- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101234151
感想・レビュー・書評
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恩田さんの作品を読むのも3冊目。初めて映画とは関係のない作品を読んでみました。冒頭推理小説かのような出だしに若干困惑しましたが、最初の章である エアハート嬢の到着 で一気に作品の世界に引き込まれました。他の作品もそうですが、恩田さんの作品は自身がその世界に連れ込まれるような感覚が強いですが、このお話はあまりの緊迫感にこちらも冷や汗が出る思いでした。ところが、次の章である 春 は全く違う世界観。ただし、最初の章のような緊迫感もなくすっかり油断をしていたところにミレーの風景画、春?まさか?という展開にビックリ。全く意識に止めていなかった章の最初の挿し絵を思い出して、ページを戻した瞬間、とても興奮してしまいました。
ただ、その後は私的には興奮が少しおさまった感がありました。若干ストーリーの難易度が上がって、作品の中から出て現実世界に戻ってしっかり読んだという感じでしょうか。また、最後の章は途中で結末が見えてしまったということもありました。
でも総じて独特のファンタジックな雰囲気をただよわせながら、それでいて心地良い余韻を残すような結末はとても良かったです。作品のジャンルは違ってもこの心地良い余韻はいかにも恩田さんという気がしました。
この作品も出会えてとても良かったです。
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物語の作りだけでなく、残す印象まで、とても不思議な物語。
“時代を超え、深く愛し合った男女が出会い、すぐに引き裂かれる”というアイデアと1枚の絵画にインスパイアされて書かれた物語が、膨らまされて、時空を超えて織りなされる。
1932年のロンドン、1871年のシェルブールのお話は、設定を引き受けた真っ当なラブストーリー。
その2つの話でネタが明かされ、そこからどうやって展開していくかと思ったが、1905年のパナマでは設定を隠し味にミステリー仕立てで興を惹く。
1603年のエリザベス女王の話はややくどい感じだけど、読み終えてみれば結構重要なパートだったと分かる。
そして1855年のオックスフォード、この作者ならでは世界を感じる中で、予定調和的な話ながら、収まるべきところに収まった話にちょっと感動。
その前に置かれた1969年のフロリダの話も良い感じ。 -
タイムトラベル×ラブなSFでした。
永い輪廻の中で出会うエドワードとエリザベス。
出会えても1人は全く分からない、なんてこともあるのに、輪廻の輪から抜け出せない。
切なく美しい物語でした。
SFは苦手だけど。
これも映像化したら面白そう。 -
いやーステキなラブストーリーだった。
特に、「春」と「記憶」が良かったな。「イヴァンチッツェの思い出」もこの中では異色な感じで良かったかな。「天球のハーモニー」はイマイチよくわからんかったけど。
あと、なんというか全編通して翻訳小説っぽい文体が面白かった。 -
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すれ違いものは恋愛小説の王道ですが・・・こ、これが恩田式すれ違い・・・(畏怖)
いつものことながら、ハイレベルすぎますよね・・・!!
...すれ違いものは恋愛小説の王道ですが・・・こ、これが恩田式すれ違い・・・(畏怖)
いつものことながら、ハイレベルすぎますよね・・・!!
『きみがぼくを見つけた日』ですが・・・観たことないです、チェックしておきます!!
転生というだけではなく、それこそ「時をかける少女」的なタイムリープものでもなく・・・。
私も、2人が何度も生まれ変わり、その中で少しずつ重なり合っていく関係・・・??みたいな印象でした・・・。
時間軸というか、たしかになんとなく違和感がある部分もあるんですよね・・・。
それも含めて、2人が不思議なすれ違いを繰り返しているのかな~~と、私はなんの疑問も持たずに読み進めていました・・・。
さすがf0314087さん、深い考察をしながら読んでいらしたのですね・・・!!すごいです!!
エヴァは!笑
考えるんじゃない、感じるんだの典型ですからね!!笑2016/07/16
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不思議な気持ちになる本だった。途中に挟んである絵と話が繋がっているのに気づいた時感動!歴史勉強して、また読み直したい。
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梶尾真治氏の解説「妄念の淵に沈む輪廻」が面白かった。
『私と、この人は血を分けた兄妹ではないのか。』
笑えました。梶尾真治氏の小説を読んでみたいなぁと思えました。取りあえず、「時尼に関する覚え書」読みたい。
ライオンハートについて。カラーの絵画が文庫に挟まれているのが初めてでなんかいいです。恩田さん初の恋愛小説。なんだろう?「蛇行する川のほとり」で暁臣が毬子にキスするシーンや「黄昏の百合の骨」での理瀬がさらっと寝たことの方が驚きがありドキドキしました。(色んな意味で)
何度も生まれ変わるなかで、一瞬出会える。ヨーロッパ、アメリカが舞台で女の子が好きそうな小説。設定としては嫌いじゃないし、大好きです。
「わたしのライオンハート」って「わたしのユージニア」を思い出しました。
★は普通なら3ですが、解説が面白かったので+1します。