サマータイム (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.56
  • (191)
  • (348)
  • (514)
  • (66)
  • (13)
本棚登録 : 2905
感想 : 334
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101237329

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんとも大人の雰囲気が漂うアンニュイな物語でした。 
    でも、主人公は子どもたちなのです。
    表題作の『サマータイム』は5年生の進が主人公。一つ上の姉・佳奈と、同じ団地に住む左腕を事故で失くした中1の広一との夏から秋にかけての物語。
    広一に憧れる進、生意気な態度をとりながらも広一に淡い恋心を寄せる佳奈、自身が持つハンディキャップと母親の恋人に対する苛立ちの中にいる広一。
    他三編の短編は佳奈や広一が語り手になる。歳の頃は幼稚園児から大学生と多岐に渡るが、常にアンニュイな空気が流れているように思う。
    広一の母がジャズピアニストで、母の弾く『サマータイム』が最高にカッコいいと言う広一。広一が右手だけで弾く『サマータイム』に痺れてピアノを習い始める進。
    全編を通してこの『サマータイム』が脳内を流れていて、なんともいえずアンニュイな大人の雰囲気なのです。登場人物は子どもなのに。不思議です。それはきっと、佐藤多佳子さんの文章力なのでしょう。
    冬のお話もあったにも拘らず、まったりした夏の午後のような雰囲気の一冊でした。
    ぜひ夏休みに読んでほしい一冊。

    • こっとんさん
      まことさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      まことさんのレビューを読んで、私と同じように「あーこの作品好きー」とまことさんも感...
      まことさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      まことさんのレビューを読んで、私と同じように「あーこの作品好きー」とまことさんも感じてくれているような気がして嬉しくなり、いいね!をポチッとしました。
      自分と同じような感覚のレビューを見つけるととても嬉しくなりますよね♪
      まことさんは、佐藤多佳子さんにお会いになったことがあるのですね!羨まし〜い!
      また、まことさんのステキなレビューを楽しみにしています。
      これからもどうぞよろしくお願いしますね♪
      2022/07/28
    • しずくさん
      サマータイムの表紙絵を夫が気に入り、アレンジして絵葉書にしたのはいつだったかなぁ~。内容はすっかり忘れていましたがこっとんさんのレビューを読...
      サマータイムの表紙絵を夫が気に入り、アレンジして絵葉書にしたのはいつだったかなぁ~。内容はすっかり忘れていましたがこっとんさんのレビューを読んでいてうっすら甦りました。
      ありがとう!
      2022/07/31
    • こっとんさん
      しずくさん、こんにちは。
      表紙絵を絵葉書に!!!!!
      素敵な旦那様ですね♪
      羨ましい♪
      私も読書中、何度も表紙を眺めていました。
      しずくさん、こんにちは。
      表紙絵を絵葉書に!!!!!
      素敵な旦那様ですね♪
      羨ましい♪
      私も読書中、何度も表紙を眺めていました。
      2022/07/31
  • 11歳のぼくと12歳の佳奈の姉弟。

    姉の佳奈の真っ赤なサンドレス。

    どしゃぶりの雨のプール。

    左腕を失った13歳の同じ団地の少年、広一。

    佳奈の作った夏の小さな海のようなしょっぱい味の、ミント・ゼリーとリキュール・ゼリー。

    広一が弾くピアノのメロディー。「サマータイム」

    佳奈と広一の自転車の特訓。

    駆け足で過ぎた秋。

    こわされた自転車。

    引っ越してしまった年上の友だち。

    そして17歳、4年後の再会。



    まるで夏をうたう、一編の詩のような情景がさーっと駆け抜けていきました。
    夏だけど爽やかな風のような作品でした。

    姉妹編で「五月の道しるべ」「九月の雨」「ホワイト・ピアノ」収録。
    どの作品もとても素敵でした。
    「九月の雨」はずっとピアノが流れているようなかんじで、「ホワイト・ピアノ」もピアノのお話だったので、愛着がわきました。

  • いやはや、参った。僕の好きな書評家の幾人かが高く評価している作家なのでいつか読もうと思っていたが、本当にすごい。最後の森絵都の解説が全て語っているように、切なさも美しい心の描写と1つ1つがキラキラした文章はこちらの心を揺さぶって仕方ない。終盤、主人公の1人がバレンタインに書いたメッセージ。あんなのもらったら誰だって「死ぬほど喜」ぶに違いない。

  • 夏、春、秋、冬…
    色んな表情を持っている、季節、モノ、匂い、空気。

    その一つ一つが、柔らかに思い出される。

    サマータイム
    夏の日の、ゼリーでできた海。

    あの頃に戻ってみたい。

  • 『海と自転車とピアノ:忘れられない夏の想い出』

    佐藤多佳子さんのデビュー作。
    進、佳奈、広一の夏の思い出を、情景が目の前にくっきりと浮かぶような、瑞々しい表現で綴る『サマータイム』を含む4編の短編集。
    登場人物の心理描写が秀逸!

  • この本が好きな人と結婚したい

  • 海のゼリー
    つつじの花みち
    かんな色のワンピース

    こういう風に見えてたんだよなぁ
    私の物語じゃないのに
    忘れちゃいけない忘れたくない私の幼いころの思い出が
    つまっているような作品

  • 左腕を失くした広一と出会いから始まる青年たちのお話。進と姉の佳奈と共に惹かれ合いながら仲が深まっていくが突如広一が引っ越しで離れてしまうというまさに一瞬で過ぎ去る夏休みのよう。登場人物の年齢も相まって眩しくもあり儚い雰囲気が良い。
    また、篇ごとにそれぞれに焦点をあてたストーリーになっていて誰しもが自分の強みやコンプレックスがあり嫌になることばかりだがそこも愛し、受け入れていくことで成長していくのだということを強く思う。

  • 久々に再読。
    すごく大人でオシャレな印象があって、でも、一度読み終わった後に読み返したら、団地、市民プール、きょうだいゲンカ、自転車の練習……すごく普通の小学生の夏休みなので、逆に驚いてしまった。でもやはり再読しても「大人でオシャレ」な印象は変わらなかった。私の頭の中にもずっと「サマータイム」が流れていたからだろうか。
    3人でゼリーを食べるシーンがとてもいい!

  • ゼリー

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
綿矢 りさ
瀬尾 まいこ
伊坂 幸太郎
よしもと ばなな
伊坂 幸太郎
佐藤 多佳子
梨木 香歩
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×