チェーン・スモーキング (新潮文庫)

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著者 : 沢木耕太郎
  • 新潮社 (1996年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235110

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チェーン・スモーキング (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 小説のようなエッセイ集。
    煙草一本吸う間に読めてしまう長さの短編が連なります。各話の中に、「そういえば」と言ったよう小さな話が、連鎖しながら繋がっている。唐突に思える思考の飛躍も、読み終わると一人の人の吐息を感じさせる。
    なんてことはない、からこそ素敵。のんびりと、他人の個人的などうでもいい話を聞くことなんて、最近してないからかもしれないけど。

    沢木さんは「不思議に思う力」を持っている人。
    轡田 隆史さんの著書、「桜は花見のできない人のために咲く」を読んだときに、あぁ大事にすべきだな・・・と思った感覚を持っている人。そういう人のエッセイに出会うと、自分の人生における意識の空白が自覚されて、痛気持ちいい。で、この一冊もそういう一冊。
    彼にとって「記憶」は、頭の奥から引っ張り出してきて懐かしむものではなくて、身体の中を川のようにめぐりながら、常に「今」の自分と共にあるんじゃないかな。
    そのたゆたうような思考の流れが持つ深さと淀みなさが、うらやましい。

    これまで何冊か沢木作品を読んできて思ったことですが、
    堀江敏幸が書くものに対する私の感情が憧れを含んだ恋心だとしたら、沢木耕太郎の著書へのそれは、反抗期を終えた子供が父親に抱く、素直になれない愛情のようなものじゃないかと。
    好きって素直に言えない。考え方が似ちゃうのが憎たらしく、誇らしく。いつも考えてるわけでもないのに、なぜか絶対的。そんな感じ。

  • 沢木耕太郎さんの本。ずーっと持っていたのですが、何年間も読んでいなかったので、処分しようと思い、最後にもう一回と思って再読しました。
    ジャンルから行けばエッセイなのでしょうが、「そういえばこんなことがあってね・・・」と、沢木さんがバーで煙草をくゆらせながら語ってくれるストーリーテリングの本という印象です。
    煙草を吸うこと自体が恰好良かった時代があったんですよね。
    今は、においをかいだだけで、後ずさりしちゃうんですけど(苦笑

  • 沢木耕太郎によるエッセイ集。一編一編がわりと長めで小説のようでもあるが、パラグラフごとにガラッと雰囲気が変わって意外な形で各エッセイの表題に着地するので少し読みづらい時もあった。ただ、ハードボイルドでカッコいいなぁ〜〜〜とずっと思いながら読んだ。読んでいる最中に、自分の大好きなアニメ(「はじめの一歩」と「ガングレイヴ」)を思い出してしまうこともあった。
    それはともかく、沢木さんの文章はハードボイルドではあるが、根は明るいんだなと思った。
    チェーンスモーキングのタイトルは、やはり私も「なんか煙たく」感じるので(私は嫌煙家ではないが)、もっといいタイトルがあったのではないだろうか。

  • 豊かな人間性を育みたいという願望があるので本を読みたいのだが、社会人になってへとへとな日々で積ん読ばかりが増えていく。その中で、読みやすいので沢木耕太郎のエッセイばかりを読んでしまう。『深夜特急』を読んで以来、彼のロマンチシズム溢れるエッセイを読むのが心地よくて(時折そのロマンチシズムが鼻につくものの)愛読している。まだまだ私の本棚には彼の著書があるので、他の作家の作品とのバランスを考慮しながら読み続けることになるのだ。

  • 非常に物語仕立てのエッセイで、エッセイ苦手でも楽しめる作品。古本屋で見つけた本の書き込みの謎の話が一番好き。著者の時間ギリギリ癖が伺える話には少々引いた。

  • 沢木耕太郎による、『バーボン・ストリート』(1984年発表、第1回講談社エッセイ賞受賞作)に次ぐ、1990年発表のエッセイ集(1996年文庫化)。
    前作同様に、複数のエピソードの間を魔法の絨毯で飛んでいるような、さり気なくも絶妙かつ緻密な構成は、山口瞳をして「エッセイを小説のように書く」と言わしめた沢木氏ならではのものと言えよう。
    また、街、雑踏、リングを包む歓声、カジノのざわめき、夜の路地に鳴る靴音。。。都会を彩る音が聞こえてきそうなところも、沢木氏のエッセイの特徴かもしれない。
    前作に続き、(バーボンでほろ酔いになるような)なんとも言えない心地よさを味わえる作品である。
    (2013年2月了)

  • 物語が紫煙の如き現れては消え消えては現れ。全体的に軽やかな文体で深みには欠けるものの、一つひとつの物語に沢木耕太郎のセンスが光る。「老いすぎて」などはヘミングウェイの「老人と海」的哀愁を感じさせる。

    沢木氏のエッセイとしては「バーボン・ストリート」にはやや劣るものの、特に所々に見受けられる書評に筆者の描写力や表現力の高さが窺える。

  • 沢木耕太郎さんの持つ感性には感激してしまう。
    自分が普段モヤモヤっと考えていることに対してスッと入ってくる名言に出会うことができる。

    素敵な引用をひとつ。

    「そうだ、懐かしむには早すぎる。・・・・・・・・・
    この土地を懐かしむ手掛かりになる物がまったくなかったとしても、それはそれで構わない。私の体のどこかに、夏の終わりと寂しい海辺の風景と、熱く煮えたぎっていたバカラのテーブルの光景くらいは、微かに刻みつけられているだろうから」

  • 柴練の「チャンスは3度ある」を知った。

  • 初めて沢木耕太郎の旅絡みじゃないエッセイを読んだ。文章はシンプルなのに、ころころと話が転がっていって着地点が読めず、かと思いきや最後には必ずタイトルに着地するというのが不思議な感じだった。

  • 決して面白くないわけではないのだが、
    読むのがしんどいと感じた。

  • 都会的なシャレオツエッセイ集。公衆電話やら飛行機で喫煙席(!)やら、端々に時代を感じさせるけどサラリと読めた。今まで読んだ沢木耕太郎とは少し異なる印象。ま、エッセイ集だしね。

  • この本から本を読み始める。
    短編エッセイで読みやすかった。

  • 解説文にもある「小説のようなエッセイ」という表現がピッタリ。

    思わぬところに話がポンポン飛ぶので一つの話でも読み応え十分です。

  • 2013年3月31日、読了。

  • 沢木耕太郎さんのエッセイ集です。
    「逆転、逆転、また逆転」、「消えた言葉」が印象に残りました。
    著者自身の読んだ本だったり映像作品をもとにして論じられていることが多く、色々な作品に触れることができて良かったです。
    この本で紹介されている作品を自分も見てみたい。そんな気持ちになりました。

  • 沢木耕太郎って、文章、うまいんだなぁ、って、何故か、これを読んでいたら、そんなことに気づいた。一つ一つの話の持って行き方が、どうもわざとらしいような感じもあるんだけど、結局、そのまま持ってかれてしまうんだなぁ、と。(11/12/19)

  •  電車で旅行に行くのに、どの本を持って行こうか、と考えてこれにしました。フォーサイスの「ジャッカルの日」を、最初にして最後の傑作、と評しているのに、そう言えばそうだ、と納得しました。

  • 様々なシチュエーション・・たとえばヘビー級タイトルマッチ会場でモハメド・アリと出会ったり、タクシードライバーとの不思議な会話であったり、
    他人の電話での会話を聞いてその人の状況に思いはせたり・・と一般人から歴史に名を残すような超がつくVIPまで、沢木氏の文体にはほとんど分け隔てがない。
    対象として、すべて同列に扱いながらその一瞬一瞬の「空間」を文章として切り取るから、いつ読んでも「廃れる」ことがない。

    無駄な装飾脚色を排し、より「純粋」に核心へと迫るスタイルはそうそう真似できるようなことではない。数少ない尊敬する作家だ。

  • チェーンスモーキング (沢木耕太郎)

    教養のためにしてはならない百箇条

    美味しいものとそうでないものとをはっきり区別はするが、食物についてとやかく言わない、書かない。

    卑しいものとそうでないものとをはっきり区別はするが、他人をそれで裁かない。

    イナカモノとそうでないものとをはっきり区別はするが、他人を田舎者とは言わない。

    正しいこととそうでないものとをはっきり区別はするが、自分が正しいという主張を第一にはしない。

    美しいものとそうでないものとをはっきり区別はするが、その判断を他人に強制しない。

    優れたものとそうでないものとをはっきり区別はするが、それだけで対象を裁かない。

    男と女をはっきり区別はするが、物事を男だから女だからで決めつけない。

    社会の規範に従うことが、自分を失うことだと思い込まない。

    物事を一面だけから考えない。

    自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に錘(おもり)を乗せない。

    率直が美徳であるとは考えない。

    流行語を使わない。
    略語、例えば「現代国語」を「現国」というが如き、を使わない。

    外国語も略さない。ピアノフォルテをピアノというのはともかく、間違ってスーパーコンピュータをスパコンなどとは言わない。

    よその業界用語を使わない。

    寿司屋でゲソだのギョクだのというのも含めて。

    新幹線のグリーン車に乗っても、前の座席の肘掛けに靴を脱いだ足を乗せない

    足台に乗せた足で貧乏揺すりをしない

    前の座席の背もたれを蹴飛ばさない

    飛行機で手洗いに立つとき、前の座席の背もたれを支えにしない、蹴飛ばさない

    エスカレーターで、わざわざ広がって立たない

    頸に青筋が立つような話し方をしない。

    突飛な服装や身形をしない。

    歩きながらものを食べない。

    ナイフやフォークを使うとき、小指を張らない。

    フォークの背にご飯を乗せない。

    割り箸を割った後しごかない。

    スプーンやフォークを使い前にコップの水に突っ込まない。

    お山の大将にならない。

    他人の前で自己陶酔しない。

    自分の最も欲しいものが手に入るとしてもそれを敢えて取らない

    衆を頼まない

    偽善者にならない、偽悪家にならない

    相手の退路を立たない、駄目押しをしない

    自分は皆とは違う、という気持ちを忘れない

    結局は自分も皆と同じだ、という判断を忘れない

    自分とは違うものが、違うことが、あることを忘れない。

    どんなときにも含羞を忘れない。

    (P.236-238)

  • 同様のエッセイ集「バーボン・ストリート」から5年以上ののちに出されたこの作品は、ある雑誌に連載されていたエッセイをまとめたもの。タイトルの意味するところは「物語の断片が連鎖していくなかでひとつの世界をかたちづくるような文章を書こうと思った」ということがあるそうだ。
     
     沢木氏独特の語り口で綴られるのは、とあるタクシー・ドライバーとの会話、生まれ変わりへの不思議な感覚、アスファルトの道を散歩するということ、公衆電話での人間ドラマといった、日常から切り取られた15編。以前読んだことのある人も、ぜひもういちど手にとって読んでみてほしい。文体も感覚もまったく古びてはいないのだが、公衆電話のエピソードを読むとさすがに隔世の感がある。よい時代を思い返す意味でも、珠玉のエッセイ集なのだ。

  • 久しぶりに再読。文章力が高いな~
    2011.12.10

  • 最後の「懐かしむには早すぎる」がよかった。
    旅先で記念品を買うのは、もう二度とここに来れないかもしれないと感じているからなのかもしれない。
    年を取るにつれ、そういった感情が強くなって来るんだってさ。
    今ですら、かなりの記念品買ってる俺はどうなることやら。

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