ささやく河―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101247199

感想・レビュー・書評

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  • 宮部みゆきのおすすめ藤沢3冊の1。
    シリーズ3作目ではあるが、これだけ読んでもなんとかなる。
    暗い。でもかなり面白い。
    たくさんの人に事情聴取して真実にたどりつくという、推理モノで当然の流れをうまく活かしてある。
    後半になってようやくタイトル回収したのでほっとした。
    最近読んだ、山田風太郎『夜よりほかに聴くものもなし』に似ているところがある。
    理由あっての殺人。それが許されるのか否か。法とはなんだろう。
    生きるうえでままならないことはたくさんあるのだが、死ぬより辛い生にいる元凶になった相手がいるのなら、こんな思いが芽生えるだろうか。
    自分の命がつきるとき、こんなふうに虚しさを覚えるものなのか。そしてこんな覚悟ができるだろうか。

  • 「彫師伊之助捕物覚え」は、藤沢周平の他のシリーズもの、例えば「用心棒日月抄」や「隠し剣」などに比べると、ある種の派手さがないので、一、二作は読んだものの、この三作目は手付かずであった。コロナの外出自粛で、溜まっていた本を読み進めた中の一つであったが、思いのほかツボにはまったようだ。筋立てにドキドキ感があるわけではないが、伊之助や取り巻く人達の人間描写に加えて藤沢周平特有の言い回しや、世情描写が、江戸の町とそこに住む人たちを生き生きと描き出していて、その時代へタイムスリップしてはまり込んでしまったようだ。

  • L 彫師伊之助捕物覚え3

    謎の殺人の動機と下手人が明らかになる道筋は巧妙でしてやられた感が。途中読みながら振り返って確認読みしたいくらいで、やっぱり取りこぼして読み進めたらいけないと思う。無駄な文字はないよ、まったく。裏の説明書き読まないほうが吉。
    これで終わりなのが惜しいくらいのシリーズ。同心石塚との付き合い、庄助という下っ引、おまさとの仲、まだまだ続いても良かったー。

  • 彫師伊之助捕物覚え三部作の三作目。

    伊之助が面倒を見ていた行き倒れの男が刺殺された。身元を調べると男は島帰りであり、殺された理由も過去の犯罪が絡んでいると思われる。前巻同様に石塚に協力を要請され、伊之助が江戸の町を探り歩く…。

    おまささんとの関係が進まないまま終わってしまったのが残念でした。
    このシリーズをもっと書いて欲しかったな…。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「このシリーズをもっと書いて欲しかったな…。」
      3冊だと、私には入門編?として手頃。
      藤沢周平が生きていたら書いたのでしょうね。。。
      「このシリーズをもっと書いて欲しかったな…。」
      3冊だと、私には入門編?として手頃。
      藤沢周平が生きていたら書いたのでしょうね。。。
      2012/12/14
  • 彫師伊之助最終作

    だと思う、この続きが他の作品に繋がってあるかはわからないので。

    1.2作より伊之助さんのカッコよさが減っちゃってションボリ。そうか、私はこのシリーズで伊之助が匕首をもった刺客相手に体術のみでかわし、おまささんとのあったかいやりとりをする、めっちゃクールでカッコいい漢を求めていたのだ。その辺りが今回は少なかったのね。

  • ハマりました!
    確か一万円選書の一冊だったと思うのですが、やっと読み始め、始めたら2日くらいで読み終わるくらいに夢中で読めました。

    江戸のこういった捕物系は面白いな。
    義理人情があちこちに出てくる感じも雰囲気がいい。
    伊之助がなんだかんだ事件にのめり込んでいってしまう感じが、口ではなんと言おうと生粋の岡っ引きという感じでよい。

    しかしシリーズの3部目とのことで、ここから1,2部に戻りたいと思います。

  • 途中から登場人物がわけわからなくなってしまった

  • 伊之助1作目ほどのインパクトはなかったものの、会話や町並みなど風情が感じられて楽しく読めた。

  •  藤沢周平作、彫師伊之助捕物覚えシリーズ、№1の「消えた女」、№2の「漆黒の霧の中で」は、2冊とも途中早い時期に失速しました。№3の「ささやく河」も一応読み始めました。全497頁、1988.9発行。「ささやく河」はなんとか読了しましたw。でも、読後感はすっきりした感じはなく、やるせない思いが強いです。私には苦手なストーリー、そして苦手な結末です。

  • 25年前の押し込み強盗の犯人である3人が次々と殺害される。元岡っ引きの伊之助が今回も同心の石塚に捜査を依頼され、犯人捜しをする。今回は登場人物も多く、伊之助も丁寧に関係者を一人ひとり洗いながら真相にたどり着く。江戸の町を歩き回る場所も多く、ゆったりとした江戸の町を散策しているような気分も味わった。25年前の事件であっても人の感情、特に負の感情はぬぐい切れないらしく、なんとも切ない読後である。飄々としている伊之助が、地道な捜査をする現代にも通じるハードボイルド探偵に見えた。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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