- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240602
感想・レビュー・書評
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王の理想と苦悩を描く短編集。シリーズを通して読んでいる人は思わず「うおぉぉぉ!」と言いたくなる人が続々出てきます。勿論そんなファンサービスだけでなく、読んでいて身が引き締まる物語も健在で、どんどん磨かれています。特に表題でもある「華胥の幽夢」は、良い国を作りたいという強い思いとは裏腹に崩壊していく国家が生生しく描かれています。
自分は「できる」と思い込んだ時が、その人の限界。それが王ならば、その国の限界、終焉になる。自分を卑下することの多い尚隆だが、そういう姿勢だからこそ500年という長い治世を続けていられるのだろう。しかし、「できる」と自信を持たなければ、事にあたること自体が困難になる。そこのバランスは、本当に難しい。自信を持ちつつ謙虚に努めようとしても、気付くと慢心しているなんて事がざらにある。作中で「未熟なのは仕方がない、それを自覚できていれば良い。」という言葉がとても印象的。未熟なことを、忘れずに生きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人を責めることは簡単だが、それをできるのは正しい道を示せる人だけだ。
今日の自分の言動を振り返って反省。
このシリーズの最大の魅力は、
ファンタジーでありながら現実に深く根ざしているところだ。
『書簡』の中で、
相手が大変なのは分かっているが、
それをおくびにも出さずに頑張っている相手を知ると
自分も頑張れるという下りがある。
私もその気持ちで新年度を迎えたい。 -
後書きにもあるが、乗月を読んで涙がこぼれるほどの熱いものが湧き上がると評されているが、この章は嗚咽しながら読んだ。
主上を止められない自分、諫言するだけ事態が悪くなる現状、尊敬する人が愚行を繰り返すのを見ていられず、幕を引いた事。それが謀反じゃないと主上にもうし開きしたい自分。
タイムリーでした。 -
ずしんと響く短編ずらりで、初めて読んだ時のようにふるえましたわ。
私が当時より大人になったのか、人生を重ねたからなのか、
深く深くつきささったり癒されたり。
本編ストーリーを読んでるといっそう親しみがわくというか、
ひとりひとりにどんなドラマでもあるというか、
主軸がかわる視点がかわる、
それ以前それ以後の物語がまた新鮮でいいんだよねえ。
解説がまたすごくよかったです。
このままどんどん刊行されますように。
シリーズが、長く長く続くこと期待。 -
あまり入り込めなかったんだけど、やはり陽子と楽俊の存在感は短編でも読ませてくれるものがあった
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短編集。陽子出てこない。
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十二国記シリーズ 7作目。高里君が出てきて葛藤しつつ頑張ってる姿を応援すると共に脳裏を過ぎる魔性の子……ほんま何で。楽俊と陽子も好きやし、他の国々の王の葛藤に国を維持する大変さを再認識する。にしても延王達と奏家族政治凄いな、ここも掘り下げてほしい。どんどんシリーズにのめり込む上各国が気になりすぎる。
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今まで出てきた国や人物の短編集。
どれも面白いけれど、1部冗長だと感じてしまった…。 -
12国記短編集。
息子はあまり印象に残らなかったと言っていたが、母は楽しめた。
ここまで読み進めると12国の位置や登場人物もそこそこ頭に入っており、『あー、これはあの国のあの人の話ね。』と改めて頭の中を整理できる。時に読み終えた本を引っ張り出して、『やっぱり、この人か!』と、頭の中で登場人物を紐づけていく喜びがあった。そして、今更ながら気づいた。『ああ、もうすっかり沼にハマっている。』と。 -
十二国記シリーズの短編集としては2作目、全体では7巻にあたるものです。
前回の短編集は非常に読みにくいものでしたが、今回はサクサク読めて楽しめる内容でした。
私は陽子を推しているので、端々に陽子の影を感じる描写があり良かったです。
特に最後の話では、大国の王たち一家が陽子に期待し希望を寄せた描写があり「そうなの!陽子ってば本当に頑張ってるの!!」と言いたくなりましたw
それでも短編集なので、読み応えとしてはかなり軽い仕上がりです。
次はまた本編に戻るのかな?楽しみです!