風の万里 黎明の空〈上〉―十二国記 (新潮文庫)

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著者 : 小野不由美
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社 (2013年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240565

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風の万里 黎明の空〈上〉―十二国記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 『月の影 影の海』で王になった陽子、その続編の物語となります。

    王になったからと言って、全てが思い通りになるわけではなく、
    むしろ異邦人であることをいいことに、イイように転がされています。

    本人もそれが分かっているだけに、なおのこと苦しくて、、
    というか、景麒ももうちょっとどうにかねぇ、、とも言いたくなりますが。

    なお、陽子の他にも二名ほど主人公がいて、全部で三人。

    一人は、陽子より100年ほど前に流されてきた海客・鈴、
    一人は、先の芳国の公主であった・祥瓊、

    実年齢的に「少女」と言っていいのかどうかはわかりませんが、
    それぞれの苦悩と向き合い、一皮むけるまでの物語となっています。

    終盤に展開されるカタルシスは、相変わらずにが心地よく、一気に。
    今のところ、シリーズ中では一番好きな物語です。

  • 『月の影 影の海』以後の陽子、元国王の娘の祥瓊、蓬莱から一人異国の才国へ流れ着いた鈴、三人の少女の苦闘の様子を描いた十二国記4作目。

     この『十二国記』の世界は本当に甘えの許されない世界なんだな、とここまでの新装版『十二国記』を読んでいて思います。今作もまさにそのことを思わせる内容で、陽子は前作の苦難を経験し、悩みながらも前進をめざし行動する様子がしっかりと描かれていて、そうした陽子の姿も読みごたえありなのですが、それ以上に上巻で印象的なのは後の二人の少女の姿。

     祥瓊は国王の娘ながら、その王は行き過ぎた法の制定のため反乱の末殺されてしまい、自身は身分を偽って暮らすこととなります。父の暴走なんて知らなかった、という祥瓊に対し、周囲はそれを許しません。

     最初は国民たちの感情論的な部分もあるのかな、と思ったのですが、それだけではなく国王の娘として生まれた責任のことを言っていたのですね。好きで王の娘として生まれたわけじゃない、と祥瓊は言うのですが、一方で王の娘として贅沢な暮らしをしていたのも事実なわけで、そのため自分の現在の境遇を受け入れられないわけです。しかし上巻終盤で偶然、『月の影 影の海』で陽子を助けた楽俊と出会い、少しですが彼女に変化の兆しが見えてきます。

     鈴は何の落ち度もないのに言葉の通じない異国に投げ出された自分の運命を呪います。これに関しても同情的な意見はほとんどないですね。確かに異国に落とされそれから百年近くずっと自分の運命を嘆き続けるのもどうか、と思いますが、それでも自分は鈴に同情的に話を読み進めていきました。

     でもそれって、今ある程度恵まれた生活を送っているから同情的になれるんだな、と読んでる途中で気づきました。十二国記の世界は、食べるものにこと欠く人もいれば、妖魔に襲われ身内を亡くした人、国が荒れ故郷を失った人などさまざまな不幸に襲われる人がいます。そうした中でも人々は生き続けなければならない。そのためには自分の不幸を嘆く甘えなんて感情は許されないのです。だから鈴に対しても、協力してくれる人はいてもその不幸を一緒に嘆く人はいないのだ、と気づきました。

     鈴も旅の途中でそのことに気づき始めるのですが、上巻の最後に大きな事件が待っています。彼女がそこから立ち直れるのかも非常に気になります。なかなか辛い話も多いですが下巻も楽しみです。

  • 新潮文庫で出直したので再び読む(●´艸`)

    小野先生の凄いなぁっと思うところは、一つの物事をさまざまなキャラクターの視点から描き分けされているということ!( • ̀ω•́ )✧
    今回は 陽子、鈴、祥瓊、の3人がそれぞれの道を歩み思いが交差する(・∀・)

    最初はいけすかない子だなって感じていた鈴や祥瓊も様々な人たちとかかわるにつれ素敵な子になってゆくのです(●´艸`)その気持ちの変化が読んでいて本当に楽しい!実に読み応えがありますよ!!!(๑′ᴗ‵๑)

  • 人は、自分の悲しみのために涙する。

    陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。
    祥瓊は、芳国国王である父が纂奪者に殺され、平穏な暮らしを失くし哭いていた。
    そして鈴は、蓬莱から辿り着いた才国で、苦行を強いられ泣いていた。

    それぞれの苦難を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福を信じて歩き出すのだが―。

    。・゜*・。 ・゜*・。 ・゜*・。・゜*・。

    H25.7.28 読了

    物語としてももちろん面白かったが、清秀と楽俊の言葉たちに、もうやられてしまった。。。

    反省しながら、でも楽俊に「気付いたときから始めればいい。生きている限り遅いということはない。」と励まされながら読むことが出来た。

    1日で読み切ってしまったのも久しぶりかも。
    下巻も楽しみ。

  • 玉座に就いたものの、女王であるために官吏に侮られ、また蓬莱の生まれであるが故に道理がわからず、自分の不甲斐なさに苦悩する、慶国王・陽子。
    王と王后である父母を目の前で殺され、位を剥奪されて過酷な労働をしながら生きなければならない自身の境遇を呪う、芳国の公主・祥瓊。
    十二国へ流されて来てしまい、言葉の通じる仙にしてもらうことと引き換えに傲慢な主人の仕打ちに堪える、蓬莱の少女・鈴。
    三人の少女が慶で出会い、自身の在り方を見つめ直していく。

    最初は彼女達、特に祥瓊と鈴の辛い境遇に思わず同情したくなってしまう。
    読み進めていくと、彼女達を取り巻く登場人物に未熟さを指摘され、それにまた納得してしまう。
    そして納得すると同時に、彼女達に同情してしまった自分にひやっとする。
    自分の中に存在する、「私は悪くない」という責任逃れの気持ちを指摘されたような気がして。

    序盤は祥瓊や鈴の境遇や言い分が尤もなように思ってしまう、けれども徐々に彼女達の甘えに気付かされ、最終的にはそれが覆される。
    小野主上は本当に、読者の思考をキャラクターに寄せるような書き方が上手い方だなぁと思います。
    旧版を何度も読んでいる作品なので、さすがにキャラの思考にいちいち同調してしまうことはなかったですが。
    ひやっとする部分があったということは、まだまだ自分も、周りや状況のせいにしてしまうことに心当たりがある、ということなんだろうな。
    『月の影 影の海』と、この『風の万里 黎明の空』はシリーズ中でも特にそういう傾向が強いような気がして、好きなんですが気軽には読めません。
    何度読んでも、大人になっても、このシリーズから学ぶことは多いなぁと思います。
    大好きです。

  • 十二国記シリーズの中で、いちばん好きな作品の1つ。「おしん」と「暴れん坊将軍」(ついでに「水戸黄門」)の要素を含んでいて、いかにも日本人好みな物語に仕上がっている。10年以上前に読んだときは、この話の主人公3人(陽子、鈴、祥瓊)それぞれの苦悩と決断の重さを完全にスルーして読んでいたのだと気づかされて、自分も年を取ったものだと思った。(上下巻まとめてのレビューです)

  • 陽子の回はなんとなく薄暗くなる傾向にある気が…。登場人物が大体生真面目に見えるという不思議。

  • 慶国の女王になった陽子。
    芳国の王の一人娘だった祥瓊。
    日本から虚海を渡り仙籍をもらった鈴。
    恭国の女王で祥瓊を預かった珠晶。

    立場の異なる同世代の若い女性たち。

    それぞれの赤裸な言葉がリアルすぎて、胸に刺さりました。自分が悪いの?そんなことない、あの人が悪い。環境が悪い。誰もわかってくれないことが悪い…はい!他人に責任をなすり付けて自分を慰めることをやめます!

    僕がこの本を読んで、そう勉強したように、陽子、鈴、祥瓊も次第に学んでいく。そう、大きなきっかけがないとなかなか人は変われないよね。どういう事が一番恥ずかしい事なのかを改めて考えさせられた。

    続き、読むしかない!

  • 既に慶王となった陽子以外の登場人物はほぼ初出ですが、みんなそれぞれに魅力的なキャラクタたち。地理的に遠く離れた3人の少女たちが、これからどのように絡んでいくことになるのか興味をつなぎつつ下巻に続きます。

  • 上・下巻。

    新潮社版 十二国記 エピソード4

    『月の影 影の海』から繋がる慶国の話です。

    主人公は3人で、元芳国公主 祥瓊と海客の鈴。
    そして景王となった陽子の話が絡み合って一つの物語になってます。
    人の弱い部分の感情が妙にリアルに書かれていて、その心の成長過程がとても面白いです。

    読むたびにラストの3人娘たちのカッコ良さにウルッとなります。

  • 祥瓊が知らなかったことを言い訳に訴えるとき、脳内では桑島さんの声で自動再生。ストーリーは覚えてないのに、彼女の叫びだけは印象的だったようです。3人の中で1番感情移入しやすいのもあるかも。

    公主から庶民に転落し、知らないことを理由に横柄な態度をとり続ける彼女は痛々しくて虚しい。最後のほうでは今までの自らの生き方に疑問を感じ始めているので、下巻での成長が楽しみで仕方ない。

    鈴はお花畑思考が苦手でしたが、清秀との会話がおもしろかった。立場の違う3人の書き分けはすごい。清秀は良い男になりそうだったのに、ああ。

  • 鈴の気持ちも言い分も解るんですよ。だって12で売られて、言葉の通じぬ異世界へ流されて、不幸続きで優しくされないまま生きねばならなくて、誰かのせいにしたい、縋りたいって思ってしまうのはそんなに責められる事かな。そりゃ、も少し明るく前向きに考えられる様になるのが望ましいけどさ。祥瓊は何十年もの公主人生の中で帝王学でも諭してくれる人が周囲に居なかったのが不幸の始まりかも。本当なら40代のはずなのに仙になると精神年齢はその時の年齢で止まってしまうものなのだろうか。何度も再読して色んな見解を持つ様になった。

  • またどうしてこの方は、こう人間の汚いところというか嫌なところ描きますかねえ(褒め言葉として)。じぶんに思い当たる節があるから余計に、グサグサ刺さるというか、鬱になるというか。
    あと、ラスト。それはないだろう。清秀が可哀そうすぎる。それぞれが葛藤・苦悩するのはまだしも、あの最後は崖につき落とされた気分。しかも「おれ死ぬのやだな」「鈴が泣くから」と言い残し・・・そんな結末ないやろう。
    「月の影 影の海」同様、下巻では救われることを望む限り。大丈夫だよねえ?このままどん底は嫌ですよ。

    そして陽子は、冒頭からまたしても苦難の道。生死の心配はなくなったけど、今度は政にて。女子高生がいきなり王だと言われてもねえ。それでも逃げずに覚悟を決めた当たりはちょっと感動。「月の影 影の海」のラストシーンに見せた覚悟は本物だった。そして景麒の回想。「かけがえのない方なのだから」という言葉が信頼とこの後の安心感みたいなものを感じ。

    さて政と言えば、アルスラーン王子を思い出す。『限られた食料、すべての人は救えない、王たるあなたはどうする』。ひたすらに血を嫌い、哀れみ,仁道を説く麒麟。理想と現実のすり合わせが、十二国にリアリティというかただのファンタジーで終わらないところをもたらしていると思うのですよ。

    鈴の不幸自慢を清秀が指摘する。祥瓊の言い訳に楽俊が「あんたは、何をしたんだ?」と問う。ズバズバ本当のことを突かれるとツライもの。
    さて、彼女たちは「童話物語」の下巻のペチカのように改心(というと語弊があるが)するのだろうか。そして、陽子と鈴と祥瓊の3人の出会いがどうなることか。陽子の初勅は何かな。

    珠晶、見たなりは小さいのに、そこまでできた王道を歩むとはいったい何があった?どういう経緯で供王になったのか。語られることはないのかなあ。
    「哀れみが真っ当に正直に生きている人たちへの侮辱である」と言い切るのは凄い。王ならばこその巨視的視点。奚(下女)の長への感謝の言葉なんて、とても想像できなかった。ここら辺が人心掌握の技というか、上に立つものの思考なんだろうなあ。

    さて、延王尚隆の「そうなればきっと、俺は雁を滅ぼしてみたくなる」と不穏な独白。前巻にも微妙な一文があったが。いずれどこかでそんな物語が出てくるのか。

    遠甫との単位の話、どっかに図解ないですかね。文字だけではいっかな頭に入らない・・・

  • 王になった陽子が奮闘するお話

    王の仕事は海客の陽子にとっては荷が重い
    自分の力量を把握し政治をちゃんとしようとする陽子偉い

    鈴は可哀想な女の子って思ってたけど進むうちにイライラが増してくる(笑)
    しょうけいは…最初からイライラする女の子です(笑)

    未成長な女の子3人のお話

  • 慶国の王座に就いたばかりで、自分のやるべきことが見いだせない陽子。
    芳国国王である自分の父親が、目の前で倒された公主・祥瓊。
    親に売られて東京に向かう途中、不思議な国に迷い込み、慶国に泳ぎ着いた鈴。

    今回はこの三人の娘が主役。
    登場人物は多い、場所名がたくさん出てくる、名前が読めない、誰コレ何コレあぁ、複雑。・・・・なのに引き込まれて止まらない。
    すっかり感情移入してしまって、最初はやっぱり好かなかった鈴や祥瓊に対して、心の中で「がんばれ!」が口癖。

  • 何度読んでもいいものはいい

  • 難しそうだから読めないかも…と思いながら読んだが、まったくの間違い。むしろ、のめり込むように読んでしまいました。
    陽子の国のために強くなろうと姿や鈴達の物語がとても面白かった。

  • 安定の面白さ。
    一皮むけた陽子と、自分の身を嘆く2人の少女。

    その2人が身を嘆きつつも成長して、陽子と会うのかなぁ、と思うと続きが楽しみです。

    ここまでこの作品を読んでいると身勝手な少女にさすがに慣れてきたw

    2016.9.19

  • 図書館/あー…これは、もう。下巻が気になって仕方ない。
    段々と近づいていく主人公たちにどきどきしてる。それぞれの立場や思いは辛いけど、出会いを通して変わっていく様に勇気づけられるし、同時にこちらも気が引き締まる思い。いまの自分にはちょっと、耳が痛い(苦笑)

  • 陽子は、慶国の玉座に就きながら役割を果たせず苦悩する。二人の少女もまた、泣いていた。いま、希望に向かい旅立つのだが―。

    まだまだ十二国記旅は途中ですが、本作はこれまでの集大成だと思います。総決算!面白いっ!!

    慶国の陽子、海客の鈴、芳国の祥瓊。自分を見失って負の意識に苛まれる三人が戦い、少しずつ成長していく物語。最後の初勅には胸を打たれました。

    次は、丕緒の鳥へ☆

  • 十二国シリーズの中でも好きな作品。
    運命が絡まっていくところが
    楽しすぎます!

  • 鈴や祥瓊はこんなにもダメ子たちだったけ?と改めてびっくり。
    でも、これはファンタジーで現実とは違くても、この2人の考え方は誰でも少しは抱えている問題で、何のきっかけでここまで大きく膨れ上がることもある普通の事なのかもと思いました。
    知らなかったや自分がかわいそうは、誰でも持ってるもの。陽子の時もそうだったけど、十二国記はそんな誰でも持ってる問題のようなものを実は描いているから好きです。
    ファンタジーだけど、私たちが誰でも抱えてる問題に登場人物たちが過酷な状況で向き合っていく。だから魅力的なのかも!

  • 助けて、ばかりでは生きられない。
    丁度、読んだときに私も、不遇な状況で私可哀想状態だったので少し反省した。

    不満を言う前に、その物事に向き合ってみる。やるべき事をやらなかったから殺された。という言葉にはっとした。

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風の万里 黎明の空〈上〉―十二国記 (新潮文庫)の作品紹介

人は、自分の悲しみのために涙する。陽子(ようこ)は、慶国(けいこく)の王として玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に、苦悩していた。祥瓊(しょうけい)は、芳国(ほうこく)国王である父が簒奪者(さんだつしゃ)に殺され、公主の平穏な暮らしを失くし哭(な)いていた。そして鈴(すず)は、蓬莱から流され辿り着いた才国(さいこく)で、苦行を強いられ、蔑まれて泣いていた。それぞれの苦難(くるしみ)を負う少女たちは、幸福(しあわせ)を信じて歩き出すのだが──。

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