「死の医学」への日記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101249155

感想・レビュー・書評

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  • 「生老病死」は人間の必然であり、疑いようのない真理だと理解できていても、実際に自分がその事態に直面する衝撃は大きい・・・。 医療従事者と患者、家族が直面する「生と死」のドキュメントをとおして〝死の医学(死にゆく人を医療はどう支援すべきか)〟の観念を探求した柳田邦男氏による感動のノンフィクション。▷「死の医学」とは、患者が精神生活において最後まで生を全うできるように支援する「生の医学」なのだ。▷医師でさえ自分の専門分野以外に疎くなっている昨今、患者・家族が情報を集めないと、死ぬに死ねない時代になっている。

  • 末期患者のQOLが如何に大事かを知った。
    また患者のQOLに関心がある医者やQOL向上を実践できている病院が如何に少ないかという現実を知った。

  • がんで死ぬというのはどういうことか。自分ががんであることを知らずに亡くなっていく人もいる。自分が後わずかの命ということを知って、精一杯生きた証を残そうとする人がいる。がんと最後まで戦う人がいる。痛みを緩和するだけで、積極的治療をおこなわず、自宅で最期を迎えようとする人もいる。それぞれの死に方がある。あって当たり前だ。それぞれの生き方があるように、それぞれの死に方もある。本書ではいろいろな人の生きざま、死にざまが描かれている。ひとりひとり感動せずにはいられない。最期に本を1冊書き上げる人。写真をとるために、最後の力を振り絞って旅行に出かける人。最期の大役を果たそうと努力する人。家族の身近で安らかに眠り行く人。自分はどんな死に方をしようか。積極的に選べればよい。がんならそう知らされた方がよい。残された時間にすることをしっかり考えたい。急死ではどうもできない。残される家族のことを考えるとどういうのがよいのか。考えてもまだ実感はわかない。順番から言えば、今はまだ元気な自分の両親が先に逝くはずだ。見送る自分はどう対処すればよいのか。私自身、幸か不幸かまだ肉親の死に出くわしていない。祖父母は4人とも私が生まれる前に亡くなっていた。心の準備ができればよいような気もする。長期にわたる介護はやはり実質的にはつらいようにも思う。自分の身勝手が先に立つ。少しでも長く生きてほしいとは思う。どんな見送り方が出きるのか。何を最期にしてあげることが出きるのか。自問自答するばかりだ。本書を電車の中や、喫茶店などで読んでいて何度も困った。涙が自然にあふれ出るのだ。死についてしっかり考えながら生きていきたい。僕のお別れ会(お葬式というのはどうも苦手だ)には、ぜひ谷川俊太郎作詞、武満徹作曲「死んだ男の残したものは」を演奏してもらいたい。今から予約を入れておこう。

  • この本に出会わなければ、緩和ケアに関わることは無かったと思う。
    この本を読まなかったら、「日本死の臨床研究会」の年次大会に出席することは無かった。
    自分自身が初心を忘れそうになった時、この本を読み返して緩和ケアを、やりたいと思った初心の気持ちを、思い返すようにしている。

  •  余命僅かの末期ガン患者とその家族が,残された一瞬一瞬に何を思い,どう生きたかの記録。壮絶な内容で読後感が非常に重たい。もっと一日一日を大切に生きよう。 ※2/8~2/10東京出張中読了
    ■クオリティ・オブ・ライフ

  • 10年振りに読み返した。

    より一層、ターミナルケアへの思いが強くなったことを実感。

  • 死ぬ場所といえば病院が当たり前になったのは、ここ数十年のこと。
    それだけに、死が生活と切り離されてしまう。
    ある婦人の在宅ケアの例。
    辛そうに闘病している婦人の子どもが、足許までしか近寄らない。それを見た婦人の母、つまり子どもたちの祖母が、「お母さんはこうして病気と闘っているのだ」と教える。こうして、子どもたちは生老病死を学んでいくのだ、という話が印象的だった。

    もう一つ印象的だったのは、教育・研究が目的の大学病院との対比で描かれる、東京衛生病院。
    キリスト教系の病院なのだが、重篤な患者の病室で跪いて祈る看護婦が見られたり、実習に来た看護学生達が、苦痛のために意識障害まで起こす患者にショックを受け、夜に再来して一人ずつ患者の手をとり祈りをつぶやく。その心。なんという心。

    1/24読了

  • 結構ハードな本です。真剣に読めば読むほど、なぜ自分は今この本を手に取ったのか、ふっと考えてしまいました。
    そろそろ検診にも頻繁に行かないといけない気がしています。

  • 2001年9月 読了

  • 4月は個人的に柳田邦男月間にしてみた。読めたのは「ガン回廊の朝」「犠牲」そしてこの本。「ガン回廊」は中学時代に、「犠牲」は文芸春秋の掲載で、それぞれ一度読んだことがある。<br><br>

    5月病ならぬ新学期メランコリーで、精神状態はかなり悪かった。したがって、読めば読むほど涙があふれてきて、本当はきちんと考えなきゃいけないってわかっているのに、ただひたすら泣いていた。余程追い詰められていたのだろう。<br><br>

    落ち着いたらもう一回読む。

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著者プロフィール

講談社ノンフィクション賞受賞作『ガン回廊の朝』(講談社文庫)

「2017年 『人の心に贈り物を残していく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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