人の砂漠 (新潮文庫)

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著者 : 沢木耕太郎
  • 新潮社 (1980年12月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235011

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人の砂漠 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 陽の当たらない生活を強いられた人々を描いた沢木耕太郎のノンフィクション集。昭和40年代後半という時代の出来事であり、私の生まれる数年前~直前にこのような世界が日本にあったという事実に驚かされる。いや今も存在していて、自分が目を背けているだけなのかもしれない。近づいて肌身で感じたい世界だとは決して思わない。それでも引き込まれてしまうのは、各短編に出てくる人々の生き様が強烈すぎるからだろうか。

  • 断片的に読んだため読後の印象が散漫だが
    ・「おばあさんが死んだ」・・・元歯科医の老女
    ・「鏡の調書」・・・銀座の煙草屋と称した詐欺師の老女
    の話が特に面白かったように思う。

  • いろいろな生き方をしている人間にスポットをあてた短編集。「鼠たちの祭」では穀物相場を張る相場師たちの生き方を紹介している。桑名の板崎氏の激しい浮沈のストーリーには感銘を受ける。

  • 沢木さんは私の知らない世界に案内してくれる。
    フィクションなのに小説の様に面白い。
    この本は、8つの世界について書いてある。
    孤独死、婦人保護施設、与那国、根室半島、屑の仕切場、相場師、天皇不敬罪、詐欺師。
    どれもうわっつらを拾っただけの文章ではなく、沢木さんが足で拾い集めたり体験した中での文章なのですごく伝わってくる。
    このような世界があるなんて、私はまだまだ世間知らずなんだなぁ。

  • 沢木耕太郎独自の視点が濃密な人間模様を織り成す。収録された8篇いずれのルポも素晴らしい。個人的なお気に入りは沢木氏の人への暖かい視点を感じる「屑の世界」だが、天皇への(旧)不敬罪を犯した者たちを追った「不敬列伝」が作品として光る。社会的タブーを敢えて取り上げ、事件当時の新聞記事を冒頭に置き、意外にも普通の等身大であった者たちの姿は興味深い。

    「深夜特急」「バーボン・ストリート」で見せる軽やかで都会的な文章とは一味違う、深くて濃い空気感を味わうことができる一冊である。

  • ルポの大傑作。
    8作ある中で、一つも重なるものがない。こんなにも違った見方が出来るのか、と感激する。
    餓死した老夫婦の悲壮さを描いたと思ったら、南の島で太陽と褐色の肌を描く。そして、一つ一つに人が印象深く描かれている。
    僕もこういうルポを書きたい。

  • 2013.7.28読了。

    ジャンルとしてはルポルタージュ、ノンフィクションであるが 、その衝撃や感動、熱量といったものは小説をはるかに凌駕する。

  • 日本で生きる、
    様々な人たちの
    知られざる生活。

  • 再読なので評価無し

  •  このノンフィクション短編集に登場する人たちは、決して英雄じゃない。世間から弾かれた人たち、世間から目を向けられない人たちだ。
     「おばあさんが死んだ」は、孤独死した老人の話。著者の丹念な取材と見事な文章によって、一人の人間の人生の悲哀がこちら側にひしひしと伝わってくる。
     著者は老人を取材対象ではなく、ひとりの人間として見ている。その誠実なまなざしが物語に力を与えているのだと思う。決して社会的な問題を提起するわけではない。ただひたすらその人の人生を深掘りし、真実を汲み取ろうとする。それが沢木耕太郎というライターのいちばんの魅力だと思う。

  • 初めて沢木さんの本を読んだ。この当時が人間の砂漠だったのだから、今はもうその脅威は大方すべての土地に舞い降りているのだろう。
    人が目に付けないところに焦点を当て、それを足を使って調べあげて文章にする。そんな生き方もおもろいな。

  • 単行本は1977年の刊行。ルポライターとして活躍していた沢木さんが、昭和40年代を中心に取材してルポした8編がおさめられています。一体のミイラと英語まじりのノートを残して餓死した老女の過去を追った「おばあさんが死んだ」、屑の仕切り屋の日常を描いた「屑の世界」など、生きることや人生について、改めて考えさせられてしまうものばかり。登場人物がまた個性的な人ばかりで、どんどん引き込まれてしまいます。30年以上も昔の話なので社会状況はかなり変化していますが、今の世情と比較しながら読むのも一興。与那国島の海の向こうに見える巨大な島影が台湾だと聞いて“外国”を意識したという「視えない共和国」。深夜特急を読んだ人は思わず「これか」とつぶやくでしょう。

  • 枕元において一ヶ月ほど読み続けた。現在の沢木さんの文体とかなり異なる印象。読むのに苦労したというのが正直な感想。

  • 普段あまり読まないノンフィクション。とても引き込まれた。
    20代でこんなものを書いた沢木耕太郎という人物に興味が湧いた。なんだかかっこいいなぁ。

  • この本には、8編のルポタージュが収められている。俺は、その中の「不敬列伝」という、戦後、昭和天皇に対して、不敬をした人々の人生を追ったルポタージュに興味がありこの本を読んでみたのだが、「不敬列伝」以外のルポタージュも全て興味深く読めた。興味深かった幾つかを以下に書いていく。

    「棄てられた女たちのユートピア」、これは、千葉県の館山にある「かにた婦人の村」という、元売春婦達の養護施設、そこの入所者達と創設者で施設長の深津文雄のルポタージュである。入所者のほとんどが知的障害者であり、売春婦という仕事も関係してか、人間関係がズタズタになり絶望してやってくる。入所してもすぐ脱走して売春婦に戻ったり、会話も一晩に何人の客をとったとか、やっているとき膣痙攣をして困ったといった内容であったり、男性職員と二人きりの部屋で気絶したふりして、抱かせようと誘惑したり、と苦労は絶えない。施設長の深津は、「愛にはファーザーの愛というものもありうるんだということ」を彼女達に教えるべく悪戦苦闘する。苦労の連続であるが、一方で彼女達の微笑ましい一面や人間として不思議な力が魅力的だ。さっちゃんという入所者は、保護された時には自分の名前も生年月日もしらなかったという。語彙は少なく、どんな作業にも向いていなかったが、粘土を与えると立派な陶工になり、それと同時に、少しずつ知能の進歩が見られたという
    。かにた村には、製陶工場があり、彼女達はそこで縄文土器を作る。作者の沢木耕太郎も彼女達と縄文土器作りに挑戦したが上手くいかなかった。要因は、すぐに作り上げようとして壊れたり、急いで失敗と時間に耐えられなかったためだ。縄文土器は土ひもを少しずつ積み上げてつくっていく。あまり急ぐと上の重みでつぶれてしまう。彼女達は縄文人がしたであろう作り方をそのまま踏むことができる。時間に追われ、能率を求められるシャバの人間には、縄文土器は作れない。

    彼女達の元売春婦、知的障害者、棄てられた同然でのかにた村での入所、彼女達に翻弄される職員や施設長深津、とヘビーな要素に、子供のような彼女達の一面や不思議な能力を持っていたりするというほのぼの要素が奇妙に混じった不思議な読後感を覚えるルポタージュだった。

    「視えない共和国」は、北緯24度27分 東経124度0分那覇まで520キロ、台湾まで170キロという日本の最西端に位置する与那国島のルポタージュ。与那国島は、今でこそ人口は千人ちょっとと少ないが、戦後僅かの間人口が一万数千人に膨れ上がった事があった。台湾ー沖縄ー本土の闇物資の中継点として栄えたのだった。闇取引は、アメリカが目を光らせた事により、下降したが、依然、与那国の島民は台湾という日本と国交がない国に親しみを持っている。もちろん再び台湾と取引して一儲けしたいという気持ちもあるが、それに加えて沖縄より近い「島」として(「国」ではなく)親しみを持っているのだろう。また台湾は戦時中は日本の植民地だったため、与那国から豚・魚などの農水産物、台湾から日用雑貨品という具合に両島の交流は活発で、戦前に台湾へ出稼ぎに行く人も多かったという。島民の言葉がおもしろい。
    「沖縄は知らなくても、台湾は知ってますよ、この島の人は」
    その台湾への親しみ故に船の上で物々交換したり(禁止されている)、日本の警備艇が台湾漁船が領海侵犯しているのを取り締まりに行くという情報を隠密裏に伝えたりという事も行っているという。「遠くの身内より近くの他人」という言葉を思い出した。
    「与那国島の人たちの台湾に対する「親密な感情」は、戦後両島が異国としての国境線が画定されたのちも残っていた。それゆえに、政治上の国境線はひかれても意識の中の国境線はまだひかれなかったのだ」という沢木耕太郎のズバリな文章に納得。

    「ロシアを望む岬」... 続きを読む

  • 母にすすめられて、初めて読んだ沢木さんの本。深夜特急を別とすれば、この本から入るというのは悪くないと思う。

  • 久しぶりに出会った時間を忘れるほど熱中した本。
    どの話も実際にあった話であるためかぐいぐい引き込まれてゆく。
    いくつか真相がはっきりしない点があり、その部分が気になるがノンフィクションであることを考えると仕方がないのだろう(「お婆さんが死んだ」など)。
    また相場の仕組みをある程度把握していないとわかりにくい話もある。

    今回は図書館から借りて読んだが、手元に置いて何度も読み返したい本であるかも

  • ★格好良すぎるだろう★1977年の書籍だけに取り上げたトピックは時代を感じさせ、「ゆきゆきて、神軍」の奥崎謙三の取材があるのには歴史的な本とすら思った。だが、文章の書きぶりには古さを全く感じない。やたらと自分が出てくるノンフィクションは「格好つけ」に思えてあまり好きではないが、目の付けどころと違和感は今でも新鮮だ。たとえば不敬者の言動から反射させる天皇制の見えなさ、相場から逃げられない男に抱く(無責任な)共感。やはりうまい。

  • 窮乏者、元売春婦、辺境の孤島に住む人々、鉄くずの仕切り屋、革命家、詐欺師…。この本に出てくる人たちはいわゆる「日のあたらない場所」にいることが多いのですが、彼らを見つめる作者のまなざしが優しいです。

    つい最近知ったことですが、この本に書かれていることが映画になったんですってね。だからここで取り上げるわけではありませんが、この本には非常に思い入れの深いものがあります。窮乏者、元売春婦、辺境の孤島に住む人々、鉄くずの仕切り屋、革命家、詐欺師…。この本に出てくるのはそういうなんというのか…。いわゆるあんまり日の当らない世界に生きている人たちである。

    確か、僕がこの本をはじめて読んだのは大学時代のことだったと思うが、後に僕がなし崩しに社会人になってから身をおいていた社会のひとつが、この本の中に描かれている、日本橋蛎殻町の商品相場を舞台にした世界とそこに棲んでいる相場師を書いた『鼠たちの祭り』と作者が実際に廃品回収業者で仕事をしながらそこに出入りする「曳子」と呼ばれる人たちを見つめた『屑の世界』が僕のお気に入りです。

    僕はこの二つの世界を実際に目の当たりにしたのでずいぶんと思い入れがありまして。もう何十年も前に書かれたにもかかわらず。こうして僕が読んでも新鮮さを感じるのは、その世界に流れている時間がある時期からとまっているからでしょうか?そんなことを感じさせました。

  • それは、ワカモノが身一つで旅をする、現地の人や風土に飛び込んで騙されたり熱を出したり気にかけてもらったりしながら何かを(時には自分自身とやらを?)発見していく、「深夜特急」で有名になるずっと前。
    大学を出たばかりの、まだほとんど何者でもない沢木耕太郎が見つめていたのは、”普通の”人々だった。

    かなり初期の作品集。「おばあさんが死んだ」ほか全8本収録。
    当時はまだノンフィクションという言い方よりも、ルポ、ルポルタージュという言い方のほうがメジャーであり、それを書く人はルポライターと呼ばれるのが一般的だった。
    本多勝一さんらが牽引していたかと思うが、その多くは新聞記者やその出身者で、記事を書く取材方法や恐らく人脈や手法で書かれた、記事よりもっと深く突っ込んだ長いもの、という認識だった。政治やスポーツ、世界各地の風土や情勢、有名人など、どちらかというと変わったもの、ダイナミックなものに題材を求めているものが多かったように思う。

    それらに比べると、”普通の”人々のいかにも小粒な人生は、それまで、あまり光が当てられることがなかったのではないか。
    名もなき人々の、普通の毎日の中の小さなざわめきは、少なくとも、初めてこれを読んだ私には新鮮だった。

    小さなざわめき、小さな切れ端から、その人の人生の全体を掬い取ることにかけて、沢木耕太郎はほかに類を見ない巧さだったし、先駆者だったとも思う。
    どの切れ端を選ぶか、が、彼の嗅覚の特異さであり、それを元にどうアプローチし何を浮き彫りにしていくのかが、彼ならではの独特の手腕だった。

    そうやって彼に掬い取られた時、なんでもない普通の人生は、鮮やかな光と影を得て、物語として立ち上がってくるのだ。

  •  おばあさんネタ、2作が面白かったです。

  • 与那国島をみてみたくなった。

  • 期待の方が先に立ち、それほどでもという感想。しみったれている。

  • 記録。

    与那国島の話が結構後からじわじわくるな。

  • 84019

    事実から劇的要素をえぐり出す嗅覚の鋭さ。

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人の砂漠 (新潮文庫)の作品紹介

一体のミイラと英語まじりの奇妙なノートを残して、ひとりの老女が餓死した-老女の隠された過去を追って、人の生き方を見つめた「おばあさんが死んだ」、元売春婦たちの養護施設に取材した「棄てられた女たちのユートピア」をはじめ、ルポルタージュ全8編。陽の当たらない場所で人知れず生きる人々や人生の敗残者たちを、ニュージャーナリズムの若き担い手が暖かく描き出す。

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