- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101235035
感想・レビュー・書評
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沢木耕太郎の一瞬の夏を読みました。
ノンフィクションで落ちぶれてしまったボクサーを、もう一度チャンピオンにするために援助して頑張るのですが、最後はタイトル通りと言う感じです。
淡々と話が流れる感じで、後半盛り上がり中々面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
元東洋チャンピオン・カシアス内藤と東洋チャンピオン・柳済斗との再戦の実現に向けて、動き出す。
柳サイドとの交渉に奔走する『私』。
柳とのタイトル戦が何度も延期となり、生活のために、トレーニングを犠牲にして、働くカシアス内藤。
そんなカシアス内藤に苛立つエディ・タウンゼント。
柳済斗との再戦へのそれぞれの想いにずれが生じ始める…
『オトシマエ』をつけることはできるのか…
ノンフィクションだから、ドラマティックなものを求めるべきではないのか…
なんだかもどかしい…
何かもの足りない…
カシアス内藤に何か共感できないものがある…
もっとやれるだろって、感じる…
何かどこかで逃げているような…
何かもの足りない…
小説の主人公にはなり得ないんだろう。
ボクシングで本当に生活できるのはほんの一握りなんだと。
東洋チャンピオンになったにもかかわらず、生活が苦しいなんて…
結局、カシアス内藤は負けて、内藤純一として、夫として、父親として、生きることが1番よかったのだろう。
ディスコの店長が言ったように。
『負けた方がお前のためにはいいかも』 -
ノンフィクションというのだから、小説とは違い、かなりの部分が事実というところか。
正直なところ、長すぎる作品だが、読後感は良い。 -
再起第一戦を勝利で飾り、続く第二戦にもKO勝ちをおさめた
カシアス内藤。そして、次に狙うは東洋ミドル級チャンピオンで
ある柳済斗との試合だ。
それは、内藤が望んだ「オトシマエ」だった。「クレイになれな
かった男」で敗れた相手ともう一度闘いたい。その思いが、
内藤をトレーニングに駆り立てた。
しかし、事は順調には運ばない。韓国のプロモーターとの
交渉、契約に際しての駆け引き。ルポライターであるはず
の著者は、いつの間にか内藤の為に、試合のマッチメイク
に奔走する。
度重なる試合の延期と、難航する契約。その中で、1年を
かけて作り上げて来た内藤の肉体と生活に変化が現れ、
同じ夢に向かって走っていたはずの人々の間には徐々に
亀裂が入って行く。
1979年8月22日、韓国・ソウル。この日の為に疾走して来た。
運命の日。分かっていて、読めなかった。最後の50ページ
弱が、どうしても読めなくて丸1日、本を開くことが出来な
かった。
小説なら大団円で終わっているのだろう。だが、これは現実
に起こった話だ。夢は、ソウルの夏の夜にあっけなく散った。
「リングに上がって……初めて、足が震えなかったのに……
生まれて初めて、怖くなかったのに……」
生来の気の優しさから臆病とも評されることもあった内藤が、
持てる力を掛けた時は終わった。
そこへ辿り着くまでには、同じ時に、同じ夢に向かって、走り
続けた男たちがいた。
物悲しい結末だが、最終章の「リア」で救われる。一瞬の夏
に、夢は終わった。だが、夢の終わりから、また違う夢が
始まるのだ。 -
実在したボクサー カシアス内藤の現役復帰を描いたノンフィクション。この作品を読んでボクシングの興業に少し興味がわいた。機会があったら生で観戦してみたい。
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ついに生活が逼迫し、仕事を始めてしまう。
そして練習時間が取れなくなり、体に肉が付く。
万全では無い状態でリングに上がらざるを得なくなる。
そして敗北。
ボクシングとは本当に厳しい世界だと思う。
実力だけではなく、お金、周りの人の協力、特にひいきにしてくれる力のある人物などが、この世界で成功するためには必要なのだ。 -
体力的な衰えだけでなく精神的な持続力も翳りを見せてきたカシアス内藤。その彼が対戦を望む韓国の柳選手との試合を実現させようと東奔西走する作者の前に様々な問題が立ちふさがる。
困難があっても簡単に諦めるのではなく、どうすれば実現できるかと考えながら行動することが大切だ。
カシアス内藤のその後を知りたいと思った。 -
上巻と同じ感想。
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障害物だらけの人生の中、
どこまで本気で向き合えるか、
自分の人生をここぞという時に賭けれるか。
カシアス内藤と沢木さんの話。