も近くて誰もお見舞いには来なくて、「わたしこの本めっちゃ良い時期に読んでるじゃん」と思った本。

  • 父親がクロマニョン人、的な壮大なスケールの話

  • 最後まで父がクロマニョン人のような原始人であって欲しかった想い。実の父親に再開して失望した現れからなのだろうか。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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