夜のピクニック (新潮文庫)

  • 24787人登録
  • 3.83評価
    • (2999)
    • (3346)
    • (3669)
    • (394)
    • (92)
  • 2802レビュー
著者 : 恩田陸
  • 新潮社 (2006年9月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234175

夜のピクニック (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 第2回本屋大賞受賞作品。
    作者が水戸一高在籍時に参加した学校の伝統行事である24時間長距離ハイクがモチーフとなっている。

    この作品は高校生がひたすら歩き続けているだけのストーリーなのだが、一緒に歩く仲間が入れ替わったり、そこでの会話や行動などで、青春の痛みや輝き、人の温かさ、友情の尊さなどを知り、高校生たちが成長していく物語である。よくぞこの退屈なシーンの連続だけで、ここまで書いたものだと感動できる素晴らしい作品。

    青春小説の傑作で、私の大好きな作品でもあり、ブクログの「お気に入りベスト3」では、辻村深月「スロウハイツの神様」に次いで第二位に挙げています。未読の方は是非読んでみてください。
    お薦めです。

  • 全校生徒が24時間かけて80キロを歩きとおす歩行祭。
    その24時間が、貴子と融それぞれの視点から描かれる。

    長くただただ歩いていると、もちろん体は疲れてくる。
    とりとめなくいろんなことを考えたり、考えているつもりで気付くと何も考えていなかったり、と思考に波が出てくる。
    心身ともに疲労すると普段自分を飾っている余分なモノがすとーんと落ちてしまうのかもしれない。
    そんな状態だからこそ、ワケありの二人も自然な乾杯ができ、お互い近づきたがっている心を素直に表せたのかもしれない。

    あっさりさっぱりした会話、達観した感のある考え方など、高校生と思うとリアリティがないかもしれない。少なくとも自分の同時代に照らし合わせると、自分含め周りにもここまで気持ちよい人間関係はなかったなーと思う。
    でもリアリティがなさすぎて(←わたしには)、一回りしてリアルに思えてくるから不思議だ。
    そしてリアルに思えた瞬間、登場人物たちの高校生活、なかでもやはりこの24時間がとてもうらやましくなる。

    二人の周りの友人が良い子たちばかりでできすぎな気もするけれど、悪い人が出てこないお話、というものがキライではない(むしろ好き)ので良しとしたい。

  • ものすごくいまさらながら、だけれども読んだ。評判どおり、すごくよかった。おもしろかった。
    なにげない、脈略なく続くような会話がすごく読みやすくてするすると読めて、いつまでも読んでいたい感じ。恩田作品はそれほど読んでいないのだけれど、恩田さんのこういう会話ですすむ話がわたしはとても好き。会話で、それぞれの性格分析がされるようなところとか。相手の言葉をきいてその心やそれをきいてる自分の心までさぐるようなところとか、興味深い。

    それにしても高校生たちが大人っぽいな、と。互いのことを思いやり、気持ちや立場をくんで会話してて、実際、こんなふうに客観的に考えられるかな、と。でもそこがまたいい。高校生を描きつつ、普遍的というか。
    高校生たちが、自分たちの将来というかもっと先の老後や死までちらっと考えるところもよかった。
    こんなふうに、すごく率直にいろいろ深い話ができるということが、大人になった今、単純にうらやましかったりも。

  • 『蜜蜂と遠雷』を読み、著者に注目していたが、「永遠の青春小説」と謳われる本書には、手を出しかねていた。
    なにしろ、高校時代など半世紀も昔の身にとって(笑)、読むこと自体に抵抗がある。
    しかし、同年代の友人がこの間読んだというので、勇気をもって(笑)手に取った。
    朝の八時から翌日の八時まで、24時間かけて80キロを歩き通す、高校の「歩行祭」を舞台に、異母兄弟ゆえに互いに距離を置く男女の高校生と、彼らと彼らを取り巻く高校生群像が、みずみずしく描かれている。
    「腹違いのきょうだいが同じクラスにいるっていうのは…少女漫画かTVドラマみたいじゃん」と、作中人物に言わせてはいるが、その設定に少しも無理を感じさせないのは、やはり著者のなせる技だろう。

    小説ってのは、不思議な魅力があるものだと、改めて感じた。読んでいる間は、彼ら高校生たちの心象に違和感なく入り込んで、恰も彼らと同年代であるかのような錯覚にすら陥り、彼らが何ともいとおしい気持ちになる。
    それも、名作と言われるこの作品ゆえか。

  • 夜というのは、非日常に繋がりやすい時間帯だと思う。
    暗から明へ、心にある鬱屈したものも、朝日に向けて浄化をはじめてゆく。

    村上春樹の『アフターダーク』も一晩を通して描かれる話で、まったく設定は違うのに、朝に向けてポジティブに動きだす所は共通しており、面白い。

    私の母校でも、『夜のピクニック』と同じイベントが開催されていたのだが、こんなドラマチックな展開に出逢うなら、参加しておけば良かったと後悔しきりである。

    時間の流れと、思いの変化が本当に上手く描かれている。
    こういう小説は、ぜひ読書ビギナー向けのフェアに入るべきだし、長く読まれ続けることを願う。

  • なんだろう、大したこと何にも書いてないんだけど、とても良かった!本の中で登場人物が「ただ歩いてるだけなのに、なんでこんなに楽しいんだろうね」という台詞そのもの。
    むかし70キロのレースに出たことがあって、その状況を思い出しながら読んだ。高校生で、こんな貴重な体験できたら、一生の思い出になるだろうなー。作り話なんだけど羨ましい。
    登場人物の気持ちが丁寧に描かれていて、とても入り込めた。ただ、ここに出てくる高校生、みんな大人だなーーと(つくり話だけど)感心して読んでしまった。

  • 恩田陸の名作のひとつ。夜のピクニックで何が起こったか?というと、特に何も起こっていない。なのに、こうも惹かれて、ぐいぐい引き込まれて、かつての青春時代を思い起こさせる。読者に、こういう経験あったな、って思わせる。大切にしたい一冊。

  • ブクログのレビューを見て手に。

    良かった~。
    これぞまさに青春。読んでいてなんとも清々しい。青春の王道です。

    40歳目前のおじさんには、なんともほろ苦すぎて胸が痛い。
    高校生の時に読めれば良かったと悔やむ反面、今読んだからこそ。とも思う。
    もし、高校生の頃に読んでいたら、当時の自分と比べてしまいそうで。羨ましく思っちゃうんじゃないかなぁと。
    今なら当時の自分に、君だって十分青春してたよ。と客観的に思えるけれど(笑)
    うん。やっぱりこれは大人が読むべき本かもね。

  • いい話だった!

    ただ歩いてるだけなのに、人間関係や価値観が少しづつ変化していく描写が綺麗でした!
    登場人物の体調の叙述が「疲れた」「だるい」が続くのに対し、風景や心情の叙述が細かく変化する様が印象的でした。

    「辻村深月好きなら、恩田陸好き!」という感想を読み、読んでみましたが、その通りかもしれません!
    伏線は辻村さんの方が綺麗な印象を受けましたが、メッセージ性は同じぐらい凄い!

    あー本当これ、高校時代に読むべきだわ...
    オレ、青春してたかなー

  • 朝8時から翌日の8時まで歩き通す「歩行祭」を舞台に、主人公のふたり、甲田貴子と西脇融の関係を描いた作品である。作中はその「歩行祭」24時間だけで完結する。たった一日のお話にも関わらず、これだけ分量があり密度が濃い。ただひたすら歩く、それだけの事(物語なので当然それだけの事、ではないが)を、青春の1イベントとして光を当てるとこんなにも輝いてみえるのか。なにしろ退屈な場面が全く無い。あるのは主人公達のほんの少しの立場の変化と、大きな内面・関係の変化だが、話が終わる頃には切なくも包み込むような優しい感動を与えてくれる。

    丁寧かつ読ませる題材・文章で、一息に読めて、読後感もとても良い。歩きながら揺れ動く淡い心。瞳を見ては激しく揺れ、あるときは想うだけで浮き沈み、あるときは言葉を交わしても凪立つ事ない、そんな青春のおもいで。

全2802件中 1 - 10件を表示

恩田陸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
宮部 みゆき
石田 衣良
有効な右矢印 無効な右矢印

夜のピクニック (新潮文庫)に関連する談話室の質問

夜のピクニック (新潮文庫)に関連するまとめ

夜のピクニック (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

夜のピクニック (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

夜のピクニック (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

夜のピクニック (新潮文庫)の作品紹介

夜のピクニックは恩田陸さんが高校生を主人公にして描いた小説です。
小説の舞台の高校で、24時間耐久のピクニックが学校行事として行われます。高校生が昼食と夕食を食べ、仮眠をとりながらひたすら歩きます、ただ歩くだけということですが、その非日常的な行事を通して、登場人物たちが成長していく作品です。

夜のピクニック (新潮文庫)のKindle版

夜のピクニック (新潮文庫)の単行本

ツイートする