消えた女―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)

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著者 : 藤沢周平
  • 新潮社 (1983年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247076

消えた女―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • L 彫師伊之助捕物覚え1

    しまった。こんなシリーズを読みのがしていたとは。藤沢周平、やっぱり隙がない。哀愁漂うところも情緒溢れるところも抜かりないし、無駄な文字はない。途中悪態つくことなく一気読み。隙がないから読むの大変だけど充実感で満たされる感じ。
    しまいこんでいる藤沢周平本を久々にだしてまた読もう。

  • 彫師伊之助捕物覚えシリーズ一巻。版木彫り職人の伊之助は、元凄腕の岡っ引。逃げた女房が男と心中して以来、浮かない日を送っていたが、弥八親分から娘のおようが失踪したと告げられて、重い腰を上げた。おようの行方を追う先々で起こる怪事件。その裏に、材木商高麗屋と作事奉行の黒いつながりが浮かびあがってきた……。本業の合い間をぬっての探索、幼馴染のおまさの一途な愛と昔なじみの仲間との絡み。丸腰で悪党と対決する伊之助の活躍を描く。秘密を知り巻き込まれたおようの儚い運命が涙を誘う。高麗屋の嫁おうのも哀れだった。

    3作シリーズのハードボイルド時代劇、①消えた女・②
    漆黒の霧の中で・③ささやく河。

  • 元岡っ引の伊之助は女房が死んで以来、十手を返し彫師として働いていた。だが恩のある元岡っ引の弥八の娘が行方知れずと知り、探索に乗り出す。

    おもしろかった!藤沢周平の捕り物がこんなに面白いなんて!もっと早くに読んでいればよかった!ぐいぐいと引き込まれて一気に読み終わってしまった。頁の残りが少なくなる事を惜しく思える本は久し振りでした。満足!

    唯一、解説が不快でした。やすっぽい文章に読後の余韻をぶち壊されてうんざりしました。

  • 内容紹介

    版木彫り職人の伊之助は、元凄腕の岡っ引。逃げた女房が男と心中して以来、浮かない日を送っていたが、弥八親分から娘のおようが失踪したと告げられて、重い腰を上げた。おようの行方を追う先々で起こる怪事件。その裏に、材木商高麗屋と作事奉行の黒いつながりが浮かびあがってきた……。時代小説の名手・藤沢周平が初めて挑んだ、新趣向の捕物帖――シリーズ第一作!

  • 藤沢周平は長編より短編が良い。長編はリズム良く読み進められるが、短編の方が練られてるようだ。元岡っ引の彫師伊之助が、利害関係無く一途に行動する。最後乗ってきたところで、客の絵から一番の難題が解決したのには、拍子抜けした。2016.7.15

  • しまった〜。
    いっぺん読んでるのに気づかなくてまた買ってもーた。
    中身は、電車で読んでると、降りる駅をすっ飛ばすくらい
    熱中させます。
    面白いのは間違いなし。

    当然次のシリーズも読みたくなる一冊。

  • 渋い。
    渋すぎる。
    売り文句から分かってはいたけれど、時代劇で「男のハードボイルド」をやっている。
    と言いながら、ハードボイルドってどんなジャンルなんだろう、って言うのは我ながら曖昧なんですが。
    大まかに言うと、「男は黙って」「不器用ですから」かと思いきや、どうしてどうして、フィリップ・マーロウは減らず口が生命線だったりする。けっこう多弁。
    なんとなく、暴力と犯罪と不正が支配する都市世界、という世界観があって。
    そこで、若い青い正義を振りかざすのは恥ずかしいからしないんだけど、結果的に正義なことをしちゃったりする。
    なんだけど、決して報われることなく汚れた街で背中を見せて去っていく。
    スーパーヒーローのように強くはないんだけど、タフで打たれ強く、くよくよしない。そんな感じの主人公がいる。それがハードボイルドか。
    なんだけど、時折、正義だなんだ関係なく、目的遂行、あるいは巻き込まれ型で進む場合も、あるのかな。

    ####あらすじというか、個人的な備忘録####

    「消えた女」。
    版画や本などの元になる板を彫る、彫師の伊之助が主人公。
    30代半ばくらいなのか。
    彫師と言っても個人営業じゃなくて、親方がいる店で働いている。いわばサラリーマン。
    この伊之助が、実は、かつて岡っ引き。十手持ちだった。雑に言うとヒラの刑事というか。腕っこきだった。
    なんだけど、そんな頃に仕事にかまけて、女房に逃げられた。女房は男を作って逃げた。その上、その男と無理心中、自殺してしまった。
    そんなことがあって心に傷を負って、転職した。それが五年くらい前。今は、市井で小さくなって暮らしている。
    幼馴染的な惚れた女がいる。おまさ、という。この、おまさが、一杯飲み屋を営んでいる。
    惚れてるけど、手は出さない。また夫婦になる自信がない。この、おまさも、伊之助に気がある。
    お互いに気があるんだけど、おまさが近づくと伊之助が逃げる。だからお互い動けなくなる。動けないまま、時折おまさの店で飯を食べ、酒を飲んで帰る。

    そんな、いかにもな、というか、典型的な、というか、そんな伊之助の人物像と境遇と心境が、淡々と語られる。
    これがなかなか上手に書けていると思う。季節は冬。冬の寒さの描写が背骨になっている。

    そんな伊之助のところに、岡っ引き時代の知人が相談に来る。
    娘の、おようが消えてしまった。
    もともと、不良な娘だった。ロクでもない博奕打ち、やくざな男と所帯を持った。縁を切っていた。
    ところがある日、見知らぬ子供が手紙を持ってきた。おようの文字で「助けて」と。
    おようのことは、子供時代から、伊之助も知っている。義理と人情、捜索を引き受ける。
    夫に当たる。おようはある日、ぷいといなくなった、という。夫を尾行する。何者かを脅して小銭を得ている。
    その相手をつきとめようと、尾行していると、何者かに夫が刺されて死ぬ。
    脅していた相手は、高麗屋、という材木問屋だったらしい。
    その高麗屋は、おようが女中奉公していたのだ。
    おようが最後に目撃された、怪しい飲み屋から糸をたぐる。
    高麗屋の女中から聞き取りする。
    どうやらこの、高麗屋が臭い。

    そこに、伊之助の岡っ引き時代の上司・いわゆる町奉行与力さんも絡んでくる。
    そっちが追ってる別線の殺しも、高麗屋に収斂してくる。
    おまさ、との恋愛軸まで絡んでくる。おまさの常連客の独りが、高麗屋に恨みがありそうだ。

    そんなことから、おまさとの仲が深まる。
    一緒になろうか、と。だが、なんとなく気持ちのけじめ。おようが見つからったら、と。

    落ちを言ってしまうと。
    高麗屋が、過去に悪事をして潰した商売敵の息子が、盗人になって、高麗屋から不正の証拠の書付を盗み出す。
    伊之助は独力操作でその息子に行き着く。その書付を得る。
    高麗屋と対決して尋問すると、高麗屋は悪事を認める。
    おようは、その一端をたまたま見てしまった。だから、高麗屋によって、身体を売る暗黒街に落されたのだ。
    開き直り、手下に伊之助を襲わせる。
    間一髪、逃れて生き残る。
    だが、高麗屋は偉い役人とつるんでいて、なんと法律では処罰できない。
    がっくり歯噛み。ところがどっこい。
    なんと、仲間割れで、高麗屋に雇われていた殺し屋が、高麗屋を殺害。
    高麗屋は滅んだが、おようの行方は分からない。

    ところが。
    偶然彫師の仕事で見た姿絵から、場末の女郎屋でぼろぼろに体を壊したおようを探り当てる。

    と、そこで、チョン、っとおしまい。

    #######

    フィリップ・マーロウものも、そうなんですが。
    この手の、主人公の心理描写に重きを置いた犯罪物語は、どうやらほんとに、粗筋やお話の運びは大事ではないんですね。
    こうやって俯瞰的に書くと、偶然と偶然がぶつかりあって悲鳴をあげながら転げ落ちるような、なかなか酷いストーリーです。
    なんだけど、そのひとつひとつを順番に、伊之助の目を通して見て体験し、伊之助と共に悩んで途方に暮れながら味わっていくと、なかなか読めてしまう。
    伊之助の侘しい哀切な過去。後悔。背負ってる罪悪感。おまさも決して綺麗な身ではない。大人のほろ苦さ。
    おようの陰惨な境遇と、残された老いた父の慟哭。
    勝ち組の悪党の業と、ちんぴらやくざたちの木の葉のような生き様。
    そんなこんなを、どっぷり飲み込んで、表向きは消費者たちが賑やかに生きる大都会。
    物語を貫くのは、身を切るような凍てつく寒さです。

    という訳で面白かったんですが。
    やっぱり、フィリップ・マーロウのような(特に、村上春樹さん訳のもの)、陶酔するような夢中になる感じじゃないんですよね。
    ハードボイルド、とか言われている小説の多くがそうなんですが、結局は、「男のハーレクインロマン」なところも正直ありまして。
    暴力過多だったり、情緒過多だったり、結局強引だったり、まあ色々なんですけど。
    この小説の場合は。多分、僕の好みからするとちょっと情緒過多。それから、ありがちな罠なんですけど、結局素人探偵ものですから、どこかに偶然とか強引があるんですね。
    そういうところで乗り切れない。それから、おそらく最大の部分は、世界観がちょっと物足りなんでしょうね。
    フィリップ・マーロウものは、私立探偵だから、やってきた依頼に対して受身にリアクションしてれば、そこに偶然と強引さは溶けてなくなる。
    それに加えて、マーロウの一人称小説ですから。マーロウの世界観というか、物事の見方。コレが結局面白いんです。
    それはひねくれてたり、拗ねていたりしつつ、物凄く知的だったり文学的だったり社会的だったり。でもそれが散文的で詩的なんですね。
    マーロウが(チャンドラーが)、神なき消費と欲望の王国をスケッチする。ある種のパッサージュ考現学のブンガクなんですね。

    一方で、個人的にはそういう「男のハーレクインロマン的読み物」では、大沢在昌さんの新宿鮫シリーズは大好きなんですが。
    これまた、基本は警察小説なんですね。だから、対犯罪ということでいうと、受身であれば強引さや偶然性は溶けていきます。
    こっちは、チャンドラーほどブンガク的ではないと思うんです。
    ただ、警察という会社内のキャリア/ノンキャリアの差別構造という不条理に着眼して、そこをぐりぐり抉ってきます。
    そうすると、結局は池井戸潤的な。不条理な既得権益階級の保守構造への抵抗物語、という強固な地盤ができるんですね。
    そこで安心して娯楽に浸ることができる。その上で、ジョジュル・シムノンのメグレ警視的な犯罪者側の、人間の業、みたいなドラマをちゃんと作ってきます。
    その上に、ハードボイルドヒーローでありつつ、大人の会社員(警察官)という枠組みにハマっている主人公が、興醒めしない温度で乗っかってくる。

    閑話休題。
    比較検討からチャンドラーと新宿鮫とメグレ警視に行ってしまいましたが。
    という訳で比べてしまうとちょっと・・・と、いう読後感。
    シリーズなんですけど、とりあえずまずは1冊で打ち切っておこうかと思っています。
    藤沢周平さん、駄作はあまり当たらないというか。歩留まりは見込めるんですけど。
    また、読み手の側が歳を取ると、違って見えるのかもしれませんね。

  • 初藤沢周平。武士物よりまずは市井のひとが主人公がイイなと選んで私的に正解。
    すごく読み易い。無駄な描写が無いし思弁もほとんど無い。ただただ主人公と一緒に謎を追わせてくれる。
    私の頭の中の江戸市中の画はテレビや映画の時代劇まんまだけれど、文章を追うと立体的にそれらが想像と一緒に浮かび上がって来た。映像が浮かべばすごい小説っていうワケじゃないけれど、それが自然で、気持ちイイのだ。
    私も堅川を眺めたい。木戸が閉まる時間を気にしたい。匕首をつきつけられたくはない。
    読んでる途中でハードボイルドもんだわと思ってたら解説でもそうあった。ですよね~とほくそ笑み。 次のも読もう。

  • 彫師伊之助シリーズ1。

  • 消えた女-ほら吹き伊之ちゃんうろ覚え。

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