刺客―用心棒日月抄 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247168

感想・レビュー・書評

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  • 用心棒シリーズ三作目。
    信長、秀吉と直江兼続、上杉兼勝の戦いを描いた「密謀」を大げさに言うと苦しみながら読み終わった直後だったので同じ作家でありながら時代小説を読む気楽さを感じ楽しかった。

  •  用心棒シリーズ第三弾。解説にも書いてありますが、佐知と又八郎の恋模様が良かったです。常に毅然として生きている佐知が又八郎に見せる「女の姿」が、物悲しいゆえに美しい。強い人間の見せる「弱さ」は儚くて美しいのだなと、読んでいてふと思いました。

  • 用心棒日月抄シリーズ、第三弾「刺客」。
    「嗅足組」佐知を守るため、青江又八郎は再度江戸に上る。
    前巻で佐知に多きに助けられた恩もあり、今度は又八郎が佐知たち嗅足組を守る役目だ。
    ただ、今回依頼人である谷口元家老は、江戸へゆく又八郎のために路銀をかなり出してくれた。
    勿論長い江戸逗留の間にはいつかはその金も底をつくだろうから、生計を立てるため、いずれ用心棒稼業をしなければならないのは見えているけれど、それでも当座江戸に入って暫くは生活できるお金をくれたのである。
    前回、藩命として又八郎を江戸へやった間宮家老は、そういうものは全く持たせてくれず、まことにもって「しわい」(←この物語の中でよく使われる言葉。おそらく、せこい、けち、という意味だと思う。変換しても漢字が出てこない^^;)
    待遇を受けていたから、ここだけは少し違っていた。

    ・・・ところが物語前半で、又八郎はなんと留守中、住んでいた長屋に泥棒に入られて、用心棒で稼いだお金と元家老から貰っていたお金を綺麗サッパリ盗られてしまう。
    疲れて帰ってきた又八郎はそれを見て一気に脱力する。
    いや~・・・(^o^;
    ここを読んで、思わず声を出して笑ってしまったw
    何人もの剣豪たちと、幾度となく死闘をかいくぐってきた又八郎だが、なんてことない泥棒にあっさりとあり金全部持って行かれてしまうのが、あまりに間抜けで・・・(笑)
    いや、物語の中では勿論災難なことなんだけども、そこが可笑しくて可笑しくて。
    なんとなく和んでしまったりするのが、おかしいw
    そんなこともあって又八郎は、用心棒仕事を回す吉蔵に嫌でも世話になることになる。
    すっかりキャラクタが定着した吉蔵の、又八郎に対する信頼と職を斡旋する様子がとても面白い(^.^*
    又八郎と同じく用心棒で生計を立てていた友人細谷は、この巻で某旗本に仕官が決まったのだが、今後物語上ではもう、又八郎とコンビを組むことはなくなるのだろうか。
    用心棒日月抄シリーズもあと一冊を残すのみになった。ちょっと寂しい。

  • 相変わらずの藤沢クォリティ。

  • 用心棒シリーズ第3作です。佐知たちを守るため、再び又八郎は脱藩して、江戸に送り込まれた刺客と戦います。
    又八郎と刺客との戦いは読み応えがありましたが、用心棒稼業の内容や細谷や吉蔵たちの描写が今ひとつで、前2作と比べると少し物足りない感じでした。

  • 江戸に送り込まれた刺客を探し出すため、脱藩の形を取って3度江戸に入った青江又八郎。用心棒を続け日銭を稼ぎながら、江戸屋敷の佐知の力を借りて黒幕の陰謀に近づこうとする。
    前作「孤剣」で生死を共にした佐知と又八郎の微妙な距離感・緊張感が薄れている気がする。どこか哀愁のある「孤剣」の方が個人的には好み。

  • 久しぶりの藤沢作品でした。斬り合い、権謀術数の数々…「やっぱり、これだよな」と、安定したおもしろさです。

  • 藤沢周平先生どれを読んでも面白い。佐知がいいね。凶刃を飛ばして読んでる。

  • 用心棒日月抄シリーズ第3巻。。
    各章で携わる用心棒稼業に人情味や滑稽さを感じさせる典型的エンタメ時代小説です。
    その中で、全体としてはどこか情感が漂うのが藤沢さんの良い所。
    シリーズの進行に従い主人公の青江又八郎に近づいて行くヒロインの佐知さんのお陰かな。

  •  藤沢周平「刺客」、用心棒日月抄シリーズ№3、1987.2発行。青江又八郎は、今度は佐知の父親、筆頭家老で10年間執政をつとめた、今は嗅足組(かぎあしぐみ)の頭領である谷口権七郎の命により、佐知を守るため脱藩して江戸に。江戸では用心棒の仕事と佐知を守る本業が交互に。役目を終えた夜、佐知から「私を青江様の江戸の妻にしてくださいまし。ひとには内緒で。」と。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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