彼らの流儀 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 913
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235127

作品紹介・あらすじ

男はその朝、サウジアラビアの砂漠に雪を見た。大晦日の夜、女は手帳に挾み込む緊急連絡先の紙片にどの男の名を記すべきか思い悩む。「今」を生きる彼もしくは彼女たちの、過去も未来も映し出すような、不思義な輝き方を見せる束の間の時…。生の「一瞬」の感知に徹して、コラムでもエッセイでも、ノンフィクションでも小説でもなく、それらすべての気配を同時に漂わせる33の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 沢木耕太郎の文章ってこんなに読みやすかったんだ!!ってくらい体の中にするする入ってきた。気に入ったのは、タクシーの運転手さんの話。こつこつと、毎日ぶれない人生を送っている人を見ると、自分の人生ってなんなんだろう…と自分1人がいきなり途方もない宇宙にぽっ!と出てきたかのような、そんな気持ちになる。しかもそんな人生を送っている人は、自分がそう過ごしているという自覚がないという…。丁寧な暮らしのYouTubeを見ては落ち込む自分、まさに悩んで飲んでる若者そのものだった。

  • ノンフィクションかフィクションか、小説なのかエッセイなのか。そのどれかはわからないけれど綴られていく「彼らの流儀」にどんどん惹かれていく。

    こういう筆致で文章が書けるの、もちろん沢木自身の文章力もあるんだろうけど、丹念な取材があってこそなんだろうなぁ。

    何度でも読み返したい作品。

  • やっぱり最後は「人」に行き着くなぁ。本も映画も面白いけど、やっぱり生身の人生にこそドラマがあるものだ。

  • 基本的にノンフィクションは苦手なのですがとても良かった。
    普通エッセイやコラムと言うと如何に書き手の独自性や視点を明確化して発信するかと言う部分に書き手らしさが出てくるのではないかと思うのですが(そしてその我の強さが私がエッセイが苦手な理由なのですが)、本書ではどのようなメッセージを受け取るかは読み手に託されているという感覚しかない。この徹底した間接的な表現が、私にはとても心地よかったみたいです。
    そしてこのひとが巧者なのは、それでも文章が無味無臭ではなく一貫して「沢木耕太郎らしい」語りを保持しているということではないかと。
    距離感を保つことを徹底し、丁寧で無色であることを心がけた姿勢と、真摯で柔らかな視点だからこそ、きちんと耳を傾けて聞いてみたくなります。

  • 沢木耕太郎さんの本は素敵な本ばっかり(●^o^●)

    <ぐるっとひとまわり>
    タイミングが重なって人生って造られていくんだろうな。自分の心の声に素直でいたら、グッドタイミングがグッドタイミングをよんで、人生は素敵なハーモニーを奏でると思う。

    <ラルフ・ローレンの靴下>
    自分と真摯に向き合って、自分の感覚に、ときに大胆に、ときに繊細に、考え、行動しよう。
    そして、プレゼントを人に渡すときは、そのブランドのコンセプトとか、創始者の思い入れとかの背景を知った上で渡そう。きっとその想いは渡す人に伝わると思うし、その方がお洒落でしょ?

    <ホットライン>
    ホットラインを読んでマザーテレサの言葉を思い出した。「人がもっともつらいと感じるのは誰にも必要とされていないと感じてしまうこと。」"ホットライン"はうまくいかしたらビジネスになりそう。。。

    東京タワーのてっぺんの電球は社員が年に一回替えてるなんて初めて知ったし、あの電球替えてる人がいるなんてこと、考えたこともなかったな。

    「先進国から機械などを援助してもそれらは1,2年もすると、打ち捨てられてしまう。それは故障しても修理する部品も、部品を買うお金もないから。そういった土地には、金ではなく人、物ではなく技術が必要。その技術も、その土地にあるものを利用し、その土地の人が習得できるものでなくてはならない。」

  • いつ、どこから読んでもスッと入っていける上質のコラム集。読後が爽やか。だれでも「日常」のなかにいろんなヒントがあるような…。

  • 沢木耕太郎の作品は幾らか読んできた。
    確かにこれは他とは違う作品のように感じる。
    コラムでもエッセイでも、ノンフィクションでも小説でもなく、

  • 2003年3月に購入。17年ぶりの再読となる。時折自身の視点からも書かれているが、第三者の視点からが中心となるコラムと言うべき作品だろうか。作者自身が「コラムでもなくエッセイでもなくノンフィクションでもなく小説でもない亅と言っている。他の沢木作品の登場人物とリンクする部分もあり、非常に興味をそそられる。30年ほど前に朝日新聞に連載されたもの。作者にとっても壮大な実験的な要素もあったと思うが、その舞台を与えた朝日新聞も立派だったと思う。一編一編が短いので隙間時間にも楽しめる。とてもおもしろい作品だと思う。

  • 三十三粒の人生。コラムでもエッセイでも、ノンフィクションでも小説でもない、沢木耕太郎による物語。私はまったくの作り話でも構わないと思いました。見えた景色がそれはそれは美しかったので。

  • 毎日毎日変わりない日々を過ごしている。
    あとで振り返ってみるとほんの些細なことが何かのきっかけになっていたりする。そんな小さな、ふとした事を逃さないようにしたいなと思う話がたくさんあった。
    毎日変わらないようでいで、実は何か起こっているんだと。
    感受性を豊かに。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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