風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240565

感想・レビュー・書評

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  • 子どもたちに是非読んでほしいと思った。楽俊の「知識として知ってるだけで、実はそれがどういうことだか分かってねえ気がする」という言葉や、清秀の「空想ってのは、ぜんぜん労力いらねえもん。いま目の前の問題をどうしようとか、やらなきゃいけないことをやる、なんてのに比べたら、ぜんぜん楽。けどその間、考えないといけないことも、やらないといけないことも、棚の上においてあるだけだろ。なーんも変わらないし、空しいに決まってるじゃん」という言葉。そうなんだよ、その通りなんだよと思う。祥瓊も鈴も、なかなかそれを受け入れることができなくて、苦しむのだけど、出会いが彼女たちを変えていく。きっとそうなんだと思う。人と人との出会いによってしか、たぶん人は変わっていかない。そんな出会いがあればいいと思う。私もそうだった。だから少しなりとも彼女たちに、変われるきっかけを与えられるような人間に、私もなりたい。

  • 前半はなんだか疲れちゃうようなキャラクター達でお腹一杯。後半に憑き物を落とされはじめてやっと読みやすく。
    構成がすこし出来すぎている感じがしたか。蓬莱から来て否応なくすべてを手にいれた者、同じく蓬莱から来たけどすべてを失ったところから始まった女の子、すべてを持っていたけれど奪われた女の子。三者を通して世界を描く作業が続く。個々人の戦いの物語は進んでいくが、全体としては停滞感があるというか、個々の物語の駆動力に力強さが足りないというか…。物語に何を求めるかにもよるけれど。
    下巻の転換に期待。

  • 再読。登場人物の未熟な部分や不遇なときをこれだけ割いて書くのが本当に十二国記だなと思うし、読んでいて歯痒かったり辛かったりするんだけど、それがキャラクターの成長や変化の説得力、物語の厚みに繋がるんだなと思う。下巻読み返すの楽しみです。

  • 否応がなしに、「ああーこんな風に思ってたときあったな」とか「そうそう、そうよ!よく言った!」なんて思いながら、大切なことを教えてくれるよなーとしみじみ。陽子はん、前は微妙と思ってたけど、好きになっておるなう。

  • 慶国の女王になった陽子。
    芳国の王の一人娘だった祥瓊。
    日本から虚海を渡り仙籍をもらった鈴。
    恭国の女王で祥瓊を預かった珠晶。

    立場の異なる同世代の若い女性たち。

    それぞれの赤裸な言葉がリアルすぎて、胸に刺さりました。自分が悪いの?そんなことない、あの人が悪い。環境が悪い。誰もわかってくれないことが悪い…はい!他人に責任をなすり付けて自分を慰めることをやめます!

    僕がこの本を読んで、そう勉強したように、陽子、鈴、祥瓊も次第に学んでいく。そう、大きなきっかけがないとなかなか人は変われないよね。どういう事が一番恥ずかしい事なのかを改めて考えさせられた。

    続き、読むしかない!

  • 新潮文庫で出直したので再び読む(●´艸`)

    小野先生の凄いなぁっと思うところは、一つの物事をさまざまなキャラクターの視点から描き分けされているということ!( • ̀ω•́ )✧
    今回は 陽子、鈴、祥瓊、の3人がそれぞれの道を歩み思いが交差する(・∀・)

    最初はいけすかない子だなって感じていた鈴や祥瓊も様々な人たちとかかわるにつれ素敵な子になってゆくのです(●´艸`)その気持ちの変化が読んでいて本当に楽しい!実に読み応えがありますよ!!!(๑′ᴗ‵๑)

  • 鈴の気持ちも言い分も解るんですよ。だって12で売られて、言葉の通じぬ異世界へ流されて、不幸続きで優しくされないまま生きねばならなくて、誰かのせいにしたい、縋りたいって思ってしまうのはそんなに責められる事かな。そりゃ、も少し明るく前向きに考えられる様になるのが望ましいけどさ。祥瓊は何十年もの公主人生の中で帝王学でも諭してくれる人が周囲に居なかったのが不幸の始まりかも。本当なら40代のはずなのに仙になると精神年齢はその時の年齢で止まってしまうものなのだろうか。何度も再読して色んな見解を持つ様になった。

  • 玉座に就いたものの、女王であるために官吏に侮られ、また蓬莱の生まれであるが故に道理がわからず、自分の不甲斐なさに苦悩する、慶国王・陽子。
    王と王后である父母を目の前で殺され、位を剥奪されて過酷な労働をしながら生きなければならない自身の境遇を呪う、芳国の公主・祥瓊。
    十二国へ流されて来てしまい、言葉の通じる仙にしてもらうことと引き換えに傲慢な主人の仕打ちに堪える、蓬莱の少女・鈴。
    三人の少女が慶で出会い、自身の在り方を見つめ直していく。

    最初は彼女達、特に祥瓊と鈴の辛い境遇に思わず同情したくなってしまう。
    読み進めていくと、彼女達を取り巻く登場人物に未熟さを指摘され、それにまた納得してしまう。
    そして納得すると同時に、彼女達に同情してしまった自分にひやっとする。
    自分の中に存在する、「私は悪くない」という責任逃れの気持ちを指摘されたような気がして。

    序盤は祥瓊や鈴の境遇や言い分が尤もなように思ってしまう、けれども徐々に彼女達の甘えに気付かされ、最終的にはそれが覆される。
    小野主上は本当に、読者の思考をキャラクターに寄せるような書き方が上手い方だなぁと思います。
    旧版を何度も読んでいる作品なので、さすがにキャラの思考にいちいち同調してしまうことはなかったですが。
    ひやっとする部分があったということは、まだまだ自分も、周りや状況のせいにしてしまうことに心当たりがある、ということなんだろうな。
    『月の影 影の海』と、この『風の万里 黎明の空』はシリーズ中でも特にそういう傾向が強いような気がして、好きなんですが気軽には読めません。
    何度読んでも、大人になっても、このシリーズから学ぶことは多いなぁと思います。
    大好きです。

  • 王の娘として不自由ない暮らしをしていたが突然その全てを失った祥瓊
    故郷から言葉も通じない見知らぬ土地にやられた鈴
    王となったは良いが何を務めとすれば良いがわからず苦心する陽子

    「自分だけが可哀想」になっている人は周りからは疎まれてしまう。残酷だけど教訓のある前半だった。
    さて、それぞれが周りを見始めた後半戦どうなるやら。

  • それぞれの悩みを抱えている女たちの話。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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