ゴールデンスランバー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.14
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  • Amazon.co.jp ・本 (690ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250267

感想・レビュー・書評

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  • 長く感じた…実際、700頁弱の長編であるのだけど、ワクワク感が湧き上がらなかった。

    J.F.ケネディ暗殺事件から着想したという本書は、安倍元総理の事件とも重なった。

    巨大な陰謀のワナに絡めとられ、首相暗殺事件の犯人の濡れ衣をきせられた青柳雅春の逃亡劇。
    物語の発端の唐突さと解決したのか⁈との思い、そして、折り込まれる昔話と例え話の頻繁さにちょっと飽きてしまった。

    10年以上積読してた本棚から引っ張り出してきた本書は、高評価多く期待していたけど…伊坂幸太郎氏作品の中では、ちょっと不満が残った。

  • 序盤は唐突にフルネームの登場人物がポンポンでてきて読みにくい。他の方のレビューで、途中から面白くなると多くあったので読み進めた。
    その後、事件が展開されていくんですけど、ツッコミどころが多すぎるというか、実際だったらそんなことありえないでしょう、そんなふうに行動しないでしょう、と思うことの連続で、やや呆れながら最後まで頑張って読んだ、というのが正直なところです。
    ミステリーはほとんど読まないのですが、こんな感じなんですかね、エンターテイメントと割り切ればいいのかもしれませんが、自分はちょっと苦手でした。

  • 首相暗殺の犯人に仕立てられた男の逃亡劇の話です。
    構成が面白くて、
    ①首相暗殺〜犯人投降までが、部外者である田中の視点で語られます。(本当に首相暗殺が起きれば、私たちは、つまり部外者はこう言う反応するだろうなぁとやり取りが書かれていて、怖くなるほどリアルでした。)

    ②事件が終わって20年経ち、事件の結末や陰謀論などが紹介されます。

    この二つがあってから、③濡れ衣を着せられた主人公、青柳の視点で見る事件(つまり、事実そのもの)が語られます。

    読者には先を予測させないようにするのが普通の小説だと思いますが、本書は事件全体の流れを知った上で読み進めることになります。

    ③を読んでる途中で、時々②に戻って読んでみると、あっ、この人物は結局こうなったんだ、と気付けたりします。

    また、冒頭〜森田の死までずっとワクワクしました。突然の首相暗殺で、何が何だかわからない中で、少しづつ真相が明らかになる感じが良かったです。

    あと、やっぱり樋口の「だと思った」は感動させられます。もし自分が青柳の立場なら、これ以上嬉しいことはないだろうなぁと感情移入させられました。

    イマイチだと思った点
    1.逃げるばかり
    本書に出てくる文章で、
    「映画やドラマでは、濡れ衣を着せられ逃げる人間の話はよくある。主人公は無実を証明しようと、奔走し、観客の同情を背負いながら、必死に逃げる」
    というのがあります。
    この本を読んで、ドラマや映画では、どうして主人公が無実を証明するなどと言う、無理難題に立ち向かうのかわかったような気がします。
    それは無理難題に立ち向かわなければ、話が面白くならないからです。
    本書の青柳は逃げます。とにかく逃げます。場当たり的に、奇跡的な運に何度も助けられながら逃げます。でも、それだけです。
    一つ逃げるごとに、何か真相が明らかになったり、話が進んだり、そう言うことがないんです。だから、繰り返させる逃亡に徐々に緊張感がなくなっていきました。それが一番残念だと思った点です。

    2.リアリティーのなさ
    本書は謝辞の通り、ジョンFケネディ暗殺事件をモデルに書かれているそうです。
    ジョンFケネディ暗殺事件では、本書のようなことが実際に起こったのかもしれません。
    でも、それを小説にしてしまうと、本当にリアリティーがないように感じてしまいます。
    本書の金田首相を暗殺した人物は現代日本では想像もつかないような権力者のはずです。制服警官に一般市民がいる中で発砲させたり、青柳そっくりの影武者を用意して整形させたり、ファミレスでショットガンをぶっ放したのを揉み消したり、カズをリンチさせたり。
    ごく一部、警察内部や公安的な組織がこの暗殺計画に参加すると言うのは、まああり得るかなと思いますが、これだけの規模の人間が参加するとは思えなかったです。
    計画を知らずに協力してた人もいるでしょうが、普通の警官が、いくら首相暗殺の事件があって、上層部から発砲の許可が出てたからって、一般市民のいるところで撃つかなぁと思いました。

    3.奇跡的な介入が多い
    青柳は一度捕まるものの、三浦がたまたまその場に居合わせ、助けます。うーん、奇跡的な偶然。

    たまたま青柳は捨てられた車の件を思い出し、たまたま樋口も同じことを思い出して、バッテリーを変えてあげる。うーん、奇跡的な偶然。

    病院の非常階段で保土ヶ谷と会った時、警備員に追われているはずなのに、保土ヶ谷となぜか話すことになり、たまたま保土ヶ谷がマンホールの件に詳しくて協力してくれる。うーん、奇跡的な偶然。

    保土ヶ谷が病院で電話をしている時に、たまたまその場に居合わせた樋口の娘が会話を聞き、樋口の案で花火を打ち上げることにする。うーん、奇跡的な偶然。

    別に主人公にとって都合のいい奇跡は起きてもいいと思うが、話のキモになるところでそれをされてしまうと、ご都合主義的な話に見えてしまう。

    本書は500ページ近くありますが、300ページくらいにまで削ってテンポよく話が進めば、もっと楽しめたかなぁという印象でした。

  • 最近井坂幸太郎さんの作品を一読しながら、過去唯一読んだ井坂幸太郎さんの小説「ゴールデンスランバー」を再読しました。 結論から言えばまあまあの小説でした。

    kenedy暗殺という素材を日本首相暗殺に脚色した部分は興味深かったのですが、それだけでした。 いくら暗殺事件の黒幕という陰謀論から出発した小説だとしても、最小限の蓋然性は成立しなければならないのに、そのような部分があまりにも粗末です。 連続殺人犯のギルオの登場が特にそうです。 一体彼は何だったのでしょうか。 ギルオを突然登場させ、また説明もなく空気化したのは、それなりにミステリーを重ねるつもりだったのかもしれませんが、私には完成度を下げるだけでした。

    特にこの本が話そうとしていることが何なのかわかりません。 私も小説で事件の真相と黒幕についてあえていちいち説明する必要はないと思いますが、そうすると代わりに他の方から叙事を補充する必要があります。 本作ではそのような面があまりにも足りません。 巨大な陰謀に巻き込まれた個人が破滅する無力さ? というには主人公は堅実な生活を送っていた一般人とは程遠いものです。 それともミステリアスさそのものに集中したのか? 前述した連続殺人鬼ギルオの登場は確かにミステリアスそのものでしたが、それほど興味深い要素ではありませんでした。 いっそう主人公が2年前に助けてくれたというアイドルとのラブ逃避生活記だったら、ジャンル的な面白さはあったかもしれません。

    前に読んだ同作家の砂漠があまりにも期待を高めてくれたせいでしょうか。 物足りなさが大きいゴールデンスランバーでした。

  • 評判が良かったので読んでみたのだが、下記の点でいまひとつしっくりこなかった。

    •市民に過剰な暴力を加える警察官
    •手の込んだ証拠のでっち上げ等をやったり、超法規的な措置で犯人を追ってるのに、何度も取り逃がす、現場に警察官を単独で配置させる等の警察のポンコツな対応
    •マスコミのアホそうなインタビューや報道
    •何もやってないのに何故か逃げ出す主人公の思考回路

    もちろんフィクションであり、あとがきで作者も現実とはかけ離れている点があると弁明しているが、かけ離れすぎていてツッコミ所満載だったので、ちょっと物語に入っていくことができなかった。
    これがこの作者の作風なのかもしれないが。

    あと登場人物の会話のユーモアがあって面白いとの評価もあるが、自分にとっては何が面白いのかよく分からない。。

    と言いつつ、物語自体にスピード感はあり、違和感は覚えつつも、わりと一気に読み進めることはできた。

  • ハラハラドキドキしない。よくある話。

  • 途中はハラハラして面白かったけど、結局何だったんだ!?とすっきりしない終わり方だった…誰がなんのためにというところまで書いて欲しかった。

  • んーーーーってかんじ
    陽気なギャングが地球を回す、とジャイロスコープが大好きだったので、大丈夫もうすぐ面白くなるはず、と思って読み続けてたけど。最後までワクワクする瞬間がなかった…
    ユーモアがほぼなかったからかな~

  • 傑作と薦められて読んだせいか、どうにも合わなかった

    なんで?が解消されず、ただひたすら事態に巻き込まれ右往左往するお話、という印象

    一気読みするくらいに続き気になったけど、読み終わったら上記の感想

    期待値高すぎたのかな…

  • つまらん。

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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