- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101239132
作品紹介・あらすじ
屠られた者たちは、その刹那、眼前に何を見たのか。あの殺人鬼たちはどこへ消えたのか…。市民という仮面の下で、人間の業深き本性が嗤う。男と女の情痴殺人から、自壊していく家族の惨劇、どす黒い邪欲に溺れた鬼畜の凶行、さらに、ほくそ笑む凶徒の姿が見え隠れする未解決事件-。隣人が羅刹と化す恐怖、突然襲う不条理。「新潮45」誌上で大反響を呼んだ、傑作ノンフィクション集。
感想・レビュー・書評
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快楽殺人や無差別殺人がいちばん怖いですよね。また、捕まってない犯人や出所した人、仮釈放中の身の人が私達と同じ空気を吸っているというのも常に危機感がありますね。常に慎重に行動しようとこれらの事件を読んで改めて感じました。深く知れば知るほど怖かったです。
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未解決事件が多く掲載されていたので読み終わった後、気分がいいものではありませんでした。その殺人鬼が今もどこかに潜んでいると思うと狂気さを更に感じずにはいられません。
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私にも「殺したい」と思う気持ちが芽生えたことはあっても、
「(誰でもいいから)誰かを殺したい」という気持ちは全く理解できない。
人に危害を加えるのに「理由がない」というのは本当に怖い。
狂気は当たり前に暮らしている誰にでもある闇だ。
しかし、当たり前の生活から外れる怖さが、その闇を封印していると思う。
この本はまるで、解決しないミステリのようで後味が悪い。
いや、殺人に後味のいいものなど存在しないが、そこに「なぜ」が提示されないことが出口のない迷路のような、答えの出ない数式のようなモヤモヤしたものが、闇を刺激するのだ。
前に読んだ本に記された殺人者たちは淫楽殺人という、一応理由づけできる理由がある。
通常の意識下なら吐き気がするような光景の中で、エクスタシーを感じる性癖が彼らを犯罪に走らせ、反面、一般社会人として普通に暮らしている怖さがあった。
理由があるからといって、殺人が許されることはない。
しかし、理由がないことには納得できない、というのは私だけではないと思う。
犠牲になっていい人などいない。
とりとめもないものになってしまったが、ここにこうして生きているだけで、防ぎようのない狂気の被害に遭うかも知れないということを意識しなければいけないのだろうか。
ふと思ってしまった。
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作者イコール記者の方の熱意を凄く感じた本でした。また捜査の仕組みや、検察の対応等についても知ることができました。酷いの一言。被害者のお母さんの警察、検察への一言が全てです。
夢中になってあっという間に止めることができました。 -
警察小説を好んで読むので現実はそううまくいかないなというのと。
犯人として目星を立てられると無理矢理難癖つけて犯人に仕立てられてしまうえん罪事件がたくさんあることにぞっとする。
逮捕されずにどこかで生活している犯人がいるのだなと思うと恐ろしい。
日本の警察が優秀と聞くけど重大な事件だと解決できなかったりするのでちょっと疑いたくなるようなこともある。 -
判事達の苦衷が容易に窺える 奇矯な行動 深く溟い死の闇を見つめ 風聞ふうぶん 薬研堀 四人家族に擬していた 完黙の女はその欠損した小指の先で 犯人も被害者も淫靡な闇の中で叫んだろう あの頃持つ今も、私の周りに人殺しはいた。殺された人もいた。そうして、死者はいなかった。あの頃も今も、死んで帰ってきた人はいないのだから。
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このての本、好き。殺人者の心はどうなってるのか?知りたくて。「勉強しろ」に耐えられなくて親を殺した少年、周りからは優しい良い人と思われていた銀行員が犯した殺人、逆恨みで何人も殺した犯人など様々。でも確実にいる快楽の為に殺人を犯すサイコパス。どうやっても減らない凶悪な殺人。抑止力のある法律ができないものか。
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こんなことが世の中で起こってるのかと非常に恐ろしくなった。
犯罪を起こす者は恵まれない家庭環境だったりして、同情してしまうことが多かったが、この本の中に収められている事件の中にはそうではなく、いとも簡単に、単なる自分の都合で人殺しをしてしまうのだという恐ろしさ。そして、全く関係の無い人が巻き込まれていく恐ろしさ。
被害者がかわいそうで仕方がない、と同時に益々人間不信に陥ってしまった。 -
"人間とは、摩訶不思議な生き物だと思う。
多くの人に感動を与え幸せにする力もあるし、多くの人を恐怖に陥れ不幸にする力もある。
本書は、ノンフィクション。過去に起こった殺人事件を振り返ったもの。人間の闇の部分を見つめたもの。
解決した事件もあれば、未解決のままの事件もある。
日本の警察は優秀なのだが、限界もある。
司法でも裁けないものもある。
計り知れない、心の闇から生まれる非条理な行為に立ち向かう人たちの活躍については、淡々と添える程度の語り口。ここで語られる主人公は、犯罪を犯した(あるいは、犯罪を犯したであろう)人物。
おののく事件の数々は、小説ではなく実際に起こった出来事である。
いつも苦労、苦汁を強いられるのは、被害者とその家族。
加害者は、独自の理論、思考で自らを正当化して、存在し続ける。
本書は、どちら側の登場人物にもよい距離感で事件の顛末を淡々と語る。
同様のシリーズがいくつか続くのは、この距離感を保っているからなのだろう。" -
平和な国、日本が最近変化してきているという論調を目にする事があるが、本書が示すようにこれまでも恐ろしい殺人があったし未解決の事件も多々ある。海外に出る時多少緊張感を持つように犯罪に巻き込まれるスクと向う必要が誰しもある。ただしこの本はそれでも防げないのだ…という現実を突きつけてくる。苦しい読後感。