凍 (新潮文庫)

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著者 : 沢木耕太郎
  • 新潮社 (2008年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235172

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凍 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • この本が好きな人は、山際淳司さんの『みんな山が大好きだった』もおすすめです。

  • 日本人最強クライマー、山野井夫妻のギャチュンカン登頂。
    けして派手ではない、低温の情熱に痺れる。泰史のクールさ、妻妙子の、実務に強く、節約家で、料理上手で、朗らかな性格。何気に奥さんに甘えている旦那さんが微笑ましい。
    テレビで見たけれど、ふたりとも明るくて、ぜんぜん気難しくないんだよね。いったいどこに、あの不屈の闘志と精神力があるというのか。
    文章はもちろん読みやすく面白い。作者の敬意が感じられる。最後に少しだけ出てくる男性=作者がかっこよくてずるいぞ。

  • ヒマラヤの高峰・ギャチュンカンに挑んだ、世界屈指のクライマー・
    山野井泰史・妙子夫妻の究極のクライミングを描くノンフィクション。

    冒険物・探検物のノンフィクションは、ページを繰るごとにわくわく
    させられる反面、困難な場面になると読んでいるだけでも怖くて痛い。

    本書の山野井夫妻についてはテレビのドキュメンタリーでも見たが、
    お互いが凍傷で手足の指を失っている。それでも、クライミングを
    続けるふたりの映像を見て壮絶さを感じたっけ。

    著者特有の淡々とした描写が、遭難時(正確には遭難ではないが)の
    過酷さをより鮮明に想像させてくれる。

    ギャチュンカン登頂を果たしたのは、夫・泰史だけであるので比重が
    そちらにかかっているのは致し方ないか。しかし、登頂こそ果たさな
    かったものの、妻・妙子の精神と肉体の強さには同じ女性として
    驚嘆する他ない。

    既に手足18本の指を凍傷で失っているにも関わらず、夫と共に
    過酷なクライミングに挑み、第二関節から切断された手指に更
    なる凍傷を負う。

    帰国後、凍傷部分の切断手術を受けた夫と妻の姿は対照的だ。
    夫は蒼白な顔色で体が小刻みに震えている。片手だけの手術
    とは言え、術後でも看護婦と談笑している妻。

    妙子については以前の凍傷手術の際のエピソードが紹介されている。

    「同じ病院に小指を詰めた暴力団員が入院していた。あまり痛い、
    痛いと大騒ぎするので、看護師が言ったという。
    「小指の一本くらいなんです。女性病棟には手足十八本の指を詰めて
    も泣き言を追わない人がいますよ」
    しばらくしてその暴力団員が妙子の病室に菓子折りを持って訪ねてきた、
    という。」

    一般論でも男性に比べ女性は肉体的な痛みに強いというが、肉体の
    一部を欠損しながら、料理や家事をこなす妙子に強い興味を覚える。

    山野井泰史・妙子夫妻は、ギャチュンカン以降も毎年クライミングを
    続けている。いつも思う。冒険に駆り立てられる人は、きっと普通の
    人にはない「何か」を持っているのだろう。

    本書も◎な良書。でも…痛くて寒くて怖かった。汗。

  • 引き込まれた。ぐいぐいと。感情移入、私も登攀しているかのように、緊張感を持って靴の一歩を運んで降りていくように。

  • これで沢木耕太郎にハマった。
    読んでる指先までツンと冷えて頭がグラグラしてくる。

  • ハンパない。これノンフィクションとかマジでハンパない。クライムダウン(下降)はほんと地獄。よく生きて帰ったと思う。読んでてグイグイ引き込まれるけど、下山時は全く休む暇が無いし、ハラハラするし疲れた。
    この人達の強靭な精神力と技術力は尊敬に値するね。

    登山家の事は全く知らないけど、これを機に色々調べてみたら日本にはすごい登山家が多いんだね。皆何で登るんだろねぇ。指とか無くなるのに。マジですごいわ。

  • はんぱない。文句なし。下山中の支点構築の描写は壮絶の一言。

  • 以前にNHKのドキュメンタリーで特集されていたので興味を持って山野井泰史さん、妙子さん夫婦のノンフィクション小説の「凍」を読む。 淡々とした筆であってもヒシヒシと圧倒される山の恐怖。おそらく山に魅了されなければ理解しがたい登山の魅力を筆力でもって垣間見た気にさせてくれる良本。

  • 久しぶりに寝るのを惜しんで先に読み進める程に強く惹かれた。何よりもノンフィクションであり壮絶な内容に圧倒される。手足の指のことを心配しながら読み進めるが、本人たち、特に紗子さんはものともせず、そればかりか再び登攀する強靭な精神と山への愛着が凄いです。
    文中でも書かれているが、生還した中ではかなり過酷な登攀ではないでしょうか。
    主人公、山野井の性格から、細部に渡る描写や出来事は証拠がなくても真実だろうし、それを引き出す作者の力量も凄いです。終盤にギャチュンガンに訪れる際に同行した作者が描かれているが、主人公達に信頼されていることがわかるエピソードですね。今まで必ず登場人物を固有名詞で書いていたのに日本の知人とだけ書くのでこれは?思い、解説を読んでやはり、と思った。(自分のことを登山経験の全くないが高度に強い中年男と評するのも楽しい)
    正に、自分が経験することかできない(経験したくない)登山を優れた仲介者を通して経験出来た読書でした。凍と闘を掛けた題名にしたことを後記で知り、納得。

  • 最後までおもしろかったです。
    2002年に山野井泰史さんと妻の妙子さんの二人が標高7952mのギャチュンカン登頂に挑んだ話しです。登山経験まったく無しで知識も無い私でも十分面白かったです。
    GoogleEatrhの3D表示でエベレスト山脈を見てみると分かりますが、あんな絶壁を登るなんてまったく無謀な挑戦に思えます。

  • 2002年に山野井泰史さん・妙子さん夫妻が挑んだ、ヒマラヤのギャチュン・カン北壁の登攀を描いたノンフィクション。ギャチュン・カンは、ヒマラヤ山脈のエベレストとチョー・オユーとの間にあり、8,000m峰に次いで世界で15番目に高い標高7,952mの山。
    正直な感想は、"山野井夫婦カッコいい"ってこと。妙子さんの山野井さんに対する、山についての絶対的な信頼感。そして妙子さんのどんな状況におかれてもパニックにならない強さ。山野井さんが妙子さんにちょいちょい甘えていて可愛らしい。お互いの弱い部分を補って、支え合っている。言葉がなくても解り合っている。そんな2人の絆が伝わってくる。この2人だからこそ生きて戻って来られたのだと思う。
    実は長い間積読本であった本書。初の沢木耕太郎だったが、とても読みやすくその場を見ていたようなリアルさ。感動したなんて安っぽい表現だけど、何度も自然に泣けてしまった。『凍』を書いてくださったことを感謝したい。
    161208

  • トップ登山家夫妻が難しい山頂ルートにアタックするも失敗し命からがら下山し指を凍傷で失うという話。表題の凍とは凍傷の凍であった。

  • ちょいちょい読み進めるはずが、半分を超したあたりから止めることができず、そこから一気読み。

    作者の山野井夫婦に対する敬意が文章にとても現れていて、過剰なんじゃ・・とも途中感じる部分があったのだが読み終えてみて全然過剰じゃなかった。

    私が想像できる人間の忍耐力や精神力、行動力
    すべてを超越している。
    その自分のリアリティーからかけ離れている状況を
    まるでそこにいて見ているように感じられる文章。
    怖かったけど素晴らしい。

    どんな状況でも、一歩前に踏み出せば
    いつかゴールにたどり着ける。どんなに歩みが遅くとも。
    心にとめておきたいなと思う。

    いつか山野井夫婦にお会いして握手できたらいいなと
    本気で思う。

  • 後半、結構にスプラッタな表現が続くので苦手な方にはおすすめできません。僕自身何度も読むのを中断したくらいです。リアルなクライマーの姿を見る分には楽しく読めるのですが、それにしても壮絶だとしか言いようがない。ノンフィクションというのもまた恐ろしい。

  • 沢木さんを初めて知った本です。
    衝撃がすごかった…!
    元々、登山に興味が出てきて(でも登ることよりも登山している人たちの人となりや考え方が好きになるという歪んだ興味 笑)登山雑誌読むようになって、この本にたどり着いた感じです。

    夢中になれることがあって、それに打ち込める環境があればそれだけで人間って幸せなんだよねとしみじみ思いました。(分かり合って助け合えるパートナーがいれば完璧)

    頂上に至るまでの何かに取り憑かれたように進む様が、狂おしい程に好きです。

  • すごい恋愛ドキュメントでした。運命の赤いザイルで固く結ばれた山野井夫妻。一夫一婦制ってこういう人達のためにあるのかと思った。のちにテレビで山野井さんを拝見しましたが、全然山男っぽくなくてびっくり。

  • クライミングの事は全くわからないので、技術がどのくらい凄いのかとかビバークしている体勢がどうなのかとか想像できないんだけど、圧倒されるものがあって安易な言葉で言い表せないなと思いました。

  • 描写が細かいところが好き。面白かった。

  • ノンフィクションだからなのかもしれないけど、インタビュー感というか、本人に対する遠慮みたいなものが若干残っている。ノンフィクションってこういうものなのかな。
    題材はすさまじい。登山の面白さが論理的に理解できる。現実に起こった話って思うから更に感動指数が上がっている気がして、若干ずるさを感じる。
    総合的に見て、かなり良い本の部類に入ると思う。

  • 28.2.18読了
    長らく積ん読本にしてしまっていたことを後悔した。でも今は読み終えて充実感に満たされている。
    「凍」 そして「 闘」
    私はもうひとつ「痛」を付け足したい。
    とりわけ妙子さんの精神力は凄い!もちろん体力も、技術も根性も…(涙)
    再び訪れる際に同行する人がいい味を出してる。

  • 山野井泰史の「垂直の記憶」の最後に出てくるギャチュン・カン北壁登攀についての沢木耕太郎の手になるノンフィクション。基本的な内容は「垂直の記憶」と同じだが、十分な聞き取りや周辺取材により、より分かりやすく、より細かい部分まで描かれている。特に、登山経験のない読者に向けて素人目線で道具や山岳技術について描写しているので、イメージが湧きやすい。また、九死に一生を得た山野井夫妻の帰国後の凍傷治療や、その後の山野井泰史の心の変化についても詳しく記されていて、興味深い。

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ。
    書くに値することがほとんどなかった「檀」とは対照的に、こっちはキャラからエピソードから刮目に値することがてんこ盛り( ´ ▽ ` )ノ。
    専門用語が多いし、どう想像してみても脳内再現できない状態・状況も少なからずあったけど、寒い痛い苦しいという基本は誰にだってわかる( ´ ▽ ` )ノ。
    目眩するほど膨大で濃密な記憶を、よくぞこんなに読みやすくコンパクトにまとめあげられたもの( ´ ▽ ` )ノ。さすがサワコーだね( ´ ▽ ` )ノ。
    まあ、正直社会には何の役にも立たない、不必要な苦闘なんだけど、「人間とはここまでやれる生き物なんだ」ということを知らしめてくれる意義はある( ´ ▽ ` )ノ。
    自分も頑張ろうという気になる( ´ ▽ ` )ノ。
    2015/09/27

  • 日本屈指のクライマーである山野井夫妻の、ギャチュンカン登攀を描いたノンフィクション。

    高所での悪天候により激しく体力を削り取られる中、生死をかけた綱渡りのクライミングに思わず息を飲む。
    次第に手足が凍りつき目も見えなくなっていくくだりには、高所登山の恐ろしさを感じる。

    一流のクライマーであり俗世にまみれない恬淡とした夫妻だが、それぞれが魅力的なキャラクターで単なる登攀記録にとどまらない面白さも。
    この様な生き方は私には出来ないが、登山家達から尊敬されているというのも納得です。

  • 圧巻…登ることが好きだからといって、ここまでして登るのか。これがノンフィクション。ただただ凄いとしか言葉が出ない。生きて降りて来られて良かった。

  • 思えば沢木氏の本は大学時代に読み耽った深夜特急以来だ。
    日本を代表するクライマー、山野井泰史のギャチュンカン登頂を追ったノンフィクション。淡々と、できるだけ山野井氏の主観的な状況にあった表現で、当時の様子を再現しようとする沢木氏の筆力は素晴らしいと思う。また山野井氏のスタンスや哲学も過度に賛美することなく紹介されていて心地よい。ただ、それでも、自分の身体が凍えそうな感覚は持てなかったし、彼の葛藤のようなものも私の中には入ってこなかった。読み手の力量の問題も多分にあることは認識しながら、やはり登頂した本人が書いた本を手にとってみたいと思うのだった。

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凍 (新潮文庫)の作品紹介

最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった-。絶望的状況下、究極の選択。鮮かに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。講談社ノンフィクション賞受賞。

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