球形の季節 (新潮文庫)

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著者 : 恩田陸
  • 新潮社 (1999年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234120

球形の季節 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 例えば、夏の日の突然の夕立。激しい雨の中から、ふわりと抜け出したことがあります。振り返ればどんより雨雲が広がっています。でも、今わたしは晴れた空の下に。見慣れたはずのいつもの街並み。アスファルトの道路。なのに、こっちとあっちで別々の世界になったような、そんな違う空気に包まれたような不思議な感覚を覚えました。
    谷津のあっちの世界は、混沌とした葦原の中つ國のようなイメージがわたしの中では広がります。まだ何モノでもなくて、善も悪も光も陰も全てのモノが混じり合ったような。そんな世界に跳ぶことは、ある人にとっては不気味だったり不安になったりするだろうし、でも、ある人にとっては自分をがんじがらめにしていたしがらみから解放されたような気持ち良さを与えてくれるんだと思います。
    「ここは自分の場所じゃない」なんて思ったことがあります。実はこっちが夢の中で、わたしは覚めない夢の中で無意味に時を刻んでいるだけなんて。
    自分じゃない自分になる。望んでなる人もいれば、その方法しかない人もいるんじゃないでしょうか。逆に全く必要のない人もいるでしょう。でも、それを選ぶのは自分であって、あっちの世界に足を踏み入れること、それは間違いではないのかもしれません。きっかけを与えるものは噂だったり、ゼツボウだったり、そういうものだとしても、みんな何らかの期待や祈りや好奇心や残虐性やらいろんなものが心の奥底に眠っていて、実は目覚める時を望んでいたのかもしれません。ただ、待ってる人がいるということを忘れずにいてほしいです。
    今も谷津はうつらうつらとしながら、覚めない夢の中にいるのでしょう。

  • 登場人物が無駄に多く散文だなという印象だった。一気に読めばまた印象が変わるかも知れないけど、大抵の人は途切れ途切れになってしまうと思う。
    そうなってしまうともう、あれ誰だっけ? どういう人だっけ? の繰り返しで全然物語りに集中できない。
    最終的にどうなってしまうのか、気になってしょうがない終わり方でここまで苦労しながら読んだのにと嘆きたくなる。
    色々とキャラクターに細かく性格設定がされていたが、どのキャラも好きになれなかったのは残念。視点がころころ変わり感情移入しにくかったからかもしれない。
    結局の所、偽善でしかない噂の首謀者の鬱屈した気持ちの正体はなんだのだろうか。病弱ということだけなら、なんとも悪質。
    丹野静の役割は藤田晋で十分だったろうし、忠彦と孝彦が双子である理由もなかった。マサルがいなくても物語に支障はない。
    登場人物が減ることで恐怖が分散することなく伝わってきたような気がします。

  • この作品は初めて読んだ。

    東北地方が舞台ということで、シンパシーを覚えた。登場人物が多くてちょっと混乱したけど、少しずつ物語がつながっていくのが面白かった。ラストはあっけなく、「これで終わり?」と拍子抜け。このあとみんなどうなったんだろう。

  • 10代の意味のない不安感と民話がドッキングした感じで面白かった。ただラストが読み手に委ねられすぎというか…
    こういうSFチックな作品って、ラストが難しいとつくづく思う。

  • 学園三部作2

  • 登場人物も多く、何度も戻りつつ読み進める感じになってしまった。
    外堀を埋められ、周りからじわじわと攻めてくる感じが、いい意味で何とも言えない感じ。

  • ジャンルはモダンホラーで、舞台は東北の田舎町です。
    モダンというのは「現代」という意味かしら。
    ホラーというよりは、ファンタジーのように思えました。

    近隣四つの高校で、とある噂が流れる。
    「五月十七日に遠藤さんが連れて行かれる」という内容だった。

    地歴研のメンバー達は、噂の真相を追究する。
    結局は何も分からないまま、当日を迎える。

    すると、一人の少女が失踪した。
    少女の名字は遠藤だった。

    至るところに落ちている金平糖。
    木の幹のウロに入れられたカセットテープ。
    不思議な雰囲気を持つ少年、少女達。

    当作に登場する少年少女達は、様々な考えを持っています。
    みのりは、緩やかな時の流れる谷津という町が好き。
    みのりの幼馴染み・行範は、谷津から出ていきたいと思っています。
    行範の友達・仁は、現代に生まれたことに不満を持っています。
    仁の彼女・裕美は不思議な力を持っていて、それ故の悩みを抱いています。

    当作のキーパーソン・晋は、もう一つの谷津が好きで、そこに皆を連れて行こうとしていた。
    眠った町である谷津ではなくて、もう一つの谷津。
    そこは何もないところで、選ばれた人しか行けない。
    ある者にとっては恐怖を覚えるし、ある者にとっては心落ち着く場所である。

    ラストで晋は、「八月三十一日に皆をもう一つの谷津に連れて行く」といった内容の手紙を出す。
    仁は怖いと思っていたのに、皆に止められていたにも拘わらず行ってしまう。
    晋のことが好きな久子は、行くことが出来なかった。
    行範は行ってしまうが、みのりは行かないで、皆が帰ってくることを願いながら河原で丸い石を拾う。

    その後はどうなったのかは書かれていません。
    多分、「とんだ」人々は戻ってこないでしょう。
    戻って来たとしても、今までとは何もかも変わっているでしょうから。

    当作で一番メンタルが強いのは、みのりですかね。

    田舎という閉ざされた空間には、因習や禁忌や暗黙のルールがあるようです。
    谷津の人々は、もう一つの谷津の存在を知っていると思います。

  • 丁寧過ぎる描写が原因なのか、読むのにてこずりました。

    分かるような、分からないような不思議な世界観。
    大人になっていく高校生の心の揺れを描いているのかと思いきや、そうでもないみたい。
    長篠高校の体育教師・結城貞之の過去に何があったのだろうか?
    現実を受け入れて前に進める者が、人として強いということなのだろうか?

    金平糖のおまじないや噂は小中学生レベルの内容なのに、高校生が中心の話でも違和感を感じさせないのは「地歴研」が関わったからなんでしょうね。

    噂が独り歩きして他人を傷つけていくと考えると、とても恐ろしい。

  • 2017.7.1(土)¥150(-2割引き)+税。
    2017.8.12(土)。

  • 今回は「跳ぶ」、「進む」。

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