オイアウエ漂流記 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (684ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101230368

感想・レビュー・書評

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  • 飛行機が墜落し、漂流して無人島にいるというのに、
    お気楽というか、さすがにそこまでアホな上司はいないんじゃないのかなぁ、
    と、若干イライラ?しながら読み続けましたが、
    色々な想いや人間関係が絡み合った結果、
    段々と結束していく感じが後半にいきていくので、
    ああ、このためのブラフだったのかな、とか思いました。

    もう少し早く救出されるのかと思いきや、案外時間がかかったのは意外だったかな。
    後日談、みたいなのもちょっとあればよかったかな~とか思いましたが、
    それはご想像に~って感じなのかな(笑)

  • 荻原浩らしさが一杯の冒険サバイバル小説。登場人物それぞれに十分遊ばせてあきさせない。出張のともには最高だが、飛行機に乗ってから読み出すと着陸できるのか少々不安になったりする。ラストがまたやってくれる。

  • 飛行機墜落で無人島に漂流。
    なんとなく展開がわかりそうかな、と思ったけど
    それぞれの登場キャラが いい味出してて よかったかも。

  • 漂流物来ました!

    普通のサラリーマン達が漂流したらどうなるのかっつー書かれたら確かに読みたい、読むしかない。
    いやはや面白かった。流石の荻原浩。

    解説の西村淳が見事に書いているように、このての漂流物にありがちなエキスパートがいない、これがよく分かってらっしゃる!て感じ。リーダーシップを颯爽と発揮する人もいない、皆うじうじと行動するばかり。これが良い。

  • 子供の頃読んだロビンソン・クルーソー漂流記を当然のごとく思い出しながら読み進めました。オンボロのラウラ国際航空機に搭乗した運命共同体ともいうべき10人の乗客と1匹(犬)の運命は・・・設定は非常に深刻な場面であるはずなのですが、人物表現が至極ユーモラスに描かれているので、何度も吹き出しそうになりながら読みました。
    南太平洋上を航空中のプロペラ機は、落雷をうけ洋上に緊急着水、頼りのトンガ人の機長も着水のあと、愛犬のセントバーナードを残して浸水した飛行機の起こした渦に巻き込まれて命を落とします。彼らを乗せた救命ボートは南太平洋上のどこかにある無人島に漂着し、サバイバル生活が始まります。この運命共同体の10人と1匹の面子が何とも絶妙です。新婚旅行中の夫婦、会社の接待旅行中のサラリーマンたちとその得意先の社長、兵隊経験者の認知症気味の老人とその小学4年生の孫、環境保護団体の過激派の活動家の外人という面々。彼らは漂流生活の初めの頃こそ、それまでの生活の役割や習慣を続けるのですが、途中からそれをかなぐり捨て、それぞれの秘めていた本来のパワーを発揮し始めます。その落差がお見事!それぞれが命をつなぐため、必死に自分の得意技を披露します。文字通り自給自足の生活を続けるための、死ぬか生きるかの瀬戸際の場面が続出します。それは文明生活に浸っていて軟弱になっていた人間の忘れていた能力でした。
    この小説の全編を貫くのは、死んでしまったトンガ人の機長が残した「オイアウエ」という言葉。それはつらいときも楽しいときもトンガの人は「オイアウエ」と言う。つらいのも楽しいのも同じこと。それが生きることであるというメッセージがとても心に残りました。

  •  喜怒哀楽すべてを表す言葉で、嬉しいとき、悲しいとき、トンガの人々はこう云うのだそうだ。「オイアウエ」と!タイトルに冠したサバイバル冒険小説。
     トンガからラウラ?へ向かう小型旅客機が、嵐に遭遇し南太平洋に墜落。乗っていたのはトンガにゴルフ場建設の視察旅行で訪れた4人のサラリーマン、スポンサーとなる御曹司の息子、新婚旅行中のカップル、戦友を慰霊する目的で来たボケかかった祖父に小学4年生の孫、体に入れ墨がある金髪の外国人、そして機長の相棒セントバーナード犬。
    彼らが漂流してたどり着いたのは名も知らぬ無人島だった・・・・・・。

     火をおこす、椰子の実やマンゴーなどの果実を採ったり、魚やウミガメをさばく、など詳細にそれぞれの視点で語られていく。ページを捲るたびにギャグ連発で笑いがこぼれるが、巻末の解説でも触れていた「(中略)俺たちは自分の家の食糧に勝手に名前をつけただけだからな。覚えとけ。肉屋に並んでいる肉の賞味期限ってのは、鶏や豚や牛の初七日の日取りみたいなものだってことを」というせりふに、生き物を食うためには、殺さなければならないと、ふと気付かされる場面だ。こうした現実感も心に突き刺さる!
     さて、彼らは一体脱出できるのだろうか?と、読み進めていくとラストで・・・えっ!どういうこと?ハッピーエンドなのか?何だか肩透かしを食わされたようで微妙な読後感(^_^;)

  • タイトルからもわかるように、サバイバルものなんだけど、このジャンルの殺伐としたイメージを裏切られるような割とゆるい漂流記。
    登場人物がそれぞれどこかとぼけた感じで、生命の危機にあるというのにそれがちゃんとわかっている人が主人公くらいなものらしいところが面白い。
    生き延びるために殺伐とした空気になりそうなものだけど、意外なほどそうはならず、決して友好的ではなかったはずのお互いが少しずつ譲歩して、それなりにうまくやっていくようになるのは微笑ましかった。

    冒頭からついてなさそうな感しかなかった主人公が最終的には幸せになってよかった。

  • 漂流ものは面白い。実際に起きたらこうしようと登場人物に重ね合わせて読んでるが、きっと現実は厳しいだろう。キャラクターが際立っていて楽しくあっと言う間に読んでしまった。

  • ゴルフ場を建設するためにスポンサー企業の副社長(二代目のバカ息子)とトンガからラウラに向かう建設会社の社員4人。

    自分の年齢と周りの環境に焦ってお見合い結婚を決めたOLと理系の頼りない夫。

    戦友を慰霊する旅をしたばかりの祖父と孫。

    乗客中唯一日本人ではない欧米系の外国人。

    そしてトンガ人の機長と副操縦士(!)のセントバーナード犬。

    嵐に見舞われ不時着した飛行機から逃げ出し、ようやくたどり着いた先は無人島。

    蠅の王よりは生々しさが少ないものの、食べること・生きることについて考えさせられてしまう話でした。

    それでも暗くならないのは荻原さんならでは。

  • よくある漂流ものだがわりと楽しめた。
    仁太の日記による後日談的なものがもうちょっとあってもよかったかな。
    昌人どんまい。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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