魚の棲む城 (新潮文庫)

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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (622ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101241166

感想・レビュー・書評

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  • 田沼意次というと、大商人と小判を前にして「おまえも悪よのぉ、へへへ」みたいなイメージがあるのは私だけでしょうか?子どものころの歴史の授業の影響?
    でも、最近では商業を発展させ幕政の改革を進めたと評価が高まってきているそうですね。
    この本は、あくまで小説でフィクションだろうけれど意次のイメージを大きく変えることができました。

  • こんな爽やかな魅力に富む田沼意次はイメージに合わないが・・・。幼馴染みの意次と坂倉屋龍介、お北の3人の信頼関係が美しい。そしてもう一人の幼馴染みお志尾は意外な再登場となる。意次とお北の若い日の恋愛、惹かれ合い、それに好意的に介在する龍介、そして50年後に至るまでの微笑ましい関係は少し楽観的に過ぎるように思うが、読後感は清涼!松平定信が悪役として存在感があった。しかしお北の夫の死にだけは割り切れさが残った。それ故、魚屋十兵衛の存在が必要だったのか。

  • 本作品では、ダーティーなイメージで描かれることが多い田沼意次が、爽やかな男惚れのする人物として描かれている。言語不明瞭な家重やその子家治に誠心誠意仕え、私欲なく幕政に貢献していく意次。異例の大出世に、門閥の幕府重役から嫉妬やねたみを受けながらも、積極財政策で幕府を盛り返そうと奔走する。最後は、権力欲の固まりのような松平定信、一橋治斉らの陰謀で失脚させられてしまうが、読後に爽快感が残る。

  • 非常に読みやすかったです。
    時代小説と言うだけで読むのに
    てこずるかな、と思ったらあっという間に
    読めてしまいました。

    田沼意次と同じ幼名の男と
    彼を愛し、禁じられた恋に堕ちた女
    いずれの視点も非常に文章が素敵で
    長さすら感じさせませんでした。

    もし、彼が
    この恋した女とともにいて、
    もう少し長く生きていたら…
    どうなっていたでしょうね。

  • よしながふみさんの「大奥」で田沼意次が気になり、読んでみた。
    最初は歴史物というより時代物という感じ。それはそれなりに面白かったけど。
    後半はどこまで史実なのか分からないけど、勉強になった。

  • 田沼意次を、その幼馴染龍介、お北との友情を交え、その凛々しくも、清々しい生き様を描く。
    田沼意次の政敵との生々しい死闘も描かれているが、田沼意次とお北との関係は、ただ側室というものでもない。国のために、我が身を投げ打ち、情熱をかける男と、その男を惚れ抜いた女。
    単なる歴史小説でなく、読み応えある一冊となっている。

  • きれいなジャイアンならぬ、ろうあの9代将軍家重のことを心底おもんばかる、清廉潔白で美貌と才知あふれる田沼意次。そして、幼馴染で豪商になる龍介に、のちに陰の愛人になるお北も登場する、青春群像劇(なのかな?)。教科書知識で賄賂にまみれた田沼時代という評価に、古くから異議をとなえ、松平定信と違って米経済中心で傾きまくった江戸幕府の財政を立て直そうと経済通だったエピ(株仲間の推奨・比率を変更した貨幣鋳造、そして蝦夷開発)を幾つも織り込み、新鮮な切り口でした。出来の良い子供の田沼意知が暗殺されたのはほんと日本にとっても不幸だった。ただ田沼意次の恋愛模様が不要に多すぎる印象は否めない。

  • 小学校の時の恩師に「まだ読んでいないの?」と何度も言われて、ネットで購入。
    今までも本は紹介してもらっていたけれど、これが一番先生の押しが強かったです。
    さすがに、おもしろかったです。
    相良城、田沼街道、土地と歴史がつながりました。
    こんなにも素晴らしい人だったのですね。
    まわりに生きる幼馴染も、素晴らしい。
    私も、幼馴染みを大事にします。

  • 意次様の魅力満載。最近読み漁った田沼関連の中では一番読みやすく、好みな一冊でした。田沼意次に興味を持った人には、一番最初にこの本を勧めたい。

  •  平岩弓枝『魚の棲む城』

     清廉潔白(笑)な田沼という事で読んでみました。
     清廉潔白というか雄々しいというか、なんというか、私の中の田沼のイメージと大分乖離していましたね(苦笑)
     女寝取るなどやんちゃする田沼は見ていて面白かったです…が、やはりイメージが一致しない^^;
     なんとなく田沼は汚職してなんぼかとおm
     そして定信の扱いがひどすぎて何とも言えない気分です。
     彼は小物ですが(…)小物なりに立派な小物だったと思います、私は。
     まあ、田沼の本なので仕方ないとも言えますが(笑)

     それにしても龍介とどことなく…その…うん………

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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