- Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240275
感想・レビュー・書評
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屍鬼が現れだした頃は屍鬼を『悪』と思いながら読んでましたが、屍鬼の話を聞いてると、そんな単純なことではないように感じました。特に屍鬼狩りが始まりだすと、あくまで屍鬼にも人間の心があるわけで彼らの心理描写を読んでると、なんとも複雑に…じゃあ人間が『悪』なのかと聞かれるとそれも違うだろうし…
そんな複雑な話は抜きにしても、この最終巻の迫力は圧巻!一巻から四巻までに話のペースの上がりそうなポイントはいくつかあるのですが、上がってくるわけではないのでその度に「あ〜また焦らされてる」なんてやきもちしてましたが、それすらもこの最終巻で爆発させるための布石だったのかなと思いました。
惜しむらくは恵とかおりの直接対決が読みたかった。ドロドロしたのが好きなので(笑)
1999年版このミステリーがすごい!4位詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
4巻からなだれ込むように一気に読んでしまいました。
「正義」の名のもとに、暴徒と化した人間がどんなに怖いか。
これまでは屍鬼の襲撃が怖かったけど、人間が一番怖い。
最後の教会でのシーンが、ジンときました。 -
5巻読了。まとめて感想。
地域コミュニティが非常に濃い閉塞感さえある小さな村で起きる怪異な連続死を通して、村が、そして脈々とそれを支えてきた人々のつながりが壊れていく感じ。スプラッタな描写も当然ながら多々あるのですが、その気持ち悪さよりも、なんでもない、普通の人たちの言動のほうがよほどぞっとするくらい恐ろしいじゃないかと、大衆心理について考えさせられました。
小野不由美さんらしい緻密な展開。怪奇現象をひたすら叩き込まれる1,2巻。謎がいろいろ明らかになっていく3巻。リベンジかと思いきやなどんどんえげつなく展開されていく4,5巻。怖かった。でも、面白かったです。 -
この作品の怖さの一つは、一旦死んで屍鬼(起き上がり)になると、人を襲って吸血しないと生きられなくなり、しかも“生前”の記憶、意識は保持され、狭い村の設定故、必然的に襲う相手が家族や知人になってしまう、という所にある。数多い登場人物の中で、同業故か尾崎敏夫に肩入れしてしまうが、屍鬼になった妻を実験台にして抹殺方法を調べるなど、手段の問わなさっぷりがアブナイ。極限状況に追い詰められたら、人も鬼も変わらない、という所がまた別の怖さである。
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色々考えさせられる
読了後めちゃくちゃ余韻を引きずる -
全五巻からなる超大作、読み終わった満足感は半端ないです。
一体なにが正しかったのか、人を襲う屍鬼、屍鬼を襲う人々、最終的に分別がつかなくなり、人を襲う人々、屍鬼達の悲哀。
命の価値観が歪められてしまうような、複雑な気持ちです。
ただ、めっちゃくちゃ面白かった。 -
日本のおどろおどろした雰囲気にちゃんとマッチさせたゾンビもの。こういうとんでも系はあまり得意じゃないのですが、この作品は別もの。面白かった。ーーーーー人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躙したかのように散乱していた――。闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。殺人か、未知の疫病か、それとも……。超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。
「尋常でない何かが起こっている」。死者の数は留まるところを知らず、村は恐怖の連鎖に陥っていた。山々に響き渡る読経、毎日のように墓場に消えていく真白き棺。さらにそのざわめきの陰で、忽然と姿を消している村人たちがいた――。廃墟と化した聖堂に現れる謎の少女。深夜、目撃されるトラックの残響。そして闇の中から射る、青白い視線……。目が離せない展開、戦慄の第二幕。
逃げ場のない恐怖の底に堕ちた村で、深夜、何者かの影が蠢き始めていた。窓の外に佇む凍えた気配、往来の途絶えた村道で新たに営業し始めた葬儀社、そして、人気のない廃屋から漏れる仄暗い灯……。その謎に気付いた者たちの背後に伸びる白い手。明らかになる「屍鬼」の正体。樅の木に囲まれた墓場で月光が照らし出した、顔を背けんばかりの新事実とは――。もう止まらない、驚愕の第三巻。