死の医学への序章 (新潮文庫 や 8-10)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101249100

感想・レビュー・書評

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  • 本書は『2年7ヶ月にわたるガンとの闘いの中で、自ら「死の医学」を実践して逝った精神科医・西川喜作』を通して末期患者に対する医療のあり方を問いかけるというテーマで、そもそも昭和61年に雑誌上に連載されていたものに加筆修正して出版された本の文庫版である。

    末期患者については、今でこそ「ホスピス」や「尊厳死」について広く認識され、海外などの事例で「安楽死」などが時々話題になるところではある。
    そういう点で、裏表紙にあるような「末期患者に対する医療のあり方を問う」という点では、本書はある程度その役割を果たしたのではないだろうか。
    だからこそ、対象となった西川医師が人生のタイムリミットが迫っていることを感じつつますます精力的に活動していく姿勢がより一層浮き彫りになり、非常に感動させられた。
    ただ、医者の「患者を見ずに病気を見る」状況は、少なくともニュースになった医療事故等を見ると、30年前からあまり変わっていないのではないだろうかと思わざるをえないのは残念である。

  • 今の所幸運にも大きな病気や怪我が無く生きてこれた。本書で言うように、死を意識すると、より良く生きようとすると思い読んでみる。

    闘病経験を持つ、医師の視点、患者の視点として闘病記、より良く生きるにはが書かれる。うんうん、と思うが病気経験が無いせいか、激しく共感することも無かったな。

    死との対座は、生を自分でみつめるほかならない。死を考えると言うことは、やがて生きることに繋がる

    「高僧とガン」ある高僧が「自分は悟りを開いているから」と言うので、本人に癌の告知をすると、食欲を失い死期を早めですしまった。
    →自分はどうだろうな?変な話だが生の執着心はそれほど強くないように思う。

    読みたい本
    「夜と霧」
    「ガン 50人の勇気」

  • 僕の周囲に高齢な方が増えてきた。
    いろいろ考えたくなったので読みました。

    この本は1980年代に出版されています。
    デスエデュケーションは、この頃広まり始めたのかな。
    いろいろと考えさせられる内容でした。

  •  アァ~ アァ~ としか出て来ない言葉。

  • 08.8.14

  • 久しぶりにノンフィクションというか、ルポ?
    読んでいるときにたまたま、親類の方が乳がんだと知ってしまったため、必要以上に感情移入して読めた。電車の中で軽く目をウルウルさせながら読んでいたため、向かいの女性が怪訝な目で僕を見ていた。
    それはよいとして、これを手に取ったきっかけは、石黒教授が授業中で触れていたからで、彼の名前も一部出てくる。(当時は助教授)それはよいとして、がんということ、死ということについて生まれて初めて真剣に考えるきっかけとなった。西川医師だけでなく、多くのがん患者が苦しみ、生と死に向き合って生きた姿を読むと、今ののうのうとして生きている自分の姿が恥ずかしく感じられて仕方がない。サナトロジー、終末医療についての提言の書でもあり、医学部の人は読んでいそうな本。というか読んでいて欲しい本。結構昔の本なので、今の病院がよい方向に変わっていると
    いいな。日本人の死因の30%?であるがんについて、これからも真剣に考えていく必要がある。
    因みに、著者柳田邦夫≠柳田國男。
    最初聞いたときは民俗学者の彼かと思った。邦夫は、ノンフィクションライター、特にがん関係に関して有名な人みたいですね。初めて知りました。

  • 末期癌のの医師と作者のやりとりに終末医療を考えさせられた一冊。死に逝く人、残る人、尊厳死とは何か。

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著者プロフィール

講談社ノンフィクション賞受賞作『ガン回廊の朝』(講談社文庫)

「2017年 『人の心に贈り物を残していく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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