日本人の矜持―九人との対話 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101248103

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  • 現代日本のあり方を問題視し、どのような解決策があるかを九人の文化人と藤原正彦氏が対談した一冊。
    藤原氏の父は新田次郎。教育が市場原理偏重の実利主義になっていることを問題視し、子供にはとにかく読書させることが大切との主張が重ねて述べられている。本を通して過去の人々と交信でき、そこから忍耐、誠実、慈愛、正義、惻隠といった日本が古来から大切にしている価値観を学べる。
    た、文化を学べばそこにある美しさも体得でき、それは他の学問にも応用できる。数学では数式の美しい方が常に正しく、醜い方は間違っているという。
    文化に裏打ちされた美的感覚があるから、日本は世界でも有数の数学王国だという。
    外国語の力も母国語の能力に比例するので、まずは国語の時間を増やすのが先決と、数理学の名誉教授である藤原氏が断言していることが説得力を生んでいる。
    対談相手の一人、山田太一氏の随筆集がとてもよかったので、彼の他の随筆も読みたくて手に取った本。本を開くまで随筆集だと思っていたけれど、実は対談集だった。
    でも、内容は私の好み。
    読書が大切というだけあって、魅力的な本の紹介が多々あったので、それらも読んでいきたい。

  • 学校教育を憂える。国語教育の重要性を説く。小学生には押しつけの教育でよい。数学には美的感受性と忍耐が必要。頑張って解けた快感は、暗記の社会科では味わえない。数学パズルをやりたくなってきた。2020.7.18

  • 一つの考え方として共感が出来る所がある。
    一方において時代の流れの中で変化していった事を嘆き、否定するだけの所に違和感を感じる。

    「読書の大切さ」、「読み書き、算盤」には共感する。
    しかし人間は他にも興味を覚える。
    また、「自由」と言う事には流されやすい弱さもある。
    その中で自分の保ち方を考えていくのは、やはり何かが必要な事だと思う。
    自分がどうであるか考える一冊ではある。

  • 新潮の「人間って、」のフェア帯の効果か、ぱっと目について購入。

    時々、藤原正彦に触れたくなる。

    でも、いつも触れていると濃ゆい。
    この本は、九人の著名人との対談集なので、濃度が少し薄めでちょうどいい(笑)

    英語より、国語を鍛えよ!
    読書をさせよ!
    美的感覚を大切にせよ!

    と、述べたい向きは同じ。
    ただ、佐藤優との諜報活動の話が一番好きでワクワクして読めた。

    美しいものは、正しい。
    その美しさを感じ取れるかどうか。

    私は、数学的な美しさはとんと理解出来ない。
    けれど文章の美しさ、空気感、ふとした良さ、みたいなものがほんの少し薫る時がある。
    その薫り、が本当は様々な学問に相通ずるポイントなのであろう。

  • 始めの斉藤孝との対談が一番波長が合っている。国語教科書業界が寡占状態で新規参入ができない仕組みだということだ。何よりも本対談で、「初めて!」教員免許の取り易さについて言及してあることは、本当に大切なことだ。後の対談は。佐藤優とのものが読みごたえあり。

  • 日本語、文学に重きを置くのは賛成だが、

    その主張に全てはを収束させようという極端さも垣間見える。

    ただこれからの日本の教育を考える上で参考になる史実、

    寺子屋での素読の徹底、強制力を伴った親のしつけ、岡潔の芭蕉研究、大人と子どもの主従関係、

    それらを効率的に獲得出来た点では優れた本。

  • 日本という国を贔屓のひきたおしをする気も無批判に肯定する気はないが、闇雲に卑下したり過剰に自虐的になることが、何かを生み出したり解決に繋がるとは思わない。この本で語られることは(各論は好みの別れる部分はあっても)主張の骨格や基本的な考え方は全く同感できる。それだけに溜飲が下がるより、やりきれない気分の方が強い。

  • 電車の待ち時間に近くの本屋へ寄って、ふらっと買いました。
    今読んでます。
    読み終わりました。国家の品格はまだ読んでいないのですが、読んでみたいと思った。確かに勝つためには何でも許されるというのはなんか違う気がするな。アメリカのスポーツを好きでよく見ますが、たまに妙な違和感を感じるのはそのせいなのか。どうしてそこまでして勝ちたいの?と。日本のスポーツ選手の「楽しんできます」とか「自分を褒めてあげたい」というのも確かにおかしいな。

著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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