マリコ (新潮文庫)

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著者 : 柳田邦男
  • 新潮社 (1983年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101249025

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マリコ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 戦前から終戦にかけてのマリコ・テラサキ・ミラーさんの人生を綴った
    ノンフィクションの小説。

    ワタクシ、柳田氏って、純文学の方だと思っていて、
    (もしかしたらそうかもしれませんが、詳しくないので分かりません)
    読みやすい文章にびっくりしました。(偏見)
    面白かったです。

    お父さんが当時の外交官だったということで、
    この一家の動きから当時の日米情勢を描いています。
    どんな時代でも、トップクラスの人の中に
    平和の為に奔走した人がいたんだなぁ。

    なのになんであんなことやこんなことになるのかなぁ。
    お金の問題ですかね。

  • 1983年(底本1980年)刊。対米開戦回避に奔走し、戦後は天皇御用係として天皇訴追回避に全力を傾けた外交官寺崎英成(が、彼の属性には謎も。スパイとの風聞)。彼の妻は米国人グエン。戦前は悪化する日米関係の中、激動の上海・北京にて、また、戦中から占領期は日本にて苦難に満ちた生活を。彼女とその子マリコの数奇な半生を描写する本書では、前半はグエンが滞日米国人であるゆえの苦難を、後半はマリコが民主党の政治活動に夫ともに邁進する様子を描述。後者の具体的実態は個人的に新奇。「架け橋」との言葉が秘める意味は重い。

  •  「マリコ」は、何とか開戦を食い止めようとする外交官たちによって、日本に対する「アメリカ側の出方、態度、反応…」(p.80)を意味する暗号として使われた。この暗号の元となった実在する「マリ子」と、外交官の父寺崎英成、アメリカ人母グエンのノンフィクションがこの小説。前半は英成とグエンの出会いから、マリ子の誕生、英成の仕事ぶり、開戦、白い目で見られながらも日本で生き抜いたグエンの物語。終戦後の後半は、主にアメリカ現代史を背景に、政治活動に参加していくマリ子自身の物語。
     以前の職場の上司から紹介されたのを何となく覚えていて、その後どこかの古本屋で10円で投げ売りされていたので買った。そこからおそらく5年以上は読まないままになっていたが、ふと最近読んでみた。そもそもノンフィクションということも知らなかったし、こういう小説はあまり読んだことなかったけれど、とても面白かった。
     まず前半のはじめは英成の話が中心だが、外交官という立場で「日本人の権益拡大に力をそそいだが、思想的にはけっして侵略主義者ではなかった。愛国心が強く、大和魂を重んじたが、時流に乗った軍国主義と軍国主義者を嫌っていた。」(p.49)という部分がかっこいいと思った。愛国者だけれども決して「軍服を笠に着て虚勢を張る軍人」(同)とは一線を画し、相手が日本の軍人であっても物怖じせず道理を通し、穏健な国際協調路線を目指そうとする態度に共感を覚えた。また、大使という人は、「交通通信機関が発達した今日においては、『伝達者』の役割が濃厚になっているが、戦前においては、一刻を代表する十九世紀的『交渉者』の性格が、まだ強く残っていた。」(p.83)という部分で、当時の、日本と諸外国のパイプ役として活躍した知られざる大使の姿を知ることが出来た。あとはやはりグエンの生き方というものに感動する。
     全体として前半は日米開戦、戦時中といった緊迫感があって面白く読めたが、後半のマリコの話はそれほどの緊張した感じもなく、ただマリコの活動の様子が分かる、といった内容になっていて、やや後半は退屈してしまった。それでも、ノンフィクションというのをあまり読んだことがないが、まるでその時その場所にいたかのようなリアルな描写はすごいと思った。(2016/10)

  • 第二次大戦のさなか、日本人外交官の男性とアメリカ人女性が結婚する。彼らと娘マリコの、ただただ強くしなやかな生き方が細やかに描かれる。

  • 遅々として進まなかったが、漸く読了。
    日米の架け橋としてこの世に生を受け、太平洋戦争後アメリカに渡り、女性の社会進出に積極的な運動を展開したマリコ・テラサキミラーを主人公とした大戦前後のストーリーです。
    日本人外交官と、アメリカ人の母を両親に持ち、戦乱に青春を翻弄されながらも懸命に生きた彼女の母、グレンとともに本当に力強い女性の姿には深い感銘を覚えます。
    彼女が、必至ではその栄光期を支えた民主党の姿は、人々が戦乱から少しでも離れる存在を強く願った希望の星でした。
    自民党政権盤石で、その他の政権獲得がほとんど見込めそうにない現代日本の状況を見るにつけ、寺崎一家の活躍が余計に眩しく映ります。
    時代が流れても、この作品から学ぶものは多分にある。
    それがこの作品の読後感です。

  • 日本の外交官寺崎英成とアメリカ人女性グエンとの一人娘、マリコの半生を描く。
    日本の駐米大使館と外務省との暗号に使われた「マリコ」という符号は有名だが、その当人の軌跡は初めて読んだ。ずっと以前にテレビ番組があったようだが、見ていないし、その後アメリカ民主党の活動家になっていたとは、驚きだ。

  • 太平洋戦争開戦前に、戦争回避のために必死の外交交渉が行われていた事は知られていることですが、「マリコ」の父もその一人。日本人の父と米国人の母を持ち、想像を絶する苦労を味わったことでしょう。戦後は自身も米国の政治活動に取り組み、国と国との架け橋になろうと活躍されます。前半の、寺崎氏らが外交努力で必死に戦争回避をするも実を結ばなかった経緯は、虚しく、悔しい思いで読みました。戦前から昭和を読み、自分でも記憶に残る出来事を思い返す一冊になりました。母の回想録も邦訳されているので、読んでみようと思います。

  • 日米の狭間で格闘した男と女 そして夫婦。感動的なノンフィクション
    仕合せであったり 不幸が押し寄せたり、マリコよりグエンのしたたかさに惹かれる。読み終わった後の虚脱感は何だろう。

  • もう何度も読んでいます。本はぼろぼろになてしまいましたが捨てられない一書です。テレビでも一度マリコ・テラサキさんを拝見しましたがご高齢のせいか表情がすぐれなかったような気がします。
    こういう本や話を後世に伝えて行けたらいいなと思います。

  • 4101249024 433p 1983・11・25 ?

  • (2006.09.07読了)(1983.12.02購入)
    この作品は、1976年に取材され、1979年暮に書き上げられ、1980年7月に出版されたものです。1981年8月15日には、NHKドキュメンタリー「マリコ」が3時間番組として放送されました。その後再放送もされましたので、多分再放送を見たのだと思います。
    1983年に文庫版が出たので、早速買い込んだのですが、何度も読もうとして、今日まで読むことができませんでした。1983年に生まれた二人目の子どもが、今年は、社会人になってしまいました。今読んでも、十分感動的な作品です。
    読む前のイメージは、日米開戦秘話というものと思って読み始めたのですが、それにとどまるものではなく、日本人外交官の男性とアメリカ人女性の間に生まれた「マリコ」という女性の半生を綴った作品でした。
    マリコの父、寺崎英成と母、グエンドレン・ハロルドが出会ったのは、1930年12月にワシントンの日本大使館で行われた親善パーティでした。このとき、英成29歳。しばらく交際の後、英成が結婚を申し込み、グエンが承知した。
    日本の外務省は、外交官の国際結婚は好ましくないとされていたので、結婚のためには、本省の許可が必要であった。英成の兄も外交官で、ニューヨークに来ていた。上司と兄の応援を得て、結婚の許可を取ることが出来、1931年11月14日、二人は結婚した。
    外交官が出先で国際結婚した場合、妻の母国と関係のない任地へ転勤させられることになっていたので、寺崎夫妻も日本への帰国を命ぜられた。12月4日にワシントンを出発して、横浜港についたのは12月24日だった。
    7月中旬、新しい任地上海へ向かった。上海総領事館の領事官補に任ぜられた。
    1932年8月23日、寺崎夫妻に子どもが生まれた。女の子で、マリ子と名付けられた。
    1937年3月、キューバのハバナへ転勤、1939年春、再び上海勤務。マリ子は小学校に入学した。イギリス人のブリティッシュ・スクールに入った。
    1941年3月、ワシントンへ転勤になった。日本の運命を決する日米交渉に関わることになった。
    「12月4日木曜日の夕刻、日本大使館は日本からの短波放送の隠語で、日米関係断交の方針の情報をキャッチした。続いて5日金曜日には、大使館で使用している暗号機の破壊命令と、転勤の内示を受けていた寺崎一等書記官らを「一両日以内に出発させよ」との指示電報を受け取った。」(101頁)
    「6日は土曜日にもかかわらず、大使館には東京からの電報が、午前七時頃から続々と入り始めた。暗号機は既に前日のうちに壊してしまったので、手分けして暗号文の解読にあたった。」(102頁)
    「7日午前10時ごろに解読された電報は、午後一時までにアメリカ側に対米覚書を手渡せとなっていた。最後の電報の暗号を解読がすんだのは、午後零時半頃だった。」
    結局開戦までには、間に合わなかった。午後一時には、日本海軍による奇襲攻撃が始まっていた。
    大使館員とその家族は、FBIによって拘束される。しばらく大使館で暮した後、ホテルに移される。抑留者交換の話がまとまり、帰国することになり、ニューヨーク港を6月18日に出発した。南米の日本人を収容し、アフリカ経由し、東アフリカのロレンソ・マルケスに7月20日到着。ここで、日本から来た浅間丸に乗り換えて、横浜に着いたのは、8月20日。
    日本での生活が始まった。やがて戦争も終わった。
    マリ子が17歳になったとき、アメリカへ留学することになり、グエンとマリ子はアメリカへ渡った。
    ●朝鮮戦争(237頁)
    1950年6月25日早暁、朝鮮半島の38度線沿いの各地で、北朝鮮軍と韓国軍との間に戦闘が開始され、たちまちのうちに両国間の全面戦争に発展したのだ。
    韓国の駐留米軍は一年前に撤... 続きを読む

  • 一人戦後フェスティバルもやや終わりを迎えてきました。
    といっても借りている本については、ということですが。

    今回読んだ「マリコ」は、日米開戦時に駐米アメリカ大使館の書記官だった寺崎英成とアメリカ人の妻・グエン、一人娘・マリコの家族3人の歩んだ生涯を軸に、日米開戦〜終戦にいたるまでの経緯とマリコのその後について描いたノンフィクション。

    プロローグやタイトルに見られるほど、「マリコ」について焦点が当たっていない気がする。
    むしろ、寺崎英成とグエンに中心が据えられている気が。
    どれほど過酷な状況になっても愛と希望を失わないグエンの強さにはホレボレするものがありますが、彼女の半生に焦点を当てるなら、素直に彼女の著作「太陽にかける橋」読んだほうがよいのでは?と感じる部分も多く、後半、マリコがアメリカへ移住していこう、アメリカでの政治活動に身を入れるあたりも、当時のアメリカの情勢についての解説が多く、マリコが置き去りに感じたりも。

    もっとも、歴史的経緯が外交官の寺崎一家を中心にしていることもあってか、とてもわかりやすくもあったので、一人戦後フェスティバル中の私にはおもしろかったです。
    アメリカの政治形態についてもちょっと知識が深まったので、まぁ、参院選後半戦で選挙づいてる時期にだったのは楽しかったのかも。

    機会があれば、グエン著「太陽にかける橋」にも手を出してみたいですよ。

  • 駐米外交官の父とアメリカ人の母の愛を一身に受けた少女マリコの運命は、開戦を境に一変する。日米の「架け橋」として波瀾の運命を歩んだ一女性の半生を通して描く。

  • NHKのドキュメンタリー番組を観て引きこまれ、数年後に本屋で出会って購入。
    日米開戦にまつわる話しに興味を持つ大きなきっかけになりました。

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