湖の伝説―画家・三橋節子の愛と死 (新潮文庫)

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著者 : 梅原猛
  • 新潮社 (1984年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101244044

湖の伝説―画家・三橋節子の愛と死 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 命にも等しい右腕を失い、絵筆を左手に持ち替えて再出発を果たすも、ふたたび病のために夭逝した日本画家・三橋節子の生涯と作品を読み解いています。

    著者は、三橋の『よだかの星』や『鬼子母』と『鬼子母神』などの作品を取り上げて、そこに仏教的な慈悲のテーマを見いだします。

    三橋は、ガンのために右腕を切断する手術を受けることを余儀なくされます。そんな三橋のもとに、夫・鈴木靖将は『近江むかし話』という本を携えて訪れ、病床で彼女にその本を読み聞かせたとのこと。その話のいくつかが彼女の心を打ち、退院後の彼女は『近江むかし話』に題材を取った絵を、左腕で描いていきます。

    そうして描かれた絵の中から、著者は『田鶴来』『三井の晩鐘』『白鷺の恩返し』といった作品を取り上げて、そこに彼女の芸術の深化を読み取ろうとしています。著者はこれらの絵に、仏教的慈悲に裏づけられた夫婦愛や、愛する子と別れなければならない竜女の愛情などが表現されていると論じています。

    さらに著者は、ガンが肺に転移したことが発覚した後、愛児とみずからの命との別れに向けて三橋が描いた『雷の落ちない村』と『余呉の天女』を取り上げ、彼女の最期の境地を解き明かそうとしています。

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