【旧版】深夜特急6 ー南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.90
  • (688)
  • (601)
  • (838)
  • (34)
  • (3)
本棚登録 : 5809
感想 : 409
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235103

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 地図を見ながら、街から街へ指で追いつつ読み進めた全6巻。臨場感ある文章から風景を思い浮かべながら、まるで自分も旅をしているようだった。

    フランスのカレイからイングランドのドーバーへ、バスごとフェリーに乗って渡ったくだり。私も同じ方法で渡ったことがあるため、すごくリアリティを感じた。

    筆者はその後、アイスランドへ行ったのかどうか。そんなことは、大した問題ではないのかもしれない。とにかく、旅はまだまだ続くのだ。
    (2016/1/23)

  • 16.jan.1

    やっと読み終わった。やっとロンドンに着いた。思ったよりカタルシスの感じられない旅の終わり、というかロンドンにいる途中でぶつ切りになった感が否めない終わり方で、しっくりこなかった。

    筆者は自分の心の動きに鈍感なようで、克明に微妙な移り変わりを記録するのが上手で、旅慣れていくうちに得るものや失うものが手に取るようにわかって、筆者が濁った目で車窓を見つめる姿が目に浮かんで、共に旅しているような気分になるところが面白かったかな。

    物価や街の雰囲気は今と全然違うだろうから、この本の現代版みたいなものがあったら読みたいな。最近出るバックパッカー本は、読みやすいけど無駄にテンション高かったりギャグちっくなものが多いから…。

  • 駆け抜けたね〜最近の遅読気味をぶっ飛ばして深夜超特急一週間で駆け抜けた。
    やはりこれだけ夢中にさせられてしまうのは「旅」そのものの持つ魔力に加えて沢木さんの卓越した感性と表現力あってのことだろう。
    最終巻、期待したパリ、ロンドンの記述は少なめながらクライマックスに相応しく廻り道の発想とピリオドの打ち方といった旅を通して学ぶべき思想はきっちりと押さえられており意外な幕切れと併せて感慨深い読後感を味わうことのできる正真正銘の名作。
    これだけのことが出来る「若さ」はいいなと嫉妬しながらも押入れから英和辞典を引っ張り出している自分がいた

  • 道に迷うことが旅だとしたら、スマホを手に入れてしまった僕らは、旅を失ってしまったのか。
    世界は狭くなったというが、世界を狭めたのはIT技術ではなく、それに齧りつく自分自身が狭くなっただけではないか。

  • 深夜特急も最終巻まで読みました!
    ようやくヨーロッパの観光地に突入して、
    憧れるイタリアやスペイン、フランス、イギリスです。
    作者もローマやパリには滞在時間を割いている様ですが、
    本書で語られるのは、ガイドブックの様な観光ではなく、
    そこに至る経過がほとんど。
    これまでの中では、一番知名度が高く、観光地としての魅力が多い都市なのだけど、
    その分、なんだか味気なさを感じる。
    当時の筆者の旅疲れと終わりへの予感が倦怠感を生み出している。
    それだけに、ラストの裏切り方はよかった。

  • 今ある全てを捨ててまた旅に出たくなる。
    人生のバイブルというより、人生がこの本に中毒です。

    仕事に生活に、何かにため息をつく度にこの本を読み返して、旅に出てる自分をいつまでも夢見てるんだろうなぁ。

  • 読み終えたときに、心に穴が。。。
    旅から帰ってきて、洗濯物干しながら、切なくビール呑んでる気分。
    深夜特急は、全6巻で、
    インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗り合いバスだけを使って、一年かけて、バックパッカーとして旅をする様を飾りなく綴っている作品。
    約三ヶ月も使って、ゆっくりと読み進めました。
    旅に出たい。
    しかも、とびきり長いやつ。
    今ある全てを放り投げて!
    何度も、そんな気持ちに押しつぶされそうになって、オレンジ号を吹っ飛ばして春風を吹っ飛ばして通常通勤。
    私が、この本を読んでいる道すがら、
    ある友人がカイロであの革命を見ました。
    そして、また別の友人は、仕事を辞めて世界へ一年半の旅に出かけました。
    どちらも同世代の女性です。
    たった一度しかない、この体力と自由に満ち溢れた20代、毎日毎日、小さな円を描きながら、吐いた空気を吸って、それを吐いての繰り返しでいいのだろうか!わたし!
    何度も何度も、今の自分に問いかけながら、この本を旅していました。
    そんな時、大地震。
    当たり前の毎日のありがたさ。
    深夜特急の主人公は、旅を一年も続けていると、どんなことに対しても鈍感になって、感動をしない旅人になっていました。
    私も同じでした。
    当たり前の毎日に鈍感になっていて、ただ時間を漂う旅人になっていました。
    読み終わったとき、転職して、ちょうど一年が経ったときでした。
    学校という場所は、とっても季節感のある職場です。
    こんなにも、3月31日と4月1日の境目を感じたのは、初めてでした。
    3月31日。国境に立つ。
    世界1周とまでは、もちろん言えないけれど、隣の国よコンニチハって気分。
    私の日常の旅もなかなかだ!
    この深夜特急、実は、職場の隣の席の方に貸していただいたものでした。
    職場に、こんな素敵な本を全巻貸していただける先輩がいらっしゃるなんて!
    私は、今、日常の旅をすごく楽しんでいます。

  • イタリアはハイヒール靴の踵の位置にあるブリンティジに到着。なんとローマへの長距離バスが無い。路線バスを乗り継ぐ旅。
    ローマの休日の後、モナコからフランス、スペインへと、短く変奏が繋がっていくよう。
    意外なことに、ポルトガルでゆっくりとしたレガートになり、風景が厚くなって、まさに第4楽章の印象。
    最後はパリとロンドン。最後は如何したのやら。
    最後まで読み通したけれどさほどの感慨はないな。まあ、面白かったとは、認める。

    井上陽水との巻末対談は今までで一番訳判らない。著者は博打には必勝法があり、それを見つけられると信じていると知って、唖然とした。本書ではモナコのカジノで有り金を増やそうと考える。第1巻のはマカオでもそうだったけど、この人が博打について書くとイタイよ。金が無いくせに、勝てると思い込んでるんだもの。浅田次郎さんのように、大枚を懐に豪遊気分で豪華カジノに乗り込んで、結構負け込んでしまうぐらいでないと、読み物としては面白みが無いね。

    金子光春の「どくろ杯」を買ったので、頑張ってみるつもり。

  • 再読中第6巻は、イタリアから、フランス、スペイン、ポルトガル、そしてロンドン。

    4巻から5巻に入るのは間隔があきましたが、6巻は一気に読了。
    そう、老年期、そんな言葉を意識するかのごとくに。

    終わりの見えた旅は、たどり着く事のみが目的になっていたのでしょうか。
    そうであるならば、たどり着いた後は何処に行く、のでしょうか。

    何処かにたどり着き、終わったと感じたら、そこが終の棲家なのか。
    ”わかっていることは、わからないということだけ”、そんな事を感じながら次のフレーズに共感を覚えます。

     ”ワレ到着セズ”

    などということを、DVD版「深夜特急」を見ながら、思っています。

  • 昨日今日でまさに深夜特急のように6巻一気に読み終えました。
    もし私が男性でこの本と高校生もしくは大学生くらいに出会っていたら同じような旅に出ていたでしょう。が、それをするには歳をとりすぎた。やはりバックパッカーにとってヨーロッパよりもインドや東南アジアはとても魅力的だと思った。実際に行く体力や体調には自信がないので読んで旅した気分を味わいました。

全409件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

沢木耕太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×