中庭の出来事 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234199

作品紹介・あらすじ

瀟洒なホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。容疑は、パーティ会場で発表予定だった『告白』の主演女優候補三人に掛かる。警察は女優三人に脚本家の変死をめぐる一人芝居『告白』を演じさせようとする-という設定の戯曲『中庭の出来事』を執筆中の劇作家がいて…。虚と実、内と外がめまぐるしく反転する眩惑の迷宮。芝居とミステリが見事に融合した山本周五郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • はじめ一区切り読んだんですが…んん?
    設定が難しいのとなんの今なんの話をしているのか理解が出来ず断念
    またいつか挑戦するときがきたら…

  • 中庭で起きた殺人事件?の演劇という感じの作品です。
    2006年作品で、バブル崩壊から立ち直れない日本、
    3年後、追いうちをかけて、リーマンショック。
    さらに5年後には東日本震災。
    2019年11月にはコロナが発生し、2020年を
    迎えている。まさに「ブラック・スワン」

    主な登場人物は曲者女優3人、脚本家、刑事。
    私的には壊れたレコードのように繰り返される文章が少しずつ、1部書き換えられている印象で、だんだん、いらいらと麻痺を起こした感じ。リズムが悪く、読者を疲れさせて、思考回路を低下させる目的があると、邪推してしまう。

    現在、老若男女問わず、ストレス社会において、権威のある人、高学歴の人でさえ、耳を疑う事件を起こしている。

    ゴシップを好む人の性を逆手に取った舞台作品に価値は本当にあるのだろうかという所感。

  • 読み手を置き去りにした小説。たぶん執筆時に興味を引いていた演劇の手法で実験的な試みをしたのだろうが。チャレンジするのはいいことだが、お金をとるからには、読者を意識して欲しい。あまりに自分勝手な小説。しかし、この本に賞を与えた山本周五郎賞の選者は何を評価したのか?恩田陸には、もっと素晴らしい小説が沢山あるのに……

  • 地の文と聞中劇、劇中劇中劇が並行して進み、最後は階梯が侵犯されるかのように溶け合うメタフィクションの構造。ただ、やはり似たような繰り返しが多くて読むのが退屈になる。謎解きのカタルシスもさほどない。技巧を凝らしただけの小説。好みではない。

  • 解説の小田島さんが赤、青、黒で色分けしながらと言っていましたが、本当にそうしないと訳が分からなくなるような作品でした。
    一体今はどの視点なのか…読み進めながら訳が分からなくなってきてしまいましたが、それでも楽しめたと思います。
    再読すればするほど、新しい発見があって味わい深くなる物語ではないでしょうか。

  • いやー、面白かった。恩田陸さんの作品はあまり読んだ事がないのだけどこれは素晴らしい小説だという事が途中で気付くぐらいには面白い。場面転換が多いのでそれに振り落とされないように必死になって食らいついていったその先にあるオチも好み。本当に芝居とミステリが上手い具合に融合した小説。皆なにかを演じているという点では世界は全て劇場だ。

  • 著者のマジックにかかって、最初は話がどう展開しているのか分からなかった。恩田陸さんはとても凝った本を書くなと驚かされる。私たちは皆、観客になったり、役者になったりしている。生きるということは、演劇の世界のようだ。私もどこかの「中庭」で、私という役を演じているのかもしれない。

  • おもしろかったー!すごい凝ってて複雑で、劇中劇中劇みたいになっててだいぶ混乱した(笑)。
    役者っていう職業がとってもおもしろく思えた。劇を見てるときって、たしかに他人の人生に浸かってるようで、でもその中に自分を見てる。本読んでるときも、旅行してるときも、そうだよね。なんだかおもしろいなぁ。

  • 女1、2、3とかで直接これが誰、と書かれてないから、どれが誰が分かるまで頭がごちゃごちゃになりながら読んだ。読み終えた今でもまだごちゃごちゃしてるので、もう少し空けてまた読みたい。

    女優たちの話はまだ分かりやすいんだけど、男たちの話がどうもイマイチ分からない。

    みんなそれぞれ何かを演じている、というのにはかなり共感した。

  • 入れ子式の小説が好きな私にとって大好物の小説。
    これはどの次元の世界なのか考えながら読んでいくと、ストーリーの関係性が明らかになるところあり、その一方で分からない部分あり、余計ごっちゃになってしまったまま放置された部分あり…と、最後に全ての謎が明らかになるのが好きな人にはあまり向かない。
    しかし、謎を放置したまま綺麗に完結させるのが恩田陸なのであって(私的な意見)、最終的には台本の中に読者をも巻き込む終わり方は、恩田的入れ子式小説の集大成なのだ、と勝手に思っている。

    気が向いたらもう一度再読して、改めてストーリーの関係性を明らかにしてみたいと思う。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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