六番目の小夜子 (新潮文庫)

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著者 : 恩田陸
  • 新潮社 (2001年1月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234137

六番目の小夜子 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 学校の怪談のような話を想像して、ずっと避けていた小説。
    今にして思えばタイトルが怖いんだな。騙された。

    確かにじんわり怖いんだけど、想像していた程ではなかった。
    というより、かなり充実した高校生活が描かれていてとても楽しい。
    登場する高校生もとても魅力的。謎めいているところも、怖いところも、全部ひっくるめてぞくぞくするくらい魅力的だ。

    そして学校という空間の怖さも思い出した。
    学校から解放された身としては、傍観者でいられることに心底安堵している。

    中にいる時にこの小説を読んでいたらどんな感想を持っただろう?
    そもそも私は本当に抜け出したのだろうか?
    抜け出したのだとしたら今私がいるのはどんな場所なのだろう?

  • ある地方の進学校に、十数年にわたり受け継がれてきた奇妙なゲーム。
    3年に一度、一人が鍵を渡され「サヨコ」となる。誰がサヨコなのかは明らかにされない。全校生徒が共犯。
    六番目のサヨコが誕生するはずの今年、美しい転校生の「沙世子」がやってきた。偶然なのかそれとも――?

    なぜ今まで読んでいなかったのかわからないけれど、今になってようやく読んだ、一時期絶版になっていたという恩田さんのレビュー作。
    どんな作家さんもレビュー作には初々しさとその作家さんらしさがあって面白い。
    この「六番目の小夜子」も、文章や構成に多少のぎこちなさがある一方で、恩田さんが自ら「既に私らしいところは全部入っている」と評するように、恩田さんテイストがいっぱいつまった一冊だった。

    物語の中にあっという間に引きいれられてしまうプロローグ、
    高校生らしからぬ落ち着きをもった理知的な美男美女、
    不思議な伝承が受け継がれている郷愁的な雰囲気の漂う学校、
    中盤の緊迫感あふれた全校生徒による劇(ここが一番面白かった)、
    ミステリー調でいながら、全部が解決するわけではない余韻ある結末・・・

    ふっと見えてくるイメージから作品を膨らませるという恩田さん。六番目の小夜子の生まれたきっかけは、学校のイメージだったのではないだろうか。
    “―その朝、彼らは静かに息をひそめて待っていた。”

    いくつかこんがらがったままになってしまった謎はネットで検索して何となくわかった気になりました(あぁまたやっちゃった、この安易な解決)。
    次はサヨコのサイドストーリー「図書館の海」を読んでみたいと思う。

  • 昔NHKのドラマで見ていた時、すごく怖くて、でもなぜか惹かれて、「中学校」ってこういうドキドキする場所なのかなぁと思っていた記憶がある。(ドラマは中学校だった)
    「学校」も、「小夜子」という名前も魔力を持ってる。
    七不思議や怖い話は怖いけれど皆惹かれていく。
    そういうものに似ていると思う。

    小夜子、と表題にあるのに一回も本編では小夜子という漢字は出てこない(と思う。違ったらごめんなさい)。
    沙世子かサヨコ。
    ずっと不思議だったのだけれど調べて見たら答えがありました。
    晶文社 土曜日は灰色の馬
    恩田陸 web連載
    第2回目 恐るべき少女たち
    http://www.shobunsha.co.jp/?page_id=1962

    恩田さんの中にはサヨコのイメージがあったんですね。

    学校の閉じられた空間、閉塞感、そういったものが凄くまざまざと感じられて校舎の匂いを思い出すようなそんなお話でした。
    ドラマと違った展開や登場人物もまたよかった。
    演劇シーンはもちろん、私が一番怖いと思ったのは沙世子の持っている人をコントロール出来るという部分。
    あれは多分持って生まれたものだろうけど、あれが一番怖い気がする。
    私も多分沙世子に似ていて、人と話しているといつも人の話ばかりを聞いていて、結果的に悩み事ばかりを聞いてあげているという図式ができていたりする。
    ここで沙世子と違うのはそれはそれとして利用するのではなく、私がそのコントロールに耐えられなくなって面倒になってしまうという幼さが出てしまうこと(笑)
    私がいつも聞いてることに気がついてる?私の話ししてないのは知ってる?わかってくれてる?と言いたくなってしまうこと。
    私がいなくなったら体のいい人がいなくなっただけにしかきっと思われないんだろうなと面白く無く思ってしまうこと。
    沙世子のように割り切れていない。
    でも割り切れてしまうことも怖いと思う。
    『六月の夜と昼のあわいに』の翳りゆく部屋のような。
    そんな気持ち。

    川に石を投げ入れたって、あとで拾いに行くわけじゃないもんな。
    この表現はどきりとして好きでした。

  • もしも長い時が経って、秋、由紀夫、雅子、沙世子が高校時代を思い返すことがあったとしたら。時の流れに記憶が曖昧になってるかもしれないけれど、あの学園祭の日に起きた竜巻の美しさは誰も忘れていないような気がします。でも、それは決して開けてはいけない、まるでパンドラの函のように思いました。読み続けている間、喉元に刺さった小骨のように何かがつっかえてるような、じっとりとした不穏な空気がまとわりついてるような、ほんの些細なことで壊れてしまいそうな、そんな不安定な気持ちにさせられました。一体何だったんだろう『サヨコ』って。学校って。微熱に浮かされたよう。
    でも、最後に沙世子と秋の関係が見えない壁をぶち破ったように感じました。
    生徒は水が流れるように留まることはないけれど、学校という容器はずっと其処にあり続けます。その中でまた、何かが生まれていくのでしょう。

  • 大学時代に友達から借りて一度読んだのですが、図書館で見付けて懐かしくなって借りました。面白かったです。高校三年生の爽やかな一年間の物語の中に、ひたひたと浸み込んでくる黒い影。サヨコ、という伝統に翻弄される主要な人物たちに惹き付けられました。学園祭の劇のシーンは狂気を感じました。主要な登場人物はそれぞれ魅力的でしたが、終盤出てきた美香子は好きになれなかったです。結局、サヨコとはなんだったのか、という謎は謎のままでしたが、それもいいな、という思いです。恩田さんの描く少年少女は美しくてなんてみずみずしいのだろう、と改めて感じました。

  • この小説の要がミステリかファンタジーか判らずに結末を迎える。物語の中で様々な謎が提示され、解かれる謎、あやふやなままの謎に別れた。このあやふやなままの謎が自分をモヤモヤさせる。
    すべての謎に解答が出る小説が好きな人には向かない本だと思う。自分は結構好き。

    物語では6番目と2番目の小夜子に焦点があてられていたが、初代の小夜子はどんな人だったのだろうか?

    こういう小説を読むと過ぎてしまった高校生活が懐かしくなる。

  • デビュー作。青春小説。
    印象が拡散する故に吸引力は弱いけど、やはり恩田陸は最初から恩田陸だったんだなあと思わされる。自分含め好きな人はとことん好きな恩田作品。
    なんでもないことを雰囲気たっぷりに仕上げるところとか、結局…?というオチの感じとか。学校という閉鎖空間、そこにある懐古、奇妙さ、恐怖、切なさ、甘さ。演劇。大人びて謎めいてる、でもやっぱり普通の(美)少年少女たち。
    私的に加藤くんが不憫だ。

  • 久々の再読。「六番目の小夜子」といえばやっぱりNHKでドラマ化したのを思い出す。
    リアルタイムで見ていたのだけど、とっくに記憶があいまいでホラーな終わり方をしたことしか覚えていない。
    小学生だった当時、そして原作を初めて読んだ学生の時分と比べて、学校という特殊な空間へのいとおしさを感じるようになってしまったのは歳のせいだろうか。
    この作品をホラーととらえるのもおもしろいけれど、やはり「六番目の小夜子」は青春小説なのだと、改めて認識した。

  • 綾辻行人「Another」読了後、どうしても読みたくなり積んでいる本の山から探し出してきた。

    恩田作品はこれ以前に2、3冊読みかけては挫折していたので「小夜子」も長年積みっぱなしにしていた。
    「小夜子」も読めるか心配しつつ読み始めたら・・・すぐに夢中になっていた。

    印象に残るのはやはり劇の上演場面。
    異様な空気感にゾクゾクする。

    読み終わってしまえば確かに、伏線の回収ができていないところや文体のアラなどが気にならないといえば嘘になるけれど、それが勢いにもなっている気がする。
    きっとデビュー作というのはそういう勢いがあるものなのだなぁ。

    その勢いの良さと、初めて読みきれた恩田作品という個人的オマケ点をプラスして☆5つ。

  • この物語のいちばんの盛り上がりは、なんといっても全校生徒参加の『六番目の小夜子』劇だと思います。
    張り詰める緊張感と伝染してゆく恐怖。
    集団心理を煽る舞台での演出にゾクゾクしました。
    しかし、ホラーやミステリー的なモノに期待して読むと、最後はうやむやな感じ。
    結局、無限ループ?と謎は残りましたが、初めての恩田作品とても面白かったです。

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六番目の小夜子 (新潮文庫)の作品紹介

津村沙世子-とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

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