なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)

  • 478人登録
  • 4.40評価
    • (104)
    • (77)
    • (21)
    • (1)
    • (0)
  • 89レビュー
著者 : 門田隆将
  • 新潮社 (2010年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101231426

なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 2012/05/07
    読み進めるのが辛い。
    毎日流れるニュースは、それがどんなに辛くても悲しくても、私達の記憶から流れ出ていってしまうけれど、当事者の人達にとって、それは終わらない過酷なもの。
    そんな、想像することもできないような経験をされた本村さんの、圧倒的な強さを私は心から尊敬する。
    それは自己の復讐心ではなく、亡くなられた家族のため、同じような被害者家族のため、そして日本のための闘いだったのだと思う。

    本村さんや、ご遺族のみなさんが、心穏やかに幸せな人生を送られることを祈ります。

  • 光市母子殺害事件の遺族である本村洋さんに、著者が事件直後から取材し続けて書かれたドキュメンタリーです。

    今まであまり意識していなかったのですが、本村洋さんは私と年齢が同じです。という事は同級生の妻とも同じ年。当時23歳だったんですよ。そんな若さで妻と11ヶ月の娘を惨殺された。
    しかも犯人は18歳で少年法に守られている。
    そんな彼が、少年法や司法の壁に立ち向かおうとする経緯や、周りで支えていた方々の事を知る事ができます。

    この本を読むと死刑について本当に考えさせられます。
    是非多くの方に、読んで色々と考えて欲しいです。
    死刑制度の是非・マスコミ報道・少年法などについて。
    この事件によって変わった様々な事、変わってない事について。

    この事件によって良い方向に変わった事も多い、本村さんの努力・信念によって好転した事も多いと思います。
    だけどその改変のためにはあまりに大きすぎる犠牲だった。
    残虐な事件が起きてからでは遅いのです。

  • 愛する妻子を奪われた本村さんの長い闘い。
    この犯人は動機からして反省しようが何しようが
    個人的には絶対許せないんやけど、でっちあげみたいな供述がさらに許せない。
    司法は誰のためにあるのか?も考えさせられた。

    弁護士の子に意見聞いたら、それでも弁護する側は100%の気持ちで
    被疑者の言い分を信じないといけないって言ってたけど、この場合は冤罪じゃないし、やっぱり感情としてそれは無理だ。。

    本村さん、これから先は自分の幸せを見つけてほしいと思います。

    >>って書いた後に知ったけど、本村さん再婚されたんですね。
    彼の長すぎた戦いと、もう帰ってはこない愛しい人々を思えば、一緒にこれからの人生を歩んでいける人に出会えたことは本当に大きいことだろうな。今度こそ幸せに。。

  • 「光市母子殺人事件」を追ったドキュメンタリー。

    少年法、加害者の人権ばかりが重視され被害者が置き去りの裁判、相場主義に凝り固まった裁判官などと戦う本村を記録するが、同時に凶悪犯の弁護、死刑制度の存廃、いったん方向が定まると「死ね」の大合唱になるマスコミ報道など、考えさせられるテーマばかりが次々と登場する。

    それにしても被害者の夫・父である本村はすごい。
    TVでインタビューを見たことがあるが、その時は「弁舌爽やかすぎて胡散臭い」って印象だった。でも一読して、平穏な生活と引き換えに司法の重い扉をこじ開けてきた人なんだなあと意識を改めた。

    願わくばこんな事件が二度と起きませんように。

  • 正確には読了していない。少しずつ読むのだけれど、読んでいるだけで辛く、一気に読めない。本村さんの今後の幸せを祈る。

  • 闘いだろう。まさに。今でも鮮明かつ鮮烈に覚えている。「司法が裁かないなら、犯人を自分の手で殺す」
    最初の判決のあとの記者会見で、本村さんがち力強く言った内容だ。自分も法学部だったこともあり、この判決には注目していた。永山基準、司法の限界や法は所詮、人が作ったものにすぎないことなどを痛感。当時目指していた、弁護士という職業への疑問。本書は著者の取材をもとに、本村さんの闘いや新聞やニュースでは伝えられていない部分などがある。考えることは様々だと思うが、一度は手にとっていただきたい。

  • 僕が本村洋さんとお会いしたのは平成20年12月1日の

    内閣府の事業でありました。

    この年 弊社は犯罪被害者支援事業の中でも国として一番大きな事業である

    犯罪被害者週間 国民のつどいを請負っており、11月22日から

    浜松〜旭川〜滋賀〜福岡と事業を廻りこの日が最後の中央大会でありました。

    本村さんの印象は、ほとんど一般の方と同様に「TVのニュース報道」の中でしか知り得ませんでした。

    その印象は、鋭く 堅く 怖い印象を持っていたのが正直な気持ちでした。

    会場に到着された本村さんは

    「本日はお世話になります。皆様のお陰で、今日 このような機会をいただきました」

    と挨拶をしていただきました。

    小柄な青年に似合ったその表情や声は誠実で優しく、今までとは違った印象を持ちました。

    しかしながら その数時間後の講演会やパネルディスカッションでの

    実直で正義感を持たれた本村さんの発言は

    僕だけでなく会場の皆さんの心に響いたと思えます。



    中でも、本書にもある2000年3月22日山口地裁での「絶望」的な

    無期懲役判決での本村さんと吉池検事とのやりとりや

    その前日に遺書を書いていた場面は、「ぐっと」旨に迫る物を感じます。

    正直、この場面を読むと 涙がこぼれ落ちてきてしまいます。

    それは、かわいそうという安易な気持ちではなく

    判決によっては死を選び、

    司法に社会に絶望し、

    控訴せずこの手で殺す!とまで言い切った男に、

    『司法を変える為に闘おう』と言い放ったこの判事の姿にも

    男として感動してしまうからです。



    本書にはこんな場面が書かれています。

    事件後、会社に辞表を出した時の上司の言葉です。

    「この職場で働くのが嫌なのであれば、辞めてもいい。

    君は特別な経験をした。

    社会に対して訴えたいこともあるだろう。

    でも、君は社会人として発言をしていってくれ。

    労働も納税もしない人間が社会に訴えても、

    それはただの負け犬の遠吠えだ。

    君は社会人たりなさい」



    被害者の皆さんに対して、

    これほどまでにストレートに言える支援は

    本村さんに大きな力を与えたと思います。

    犯罪被害にあわれてしまった方々は

    多くの支援を求めています。

    直接的な支援もあれば間接的な支援もあります。

    間接的な支援の中でも書籍を読んで まず理解する!ことも

    重要だと考えています。

    是非 ご一読をお勧めします。

  • 光市母子殺害事件の、事件発生時から死刑判決が出るまでが綴られた一冊。
    長い闘いです。
    言葉にすると簡単になってしまいますが、命の重さを感じます。
    生きている私たちが一番忘れてはいけないこと。
    それは一生懸命生きることです。

  • 犯人逮捕の時点から、光市の母子殺害事件は死刑賛否論と嫌でも結びついてきた。死刑廃止の声も出るなか、死刑の是非を問う上で、この事件は非常に重要な材料として扱われる。

    しかし、この本は、死刑の賛否が常に付きまとうこの事件を、その議論から一旦切り離してくれる。
    事件を単なる死刑賛否論の一材料として扱わず、事件自体を中心に据えて、事件発生から犯人逮捕、報道内容、裁判内容、本村さんが疑問を抱くようになる司法などを描いている。
    そこからみえる、事件に関わる人のもつ、死と死刑と罪という関係の捉え方が、私にとって最も印象強いものだった。
    これについては、自分の価値観と照らし合わせながら読むことで、自分の考えがより整理できたことが、私にとって非常に大きい。

    上で述べた、死と死刑と罪という関係の捉え方以外にも人と人との関係のなかで、重い言葉がいくつもあった。
    「労働も納税もしない人間が社会に訴えても、それはただの負け犬の遠吠えだ。君は、社会人たりなさい。」
    何かを主張する時には、その責任を果たせる身分を持っていないと、いくら正論であっても訴えが響きにくい。主張はその内容だけを評価されるのではなく、それが生まれるに至った背景や、主張している人間も合わせて評価される。
    それゆえ、背景や主張する人間の点で落ち度を指摘されれば、それによって内容が薄いものになってしまう。
    この言葉は本村さんに上司の日高さんがかけた言葉だけれど、主張の正当性だけを重視しがちな私にとって、それを諌められているような気になった。

    長くなったが、以上の二点がこの本を読んで、自分が特に強く思ったことである。

  • 光市母子殺人事件を9年間追った話。

    「人を二人も殺害し、謝罪すらしない人間を守る人権とは何なのかと」と当時の司法、社会に疑問をいだき、闘いを挑み逆転死刑を勝ち取った。

全89件中 1 - 10件を表示

門田隆将の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
東野 圭吾
村上 春樹
湊 かなえ
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)に関連するまとめ

なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)を本棚に「積読」で登録しているひと

なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)の作品紹介

1999年、山口県光市で、23歳の主婦と生後11カ月の乳児が惨殺された。犯人は少年法に守られた18歳。一人残された夫である本村洋は、妻子の名誉のため、正義のため、絶望の淵から立ち上がって司法の壁に挑む。そして、彼の周囲には、孤高の闘いを支える人々がいた。その果てに彼が手にしたものとは何だったのか。9年に及ぶ綿密な取材が明らかにする一人の青年の苦闘の軌跡。

ツイートする