密謀 (下) (新潮文庫 (ふ-11-13))

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著者 : 藤沢周平
  • 新潮社 (1985年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247137

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密謀 (下) (新潮文庫 (ふ-11-13))の感想・レビュー・書評

  • 家康の描写が印象的だった。

    「おのれの欲望をむき出しに、義を踏みにじて恥じない人物に対する憤りが、兼続と石田を固く結びつけたのである。(中略)むろん家康は、義で腹はふくまらぬと思い、家康をかついだ武将たちもそう思ったのだ。その欲望の寄せ集めこそ、とりもなおさず政治の中身」

    「ひとの心に棲む欲望を自在に操ることに長じた家康のような人物こそ、天下人の座にふさわしい。」

  • 藤沢周平作品2作目。

    「蝉しぐれ」では、名もない青年の人生と、幼少期彼のそばにいた女性の人生を切なく描いていた。

    今回もそういう感じかな?と思って読み始めると、あれよあれよとどんどん歴史の登場人物が登場する。

    上杉謙信くらいは知っていたけれど、その子孫 上杉景勝や直江兼続は、すでに私の頭の中引き出しの奥の方にしまってからだいぶたっていた。
    勉強したはずの歴史がすっぽり頭から抜けた状態で読み進めていったので、ペースがつかめず苦労しました が、やっぱり読後感の面白さは「蝉しぐれ」同様。

    関ヶ原の戦いの少し前から、景勝と兼続、そして兼続の草たちが裏に表に、時代が変わりゆく姿をしかと見極めながら、上杉家の存続をかけて外交を重ねる。

    その中で、時の人豊臣秀吉や徳川家康と言った名前ももちろん登場するが、
    兼続と親交を持つ石田三成の姿がとても鮮やかだった。
    豊臣家のために働く姿は、勇ましく屈強な印象を与えない。
    頭脳をもって豊臣家繁栄を模索しつつ姿は、終盤になればなるほど痛々しくなる。
    その石田の心許なさを物語るような、まいの笛が頭の中で響くようだった。

    歴史にはない架空の人物として、牧静四郎と妹のまいが登場する。
    彼ら2人は、上杉でも豊臣でも忍びでもないから、縦横無尽に地を行き交い、
    物語に広々とした地形を表してくれた。
    静四郎が出会う草の娘うねとの恋も、ほんのりと印象に焼きつく。

    ◼︎一つの時代が終わり、新しい時代が始まった、その区切られた瞬間の人々の模様が、ひとつひとつ丁寧に描かれていた。読んでいくうちに直江の気持ちに共鳴したので、最後には少しやりきれなさが残った。そういう気持ちにさせてくれる小説でした。

  • 直江兼続が主人公となっているが、上杉景勝も存在感が大きい。「わしは武者よ。戦場のことなら、内府はおろか鬼神といえども恐れはせぬ。しかし天下のまつりごとはまた格別。わしは亡き太閤や内府のような、腹黒い政治好きではない。その器量もないが、土台、天下人などというものにはさほど興味を持たぬ。」天下人が偉いのではないのである。兼続の言「武者の道はひととおりではない。恥を忍んで死よりも辛いことがある。だが堪えねばならぬ。」太平洋戦争での悲惨な結末が脳裏をよぎる。2017.5.9

  • 上杉が徳川を追撃していたら歴史はどうなったかなと思ってしまう。

  • 上杉景勝と直江兼続の主従を描いた長編の後半.
    謙信と比べると地味な印象の景勝が,なぜ秀吉,家康が覇権を争う戦国末期を乗り切れたのか,また直江状をきっかけとする家康の会津征伐から関ヶ原の戦いへ至る時期の上杉家の行動,特に徳川軍を追撃せずに最上に矛先を向けたことについて,説得力のある背景が描かれている.
    残念なのは静四郎の出自に関する設定が,あまりうまく活かされていないことだ.

  • (2016.08.30読了)(2008.11.01購入)(2001.03.15・39刷)

    【目次】
    凍る月かげ
    青竜・白虎
    ひとり舞台
    佐和山
    暗闘
    革籠ケ原
    遠き関ケ原
    冬の雲
    解説  尾崎秀樹

    ☆関連図書(既読)
    「密謀(上)」藤沢周平著、新潮文庫、1985.09.25
    「竹光始末」藤沢周平著、新潮文庫、1981.11.25
    「たそがれ清兵衛」藤沢周平著、新潮文庫、1991.09.25
    「市塵(上)」藤沢周平著、講談社文庫、1991.11.15
    「市塵(下)」藤沢周平著、講談社文庫、1991.11.15
    「真田幸村(上)」海音寺潮五郎著、角川文庫、1989.11.25
    「真田幸村(下)」海音寺潮五郎著、角川文庫、1989.11.25
    「軍師真田幸村」井口朝生著、成美文庫、1996.03.15
    「真田三代(上)」火坂雅志著、文春文庫、2014.11.10
    「真田三代(下)」火坂雅志著、文春文庫、2014.11.10
    内容紹介(amazonより)
    秀吉の遺制を次々と破って我が物顔の家康に対抗するため、兼続は肝胆相照らす石田三成と、徳川方を東西挟撃の罠に引きこむ密約をかわした。けれども、実際に三成が挙兵し、世をあげて関ケ原決戦へと突入していく過程で、上杉勢は遂に参戦しなかった。なぜなのか――。著者年来の歴史上の謎に解明を与えながら、綿密な構想と壮大なスケールで描く渾身の戦国ドラマ。

  • ふむ、結局草の存在は何やったのか?今ひとつ不明。
    自らの拠って立つ「家」という概念の複数の絡み合いの一つとして持ち出し、より巨大で強力な存在に飲む込まれる哀しみを描くということでしょうかなぁ。
    当方思うに、あまり有機的連関の構築に成功していないかと。その結果、断片的逸話が並んでいるだけのような感覚を覚えました。要するにイマイチというのが当方の感想です。
    それにしてもこの作家とはあまり肌が合わないなぁ、、、

  • 関ヶ原になぜ上杉家は参戦しなかったか。

  • 上巻は上杉の話だったが下巻は関ヶ原前後の話だった
    三成のことを兼続がどうおもって行動していたか丁寧に描かれていた
    兼続が最後まで三成のことをおもっていてくれたことが嬉しかったです
    三成ファンとして読後感がよい本でした

  • 読んだきっかけ:妻が買ってた。

    かかった時間:4/25-4/29(5日くらい)

    内容:直江兼続伝。物語の始まりは、秀吉が柴田勝家を破り天下統一したあたりからスタート。下巻は、秀吉の死から、関が原の終焉、徳川体制の始まりまで。

    戦国時代もの、すごく久しぶりに読んだ気がします。以前読んだのは……1年くらい前、やはり藤沢周平の「義民が駆ける」でしょうか。でもこちらは時代物であっても武将者ではなかったしな……。

    特に、あまり得意でない関が原の時代。
    とても、勉強になりました。
    本巻末の「解説」によると、この本の一つのテーマが、「家康が上杉と対峙しているなか、兵を西に引いた際、何故後背を打って出なかったか」を説明したかったそうです。
    その理由を、複雑な当時の義や人間関係をもとに描いていました。

    昨年の大河ドラマ「天地人」は、ほとんどみませんでしたが、面白かったのでしょうね。ただどうしても、武将をヒーローのように描く見せかたがあわず、見るのをやめてしまったのですが。

    ともあれ、本作も、おそらく大河ドラマと同じく、景勝と兼続の主従関係が見所です。(たぶん)

    地味ですがご一読ください。

  • 西軍好きとしてたのしめたのと 司馬さんしか歴史小説は読んだことがなかったが 心情描写として感じられるところが多くあって 面白かった

  • 石田三成対徳川家康の戦いの最中の上杉勢の戦。
    これまで読んできた歴史小説は石田側の視点が多かったので、新鮮でした。
    武将たちの話が続くと些か堅苦しい空気になりがちでしたが、合間に登場する密偵や密偵に拾われた兄妹の出番がちょうどいい空気抜きになっていた気がします。

    景勝が兼続に、己は天下人ではなく武将なのだと語るシーンがよかった。

  • 嘗て拙文の中で「仮に新田次郎を『上手い』とするなら 池波正太郎は『旨い』」と思う旨を述べた。倣って言うなら 藤沢周平は『巧い』だろうか それとも『美味い』か。――何れも此の書き手の文脈には華美に過ぎる表現と思われる。自分には本書が初めての藤沢作品であるが その均整のとれた構成と共に 丁寧に紡がれてゆく文脈の様には 軽い感動を覚えたほどだ。今 久しぶりにキチンとした文章に触れた という清々しい思いがしている。

  • 下巻でさらに盛り上がった

  • 久しぶりの戦国時代物。しかも越後の名将直江兼続が主人公。時代小説の雄である筆者が渾身を込めた歴史小説だけあって読み応え充分。テーマは関ヶ原に上杉が参戦しなかった謎解き。語り尽くされた感のある本テーマを筆者独特の登場人物の心の微妙なゆらぎから謎を絵解きしていく。歴史好きには少しもの足らないかも知れないが醍醐味は手に汗にぎる静かなる政治の戦いかな。

  • 状況説明が多くて、あまり、のめり込めなかった上巻でしたが、
    下巻は物語が進み、わりと面白く読めました。

  • 家康が攻めてくることが確実となった時、上杉の将士を前にして普段寡黙な景勝が奮った演説に鳥肌が立つ思いだった。特に最後の
    「景勝、かつて合戦数十度におよぶといえども、いまだ敵に敗をとった事はない。諸子、われを援けよ」
    はかっこよすぎだろう。
    それにしても、関ヶ原、上杉に関係する本を読むとどうしても、上杉と豊臣諸侯を率いた家康が一戦していればどうなったかと思わずには言われない。

  • 藤沢周平の戦国小説。主人公は、上杉家の家老直江兼続。1600年、上杉討伐に来た徳川家康は、石田三成の挙兵を聞き、西に引き返すが、その折り、家康を追うべきかどうかで、上杉景勝と直江兼続主従の意見が食い違うシーンがすごくいい。無論、他にも楽しめる箇所は、多々あるので、上杉ファンはご一読あれ。

  • 清正のまっすぐは複雑だ。

  • 直江兼続の時代小説

  • 登場人物が個性的で面白かった。

    の。
    だけど。
    三成スキーとしては読むのがとても辛かった…。
    後半というか、三成蟄居以降はオチがわかっているだけに、読み進めるのが辛くて辛くて…。
    (いやまぁ、三成関係作品すべてに言えることだとは思うのだけども。)

    三成が「額が広い」「政治バカ」「爽やかに笑う」と書かれていたのが印象的だった。(酷い感想。)

  • 「直江兼続とは、何者なのか?」と興味を持ち、そして楽しみにしていた大河ドラマ「天地人」の薄っぺらさに呆れ、代わりに読んだのが本書。さすが藤沢周平、こちらを大河ドラマの原作にすればよかったのに、と思わされます。戦国武将の天下取りに向けた権謀術数渦巻く攻防だけでなく、草のものたちの人間関係を織り交ぜ、史実を超えた小説になっています。
    ただ、関ヶ原で西軍につきながら、「謙信公以来の上杉の家」を守るためとはいえ、戦後あっさりと家康に屈服してしまうというのは、感情移入し難いところがあります。「上杉の義」とは、何なのだ、といいたくなってしまいます。もっとも、その苦渋の決断をせざるを得なかったところが本書のいいたいところなのかもしれませんが。。。

  • 天下を統一し一時代を築いた秀吉は、まだ幼い跡継ぎ秀頼の行く末に心を残しつつ、ついに死去した。次なる天下人の座を狙い、策謀を開始した徳川家康、それに抗いつつも孤立の相を深める石田三成。家康に反感を覚える上杉主従は、所領会津に立て籠もり、襲来する家康を待ち受けた。しかし家康は、その間隙を突いて挙兵した大阪方と戦うべく、兵を返す。好機到来! にもかかわらず、天下分け目の関ヶ原に向かう家康を、なぜ上杉は追撃しなかったのか。著者が抱いた最大の謎に迫る。

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