オー!ファーザー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250274

感想・レビュー・書評

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  • バクチ好きの鷹、本好きの大学教授悟、体育会系中学校教師の勲、バー経営の女好き葵。
    高ニの由紀夫には父親が4人もいて、母親と父親4人と由紀夫の6人で暮らしている。

    伊坂氏の描く家族のお話はどこか風変わりで、現実には有り得ないんじゃないかと思いつつも、嫌みがこれっぽちもなくて面白い。

    中間試験期間にもかかわらず、高校生の由紀夫が同級生たちと社会のトラブルに巻き込まれ、個性的で正義感の強い4人の父親それぞれが、由紀夫に大人の世界を教えてくれる。
    なんて魅力的な展開。母親の知代さんはほとんど出てこないけれど、アクションあり冒険ありで、息子と4人の父親との関係がとても羨ましかったです。

  • 550頁もさらっと読める面白さでした。

    1人の母と4人の父親を持つ由紀夫が、不意なカバンすり替え現場を見てしまい事件に巻き込まれ(首をつっこみ?)てゆく。

    定番のくだりと言い回しは、やはり伊坂幸太郎のソレで期待を裏切らなかった。

    とにかく父親たちが個性的で愉快だしそれが面白さに拍車をかけて、でもそれだけじゃなくセリフの節々にはいつも通り感心してしまう真理のような、哲学のような、本質をついた表現がしみる。

    最初から謎がひしめき、厄介な出来事が絡んでゆく中、はられた伏線を回収していく描写が本当にあっぱれで大好きです。

    こんな家族、不思議だけど愉快、理想とは言えないかもだけどその関係が羨ましい。

    改めて、良い作品に出会えた。

  • どのキャラクターも生き生きとしてて読んでて面白かった。主人公と4人の父親たちの関係性がとても素敵だった。
    自分にも必ず、両親から与えられた強みがたくさんあるはずだなとすこし嬉しくなった。

  • とにかく面白かった!
    登場人物のキャラクターがどれも好きで、最後に伏線回収されるのも、父親たちが照れ合う様子なども想像がついて好きだった。

    重力ピエロにもある、血の繋がり、家族、について。重力ピエロのように重い感じではないけど、明るく楽しく描かれている気がする。

    伊坂節満載なのでおすすめの小説です!

  •  半端じゃないくらいの伏線。そして終盤の怒涛の伏線回収。序盤、中盤にかけての何気ない出来事、会話、回想。それがパズルのピースのように次々とはまっていく感覚が読んでいて気持ちいい。ここらへんの順序立てがうまいんだよなぁ、伊坂さんは。本当に流石の一言。大好きです。

     4人の父親のそれぞれの個性が交差するリズミカルな会話。それを絶妙な返しでツッコむ由紀夫。そんな5人の関係が素敵。最高だった。一人一人違うけど、4人とも由紀夫を一番に考えてるのが会話からよく伝わってきた。とにかく4人全員好き。そして知代。重要人物なのに知代が会話の中でしか出てきてなくて、最後の最後でしれっと登場。なぜかここで感じた安心感。ここで登場した知代が僕の中ではクッション的な存在だった。この物語をきちんと締めくくれるように知代がしっかりと受け止めてくれた感じ?僕に息抜きというか、脱力させてくれた感じかな。知代のあの軽い雰囲気がいい塩梅のアクセントになってた。伊坂さんの本の登場人物は、みんな個性的なんだけど、実際にそこら辺歩いててもおかしくないくらいリアル。そういうところも伊坂さんの魅力だと思う。この作品も、伊坂さんらしさがよく出ていてとても面白かった。今まで結構伊坂さんの作品読んできたけど、その中でも1位か2位には絶対入る。

  • 伊坂節が炸裂した。無理な設定も内容は興味をそそる。高校生の由紀夫には父親が4人いる、母親は1人。母親は登場しないが、とても男っぽく、「すっとぼけ」な性格。由紀夫が4人の父親と色んな事件に出くわし冒険していく。この冒険の中には友人への暴行事件、競馬場で出会った女性の殺人事件、選挙関連の窃盗事件、立てこもり事件などイベント満載。そこに出てくる登場人物(多恵子、鱒二、殿様、小宮山)のキャラ立ちが明確。歪な家族構成だが、読んでいて愉快で夢中になる内容でした。母親が一度も登場しないのが、今回一番の見どころ。

  • 高校3年生の一人息子、由紀夫には4人の父親がいる。

    父親からの干渉が鬱陶しく感じる年頃にも関わらず、個性的な父親“達”に囲まれるという少し特殊な生活を送っている由紀夫。気さくに話しかけてくれる女友達や「殿様」というあだ名を持つ友人にも囲まれながら、騒々しくも平穏な日々を過ごしていた。しかしながら、彼を取り巻く日常は徐々に不穏な背景を持つ事件に侵食されていく。



    とにかく、父親×4なので、彼らの考えや言い分も様々あり、個性も性格もバラバラで、父から子に教えてあげられることも×4、何か議論になると父親からの意見が×4、叱られる時も×4、褒められる時も×4と、一般的な家庭に生まれたならば1人に対して1人の父親。という当たり前の構造に、4倍の熱量が加わってきて愉快な化学反応を起こしている。

    作品の設定が設定なだけに、コメディ感が強くて、クスッと笑える場面が所々にあって面白かった。子は父親の姿を見ながら成長していくと言うけれど、由紀夫は一体どんな風に成長していくんだろう。成人になっても相変わらず、影からはこっそりと沢山の父親が見守っていそう。側から見たらシュールだけど、大切に育てられていることの証だと思う。



    個人的に、最後まで由紀夫と血の繋がりがある父親が4人のうち誰だったのかが語られないのがよかった。実は4人のうちの誰でもないのかもしれない、(奥さんの方にもまだまだ秘密がありそうで…笑)

    これからも、騒がしくて暖かいこの一家の雰囲気が続いて欲しい。

  • 伊坂幸太郎を読むのは、久しぶりのことだった。
    彼の作品が面白いのは知っている。
    知っているから先入観も手伝い、それほどには感じないと思っていたのだが、やはり面白かった。

    主人公の由紀夫には、四人の父親がいる。
    これだけでも、は? 何を言っているんだと思うのに、四人であることを自然と受け入れさせる筆力。加え、いつもの小気味いいテンポと随所にある、含み笑いを誘う数々の文章がたまらない。
    ニヤニヤしてしまう自分を止められないのが悔しいが、面白いのだから仕方ない。
    内容は、面白く笑えることばかりではない。
    いつものようにハラハラとスリリングでもあるし、時には真剣みを帯びてシリアスでもある。
    なのに、やはりククッと笑わせてくれるのだから、いっき読みだ。
    起きた出来事を考えれば決して笑えるはずなどないのに、心を軽くして読みやすくページを捲らせるのが彼の作品だ。
    私はきっと、まるで麻薬のように(経験したことはないが)また伊坂幸太郎の別の本を、期待を胸に手にするだろう。

  • 個性的な父を4人持つ高校生の由紀夫。
    とんでもない設定だけど、なぜか受け入れられちゃうのが、伊坂幸太郎作品の好きなところ!

    4人の父は、なんやかんや仲良しで、妻と子供をとても大切にしているのが伝わってほっこり。珍しい家庭で育った由紀夫も、母と4人の父の良い所をちょっとずつ引き継ぎながら、いい子に育っている。

    なにかあれば、すぐさま4人の父がぞろぞろとやってくるのがツボ。
    設定がとても好みだったけど、日常の話も主人公に襲いかかる事件も面白かった!

  • 「国民の三大義務は、納税と勤労と、親への報告だ」

    反発したって、子の考え方・癖・哲学には親の影響が少なからず出る。

    だからこそ、父と言う生き物は子の前で格好つける。4人もいると多少ウザいかも知れないが。

    それは、親バカなんかじゃない。

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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