屍鬼〈5〉 (新潮文庫)

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著者 : 小野不由美
  • 新潮社 (2002年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240275

屍鬼〈5〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • これまでイライラさせられっぱなしであったが、五巻は素直な意味で面白かった。
    四巻までが停滞しがちだっただけに、屍鬼が次々と殺されてゆくのはやはりすっきりする。
    ただまあ正義について問われるようなのはどうでもいい、小説にそういうものは求めていない、これは好みの問題だけれど。
    全体を通しては、やはり冗長のひと言に尽きる。

  • あぁ面白かった!怖かった!!

    シンプルな「起き上がり」と戦う正義の話ではなく、
    読み終わってみると複雑な気持ちになるし
    何が正義なのか悪なのかなんて、白黒つけるのはもはや意味がない。
    「殺意のない殺人はない。殺意のない殺人は事故だ。」
    の言葉は結構ずっと心にひっかかって
    私は沙子に感情移入をしてしまった。

    それを友人に伝えると、私らしいですね。言われたことも面白く。この本の感想は、その人の性格が出るのだろうとも思う。

    物語としてももちろん面白い。
    だけど、どの登場人物にも自分でも理解できる感情があり、自分もどのキャラクターにも、ひょんなことから豹変し得るんじゃないか、、とドキリとする。

    とにかく、いろんな人の感情を一気にかぶって
    「問われている」といった感覚になることだけでも
    読む価値ある。
    これはオススメの小説

  •  文庫本にして全五巻! 長い! でも、ハマるったらありゃしない!
     前半は多すぎる登場人物と、難解な小説中小説のおかげでかなり読み辛いが、それを越えたら後は止まらない。 とにかくページを捲らずにはいられない展開が続くのだ。
     物語が展開するに従って、この小説が普段手をつけないジャンルであることがわかり、この先を読み進められるか一瞬不安になってしまったが、要らぬ心配だった。 それ以降、むしろ面白さは加速し、寝る間も惜しんで最後まで一気に読んでしまった。

     この物語は非常に多くの人物の目線で語られる。 そのため、登場人物の頭をぴょんぴょん跳びまわるように感情移入してしまい、いろんな視点で展開を追うちに、善と悪、生と死の境がどんどん曖昧になってゆく。
     そして、最後には何とも言えない読後感が残る。 傑作。

  • 喰うか喰われるか、生きるということについて深く考えさせられた。
    彼らは元は人間であって、人間を喰らわなければ生きる道はなくて。それでも必死に抵抗し葛藤する者もいれば、人間を殺す特権を得たと嬉嬉として襲う者もいる。
    人間もまた同様に、殺されまいと抵抗する者、自然の成り行きに身を預けた者、敵の存在を知りながらも見て見ぬふりをする者など様々な考えをもった人が登場する。
    私はこの小説で一番おもしろいと思ったのは、見て見ぬふりをする人々だ。彼らは物語の終盤まで何もしない。ただ事態を傍観しているのみ。しかし、作中ではそんな彼らの様子は頻繁に描写される。
    そして物語の終盤、積を切ったように彼らは行動を開始する。それも激烈に、正しいと信じる道を突き進む。この世で最も恐ろしいものは、考えを持たぬ民衆であると思った。
    全五巻であり、長いと思ったのは事実だ。それでも一度読み始めるとそれは丁寧な描写のおかげだとすぐに気づく。そして何よりも続きが気になり、本から目が離せなくなってしまう。過去に一度一巻で挫折したことがあったが、最後まで読んでよかったと思った。

  • やっぱり余分な部分が多く、テンポを悪くしていたような気がする。
    じわじわと侵食してくる屍鬼が一変して狩られる側になった展開が、分かってはいたけれど面白かった。
    人に非ずな屍鬼に過去や秘めたる想いを感じさせ、逆に人に潜んでいた残酷な本性を見て、対象的だった。
    キング作品のオマージュらしいので、今度はそちらを読んでみようと思う。
    ひっそりと迎えたラストの後の、異様にテンションの高い解説に笑ってしまった。
    こんな沢山の登場人物が出ているにも関わらず、誰一人として好感を持てる人物がいないという小説も珍しいと思う。

  • 全5巻、読み終わったー。
    やっぱり最後の巻は、一気読みでしたぁ。
    一気に展開したね。
    かおりが言ったように、やっと大人たちが分かってくれて行動を起こした。って感じ。
    おそいよーーー。

    静信の言い分もわからないでもないけど、やっぱり私だったら、村の連中と一緒に狩るだろうな。
    屍鬼は加害者でもあり被害者でもあるけど、やっぱり人間社会で人間として生きていくなら、屍鬼は魔物でしかない。

    村の人たちも、もう狩りまくりで頭おかしくなってた。
    大川の大将かっこえー。と息子の篤にトドメをさしたときおもったけど、最後はイカレてたし、元子も狂ってた。

    一番怖いのは、そうやって気がふれた人間なのかも知れない。
    その点、律子は屍鬼になっても、自分の信念を変えなかった。えらいなー。

    人間と屍鬼のそれぞれの性を垣間みた最後でした。

  • 非常に日本的な小説だったなあという感想。
    正義とか復讐とかいう大義名分を得た人間の怖さを知らしめる最終巻って感じでした。
    登場人物がそれぞれ愚かに見えたけれど、多分、世の人々も私を含め、そんなにあれこれ考えて生きてない。人間らしいってのは馬鹿と紙一重なのかもなあ。

  • やっぱり登場人物や諸々の叙述で不必要なところが多かったなーと感じる。エンドも収拾がつかなくなった感じがするなぁ。こういう物語はエンドに行く手前までがピークなのかな。過程はとても楽しめた。内容としては上下巻で十分収まると思った。静信の弱さが嫌い。中途半端な清らかさもイライラする。敏夫の俗っぽさが対称的で、どこで二別されたのかなと。大量虐殺に安っぽい哲学はいらない。ひたすら真っ直ぐで偏った自らの正義をかざすのがせいぜいだろう。太字の静信の小説につながる叙述が本当にいらない。これはそういう類の物語ではない。愚痴ばかりになるが、そこそこ楽しめました笑

  • 沙子は哀れだと思うし、生きるために他者を犠牲にする以外彼らに選択肢はないのだから…とも思う。しかし若御隠やその父は…はた迷惑な正義感や行動が過ぎる。。

    敏夫、間一髪で良かったけれど、いちど屍鬼になってしまった者は救う手立てがないのが残酷。

  • 人だけではない、この世に生を受け生まれたモノ全てが他を搾取しなければ生きていけない。
    「生きるということは結局のところ、存続のための存続に奉仕するということ」
    正にそれを再認識された作品。

  • 外部からは1本の国道しか繋がっておらず、周囲から隔離される小さな村、外場村。土葬の習慣も未だ残っている村。
    そんなある日、山入地区で3人の村人の死体が発見されたが、村人達によって通常通り埋葬される。しかし、その後も村人が次々と死んでいき、異変は加速していった。村の医者、住職はこの件に疑問を抱き、調査を進めるが...


    ただ暗く絶望的であった物語も最終巻では大きく動く。

    住職、静信の選択が正しいとも言い切れない。夏野の選択はどうだろう、綺麗な選択なのだろうな。読者から共感、同情されるのは彼だろうか。
    人間としては尾崎医師が一番人間らしいのかも。それが良いのか悪いのかは別として。

    何かを殺した者は自分も同じことをされる、されても何も文句は言えない、という単純な同害報復の理論ということではないんだろうなあ。
    人間は自分の罪に無自覚だというのがささる。
    五巻一気に読んだけれど、まだ上手く消化できない。

  • 長いストーリーが終焉を迎えてしまいました(´・ω・`)ショボーン
    屍鬼VS人間の対決はいかに(≧▽≦)
    屍鬼になろうが人間のままであろうが本質的な性格は変わらないらしく、起き上がること自体が屍鬼にとって幸せなことではないのだなあ。

  • 2015年9月末読了。
    人間つええ。人間こええ。ってなる5巻。好きで神に愛されない体質になったんじゃないのにね。愛されたくないヤツなんていないのにね。だから、屍鬼におちた人々や沙子には同情する。彼らのもつ切なさには涙した。
    そして人間の傲岸さ不遜さが見えた。
    でも、実際屍鬼に自分のすんでるとこが襲われたらやだ。
    うまくいく方法はないものか。

  • ようやく読み終わった、という感じです。正直、一、二は話が進まずにしんどく思いました。そして登場人物が多く覚えられないから、誰が誰だか。でも、四、五は一気に読みました。ここまできたらどんな結末になるんだろう、という不安感に急かされて。で、まあ、そうなるか〜という。
    登場人物にまったく共感できないし、静信の小説はつまんないし、いや、彼の心情の代弁だとはわかるけど、とにかくしんどかったです。でも辰巳くんはすき。
    屍鬼を絶対的悪とは描かず、人間・屍鬼、両方の弱さや辛さが五巻で浮き彫りになってて、つらい〜と思わずにはいられませんでした。沙子や静信に生きてほしいけど、同時に死んでほしいかんじ。

  • いきなり怒涛のテンポアップ。というか予想外に弱いな、屍鬼。

    静信の思考回路も結局よーわからん。美少女に心持ってかれた上でゴチャゴチャ後付で理由こねくり回してるようにすら読めるし。

    僧侶としての役の部分にだけしか見てもらえず、押し込められる自己の村または村人への反発として父子ともに相当の鬱屈を抱えてたっつー設定ですらなんかなあ。事後犠牲までならまあ、わかるけど「=人間殺す側に回る」って部分にどう整合性もたせてるのかよくわからなかった。同じ殺戮するならマイノリティー側でってことなのかなあ。結局正志郎とどう違うのかも不明。

    一晩で5巻一気読みしたのでいろいろ読み飛ばしているんだろうか。

  • 単純な正悪論では語りきれない人と屍鬼の営み。

    つまるところ、人間は愚かで悲しい生き物だということ。

  • なんだよこのくそつまんない本。
    よく五巻も読んだわ。

  • 反撃に参加する者、村を出る者、他にも様々な選択があって興味深い。加奈美と律子の選択が非常に印象的。自分が加奈美だったらきっと同じことを考えるだろう。誰もが律子のように願いながら、やり遂げるのは至難の業。
    敏夫の執念が実っていよいよ始まった人間側の反撃だが、集団特有の狂気が纏わり付いて、どっちが鬼だかわからなくなる。人も屍鬼も、自分たちの生きる場所を守るという点においては同じ。自分が人間側なら生き残るために反撃するし、屍鬼側なら自分のできることをして、恵のようにしぶとく生き延びようとすると思う。怒濤の最終巻だった。

  • 小野不由美作品とはそういうものだと言ってしまえばそれまでなんですけども、作者が登場人物に喋らせ過ぎですよ。十二国記はファンタジーだからまだ自分を納得させながら読めるけど、これは現代日本の山村だものなあ。
    ストーリーの面白さや設定とその描写の細かさで一定以上の満足度は保証されてるから、好んで読む作家ではあるんだけど。
    宮部みゆきの文庫版解説がとてもイイ仕事をしていた。

  • 献辞に「To 'Salem's Lot」とあるように,スティーヴン・キング『呪われた町』へのオマージュとして創られた作品。
    吸血鬼と人間との闘いという基本的な構図のほか,平凡で隔絶された田舎の土地,排他的な人々,それらを見下ろすように建つ不気味な館などの設定も共通。
    しかし,著者はこれらの構図や設定などを借用しながらも,まったく独自の世界観をもった作品へと昇華させている。
    まず本作では,登場人物の性格,人柄,家族構成や背景事情,外場村の外観,歴史や風習などの要素が詳細に積み上げられることにより,村社会における濃密な人間関係や陰湿で閉塞的な雰囲気が描き出されている。
    また,『呪われた町』のスピード感あふれる展開に対し,本作はひたひたと忍び寄る死の恐怖が強調されている。
    何より特筆すべきは,『呪われた町』がはっきりとした正対悪を描いているのに対し,本作は単純にそうとは割り切れない点である。
    本作では,屍鬼を単純な悪としては位置づけておらず,屍鬼の視点からその悲哀を描くことにより,その存在や立場の微妙さが浮彫りになっている。
    物語の終盤で屍鬼狩りが進んでいくにつれ,人間と屍鬼のどちらが正しいのか,どちらが邪悪なのかを自問せざるをえず,自分の価値観や倫理観を揺るがされる。
    かなり大部におよぶ作品だが,傑作。

  • 村で起こる異変がだんだん速度を増していく
    1〜2巻にかけてはぐぐっと物語に引き込まれたものの
    非現実的な設定に移行する場面でひっかかり…
    つまり、医者が「屍鬼」の存在を認めるところが
    唐突に思えて
    設定そのものに馴染めないまま先を読むことになったが
    結果的には、
    生きるものが引き起こす事象を
    色々な者の目、立場から描き
    読んでいる人の立ち位置を問われる
    読み応えのある作品だった。

    僧侶の作中小説が決して読みやすいものではないこともあって
    読むのに根気はいる。

    医者という職業に象徴されるものと
    僧侶と言う職業に象徴されるもの
    その幼なじみの対比も面白い。

    あと、宮部みゆきのあとがきで
    文庫という体裁では物語の厚みに、器としての本が追いつかないと
    書いてあったのが印象的だった。
    最近はなかなか、単行本で小説を読むことも無いけれど
    本の堅さ、重みを感じながら、この暗い難解な小説を読む贅沢を想像したら
    確かに引き込まれ方がまた違うかもしれないと思った。

  • 超大作の幕切れは、やっぱりというか、ちょっと含みを持たせた感じですか。いかにも実在しそうな、人間でも歯が立つ吸血鬼像としては、絶妙な塩梅で屍鬼が描かれているのはさすが。自分的に敢えて難点を挙げるとすれば、寺の坊主の書いた作品が随所に差し挟まれるのが、最後まで邪魔としか感じられなかったこと(結局、作中作を通じて言いたかった事が、最後までピンと来なかったし)、その坊主の頭の中で繰り広げられる御託が、いちいち煩わしかったこと、くらいか。物語としては凄く楽しめました。

  • 若先生が好きだったので、私的に若先生が報われなかったのが悔しいです。
    若御院なんかひとり勝ちやん、みたいな。

  • 終わっちゃった・・・凄まじかったなぁ、面白かったなぁ。

    結局、人間の方が醜いというお話し。妙さんのストーリーとか特に衝撃が大きかったです(´;Д;`)読者の心にも杭を打っていくスタイル。この太い杭はしばらく抜けそうにありません。
    屍鬼側に肩入れしちゃったり、最終章がハッピーエンドに感じられちゃったら作者の勝ち。そして、このお方は多分負け知らずなのだ。

    読みながらウォーキングデッドのゾンビは幸せだなぁとか、サンライトイエローオーバードライブを!とか思っていたことを、正式にここに謝罪致します(人д`*)

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