重力ピエロ (新潮文庫)

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 新潮社 (2006年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250236

重力ピエロ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 兄弟の会話。親子の会話。この家族の間で繰り広げられる言葉の数々がとても印象的でした。お互いを尊重し信じ合い、なにが起きても動じないような揺るぎない根っこを持っている家族です。

    「おまえはお父さんに似て・・・」とか「家を継ぐのは長男の役目」とか「あの子がグレたのは継母だから」とか「男の子を産め」とか。例えば、お家の存続のためにもDNAや血の繋がりといったものを大事にしたがる風習がわたしの周りでは当たり前のように蔓延ってます。
    これがとても息苦しい。雁字搦めにされてしまいます。
    でも、はたっと気づきます。家族にとって血とか遺伝子とかってそんなに大切なこと?家族として愛しあうことにそれが必要条件なわけ?
    んっなことないだろう!もっと大切なことがあるじゃないか!!
    凝り固まった固定観念にガツンと衝撃を与えてくれる物語でした。
    読んでよかったなと素直に思えました。

    心に残った場面のひとつに、兄の泉水が辛い出来事によって誕生した弟の春のことについて、自分の内なる声と問答する場面があります。
    春が生まれたことは正解か。では母親に起きた事件も正解なのか。おまえの将来の妻に同じことが起こったら、子どもを産ませるのか。おまえの父親は誤っているのか・・・
    おまえの言ってることは矛盾じゃないかと問われれば、「知るか!」「矛盾だ。悪いか」とためらうことなく激昂しただろうと泉水は思います。

    人生の岐路に立ったとき、どうすればいいのかなんて自分で考えるしかない。どちらを選んだとしても、その先には正解なんてない道が続いているのでしょう。他人に理不尽だと思われようとも、憐れみや同情などのいらぬお世話にあおうとも、無責任な言動に振り回される必要なんかさらさらこれっぽっちもないんですよね。
    矛盾でなにが悪い、それが自分の選んだ道だ、文句あるか!って堂々としてたらいいんだなって、目の前がさぁーっと開けました。

  • お父さんもお母さんも泉水も春が大好きで、間違いなく春のことを家族と思っていて…春の生い立ちは信じられないくらい悲しいものですが、血の繋がりとは関係のない家族の絆に泣けてきます。お父さんの言葉が素敵過ぎる…

    読み終わった後は清々しくて、優しく温かい気持ちになるお話です。スプリング兄弟がかわいいです。春が家族との思い出一つ一つを大事にしていて、自分の中に刻み込んでいて、願掛けにもしているのだと思うとほほえましくていじらしいです。

    遺伝子で繋がっていく仕掛けもおもしろいし、遺伝子が仕掛けであることにとても意味がある繋がりでした。
    伊坂さんの小説は引用の使われ方がおもしろくて説得力があるというか、すごい言い当ててる感があって楽しいです。

    名言満載!伊坂作品の中で一番好きな作品です。

  • 実際にはとっても重たい内容のお話なのに、暗くならず逆に個性的なキャラクターで楽しく読めて、後味も私としてはスッキリしてとっても良かったです。
    伊坂幸太郎さんの本の登場人物はやっぱり魅力的で、とっても引きつけられました。
    特に家族での過去にあったエピソードに心温まり、泣けちゃったりしました。
    「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」そういう本でした。
    泉水と春と父と母、ジワーときて羨ましい家族です。

  • 初めて読んだ伊坂さんの作品。
    あまり本も読んだことがなかったが、徐々に真相がそ見えてくるのが楽しくて面白いなぁと思った。キャラクターの会話の中で あ、この言葉できっと彼も気づいただろうな とキャラクターと感情を共有しているような感覚がありました。
    最後は全てが明かされる前に真相が分かっていましたが、それがまた悲しいような寂しいような感情に繋がって良かったと思います。

  • 「春が二階から落ちてきた」で物語が始まり、締めているのが良かった。一見なんも脈絡のない言葉の羅列から文字を見つけ、繋ぎ出してみたり、連続放火事件、落書きから見えてきた犯人の目的や意味、なぜなのかに至ったことや、レイプという犯罪を明らかにして、ある法則を見出していく。そして、春と繋がりのある人物がわかり、そして家族というのを感じさせる作品。「お前は俺と似て嘘が下手だ」という言葉から家族の愛情が充分に伝わってくる。春と泉水、親子との絆や以前読んだラッシュライフと同様に多様な言葉の表現、ユーモア性に感銘。

  • 伊坂幸太郎さんの小説は2作目。なぜだがハードルが高そうで手を出しづらかったのです。
    が、この小説を機に一気にはまりそうです。

    DNAという、人の意志ではどうにもならないように思える大きな力をめぐり、人の「愛」がどう向き合い超克するかというテーマです。
    今回はDNAが取り上げられていましたが、おそらくは世の中のあらゆる巨大な力に対峙する際の人のあり方を著者は考えているのでしょう。たぶん。

    笑顔で重力に逆らってゆくピエロのように、笑って乗り越えることに、ひとつの哲学があるのかも知れないなと思いました。その裏には壮絶な闘いがあるのかも知れないですけどね。

    ほかにも、随所に著者の考えが潜んでいて、それが僕が共感できるものばかりで、読んでいて非常に楽しかったです。繰り返し読むべき本でしょう。

    かなりしっかりとした、深く読み込む価値のある文学作品だなぁって思うんですが、いいところは何よりも軽やかなんですよね。本当に読みやすい。

    偉そうなこと書いちゃいますけど・・・
    これぞ現代の作家、なのかもしれないと思いました。

  • 「春が二階から落ちてきた」この、冒頭がいい。
    お父さんが、たまらなく、いい。ミステリーだけど家族愛の話。心に残るような名言がたくさん出てくるのも、いい。物語の結末は、気に入らない。でも、「春が二階から落ちてきた」で締めているので、帳消し。

  • 2017年4月30日読了

    473ページ

    舞台は仙台、二人の異母兄弟が主人公。この家族の、異母兄弟にまつわる過去に暗い出来事がある。

    冒頭、最初の一行目でストーリーを見誤る可能性がある。さすが伊坂幸太郎。

    なぜ、二人の兄弟が異母兄弟なのか?家族に起こった暗い出来事とは?前半に簡単にわかってしまうのだが、この事実が伏線となりストーリーに深みを持たせる。

    仙台市内で発生するグラフィックアートとその現場近くで発生する放火事件に、兄弟が犯人を突き止めるべく、動くのだが単純な謎解きではなく、このグラフィックアートと放火も見事な伏線になっている。

    伊坂幸太郎はこの小説を通して、社内における不条理なことや不公平と思うが誰も大きな声で言わない(言えない)ことを伝えたいのだと感じた。
    私もこのような犯罪者を許してはおけないし、被害者とその家族が一生苦しんでいるのにもかかわらず、加害者がのうのうと暮らしている社会は如何なものかと思う。

    「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」

  • "春が二階から落ちてきた。"
    締めくくりの1文でおお、となった。

    泉水と春とその家族の背景には
    とても重いものがあるのに、
    "本当に深刻なことは陽気に伝えるべき"だからか
    さらさらと書かれている印象。

    何が正解なのか分からなくなるなあ。。

    話の展開は読めたけど、
    春の不思議な行動の理由には
    ほっとできた。

  • 周囲や社会の判断でなく、自分が大切だと思うことを大切にする。
    難しいけど、それをやってのける主人公とその家族たち。
    会話の軽快さにも、面白さにも、話の展開も、惹きつけられっぱなしで、爽快!

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重力ピエロ (新潮文庫)の作品紹介

伊坂幸太郎著の重力ピエロ、映画化もされ話題となりました。
兄弟に焦点あてたストーリーですが、弟は同じ母親から生まれたもののなんと、父親はレイプ犯。衝撃的な設定のストーリー。しかし重苦しさを感じさせずしかし兄弟や家族の絆もみられ、兄弟が事件について考えるなどミステリー要素もあります。どんどん引き込まれあっという間に読んでしまいますが結末も衝撃的です。最後まで驚かされます。

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