祖国とは国語 (新潮文庫)

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著者 : 藤原正彦
  • 新潮社 (2005年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101248080

祖国とは国語 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 国家とは教育とは。論理的に思考したり、母国語よりも英語を優先する。土台となる組織に属し、教養や価値観を身に付けることで、初めて、異なる文化や価値観を考えることができる。そして、土台となるのは国語であると。日本人はあまりに平和ボケが過ぎたのかなとも思う。

    後半の満州国の話は面白かった。日本の傀儡国家だったかもしれないけど、本当に民族自立や五民平等が確立していたら、今の日本の立ち位置は違ったのかもしれない。

  • 藤原正彦 著「祖国とは国語」、2006.1発行です。国語教育絶対論、いじわるにも程がある、満州再訪記の3部構成です。国語はすべての知的活動の基礎、国家の浮沈は小学校の国語にかかっているとのことです。そして、読書は教養の土台、教養は大局観の土台だと。また、満州は著者の生地で2年3ヶ月過ごし、その後はソ連軍の怒涛のごとき満州侵攻を受け、母子4人の1年余りにわたる苦難の引揚げが始まったと。このことは、藤原ていの「流れる星は生きている」に詳しく書かれています。

  • 満州再訪記が圧倒的な存在感があった。
    著者の満州で生まれ、1歳の時にソ連が侵攻し、脱出する時を描く。
    母親と家族でうまれた満州を訪問する。記憶はたぶんないはずであるが、
    1歳の自分を歴史的に、客観的に描き出そうとする。
    なぜ ソ連が侵攻したのか?
    アメリカとソ連との思惑の中で、満州と朝鮮をどうするのか? 
    そのせめぎ合いの中で、関東軍は 日本人をおきざりにして、
    自分たちが先に逃げていく という醜態をあばく。
    戦争における悲惨さは、さまざまな形で生まれるのである。
    著者の原点とルーツが明らかにされる。
    日本の品格を訴えた藤原氏の原点は 
    軍隊は日本の国民を守る存在ではない。
    ということから、始まるのかもしれない。

    イジメが起こる原因は 我慢ができなくなっていることと
    卑怯 という言葉が なくなったことである。
    教育の基礎は 国語力、日本語力にあると言う。
    なぜか、〈英語〉至上主義みたいなところがあり、おかしいのである。
    どこかで、コンプレックスがひっくり返ってしまっている。
    『情緒』や『感情』を大切にすることが 何よりも必要である。
    言われていること、ごもっともである。

    息子たちとの 天才ごっこ。
    愛人をもちたい願望など 私生活が露出しているのも
    何となく微笑ましくもある。

  • 流れる星は生きている、の藤原ていさんを連れて、息子の藤原正彦さんが満州を訪れた満州再訪記。 穏やかな人生を送れたのではないかと、ホッとする。 国語こそが日本だという説も同感。そして息子三人、奥様、皆頭がいい、家庭内の会話が知的でした。

  • 『国家の品格』を読んで以来この人の思想がどうやってできてきたのか興味があって作品をほぼ年一のペースで読んできた。本書は『国家の品格』と近い時期のもので、これで一区切りできた。満州で産まれ信州で育ち、父親に武士道精神を叩き込まれ、アメリカ、イギリスを経験し、著名な数学者の故郷を訪ね、この思想が形作られてきたことがわかる。

    本書の一番のボリュームは最後の満州再訪記。前に母親である藤原ていの『流れる星は生きている』を読んでいたため、より味わえた。あの本のことを思い出そうとするだけでグッとくるものがある。『旅路』も買ってあるので読んでみたい。

    第二次世界大戦のときの各国の思惑や流れも書いてあって、よく知らない自分にとってはありがたかった。偏った見方をしていると良くないので、別の書籍などで肉付けしたいとも思う。

    当初の目標を達成できたのでちょっと満足。

  • 初出は13年くらい前だが、「国語教育絶対論」で筆者が嘆いていることは今も変わらない気がする。理数嫌いの原因は我慢力不足というのは、数学者が言うと重みがある。しかし、エッセイを集めたものなので仕方がないが、真ん中の「いじわるにも程がある」はない方が良かった。何だかここが異質な感じがするのが残念。

  • 数学者にして文筆家、そして新田次郎と藤原ていの息子である藤原正彦の、2000~2003年に朝日新聞、産経新聞等に掲載されたエッセイをまとめたものである。
    うち約半分が、持論の「国語教育絶対論」を熱く語ったものであるが、斎藤孝があとがきに書いている「ああ、この人に、文部科学大臣になってもらいたい。これが、私の切なる願いだ。数学者にして、華麗なる文章家。学問、文化、科学を愛すること、並ぶ者なし。そして何よりも、この日本をよりよくしていこうという強い志にあふれている。その志は、火山の溶岩のように、腹の底からやむことなくわき上がってきてしまう。それがこの『祖国とは国語』から、はっきりと伝わってくる」という思いに大いに共感する。
    「国家の浮沈は小学校の国語にかかっている」
    「言語は思考した結果を表現する道具にととまらない。言語を用いて思考するという面がある。・・・人間はその語彙を大きく超えて考えたり感じたりすることはない、といって過言ではない。母国語の語彙は思考であり情緒なのである」
    「『論理』を育てるには、数学より筋道を立てて表現する技術の習得が大切ということになる。これは国語を通して学ぶのがよい」
    「脳の九割を利害得失で占められるのはやむを得ないとして、残りの一割の内容でスケールが決まる。・・・ここを美しい情緒で埋めるのである」
    「祖国とは国語である。ユダヤ民族は二千年以上も流浪しながら、ユダヤ教とともにヘブライ語やイディッシュ語を失わなかったから、二十世紀になって再び建国することができた」
    「小学校における教科間の重要度は、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下なのである」等
    世界的な数学者である岡潔が『春宵十話』で語った「人の中心は情緒である。・・・数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである」に通じる。
    世界を知る数学者の国語に対する思いが、強烈に伝わってくる。

  • 斎藤孝さんのおっしゃる通り、数学者とは思えぬ引き込まれるような文章をお書きになります。本来の日本国のあり方を考えさせられました。

  • 「1、2に国語、3、4がなくて5に算数、あとは10以下」という表現が何とも言えず良かった。途中の新聞への連載記事のようなものも面白かった。文章がうまい。

  • 「流れる星は生きている」を読んで、満州再訪記が収録されている本書を手に取る。
    60年近くも経過すると、満州での暗い戦争の影もすっかり消え失せて、悄然としながらもあくまで明るい藤原家の旅行記であった。

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祖国とは国語 (新潮文庫)の作品紹介

国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は、論理を育み、情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。国際派の数学者だからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提出する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原家の知的な風景を軽快に描く「いじわるにも程がある」、出生地満州への老母との感動的な旅を描く「満州再訪記」を収録。

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