オー!ファーザー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 14697
感想 : 1011
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  • Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250274

作品紹介・あらすじ

一人息子に四人の父親!? 由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれて、高校生が遭遇するは、事件、事件、事件――。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生“由紀夫”くんは、なかなか好青年。勉強はきちんとするし、多少の護身用武闘もこなす、かといって堅物でもなく、父親達と麻雀も嗜む。
    それらは、彼が隠したい個人情報、四人の父親の教育の賜物。ギャンブル系、博士系、スポーツ系に元ホスト。各父親が、自分の得意分野を息子への愛情と共に伝授しているのだ。
    小洒落た会話に細々とした事件、混沌の家庭環境に友人関係。あたかもあっさり書いてしまているんだと思わせるところが伊坂さん。
    この作品は、設定が素敵。四人の父親が、一人の妻を共有して一人息子を溺愛する。読むと楽しくなってくる。だからこそ、もう少し、深イイ話に持っていっても良かったんじゃないかなという老婆心。

  • バクチ好きの鷹、本好きの大学教授悟、体育会系中学校教師の勲、バー経営の女好き葵。
    高ニの由紀夫には父親が4人もいて、母親と父親4人と由紀夫の6人で暮らしている。

    伊坂氏の描く家族のお話はどこか風変わりで、現実には有り得ないんじゃないかと思いつつも、嫌みがこれっぽちもなくて面白い。

    中間試験期間にもかかわらず、高校生の由紀夫が同級生たちと社会のトラブルに巻き込まれ、個性的で正義感の強い4人の父親それぞれが、由紀夫に大人の世界を教えてくれる。
    なんて魅力的な展開。母親の知代さんはほとんど出てこないけれど、アクションあり冒険ありで、息子と4人の父親との関係がとても羨ましかったです。

  •  父親が4人なんて!!!
    設定に惹かれて手にした一冊。

     現実ではありえない関係だけど、個性溢れる4人の仲が良くて、会話が楽しい。彼らが息子を大切に想う気持ちと行動にじーんとくるものがあった。

     個人的にはイケメンの葵が好き。


     伏線回収が見事で、物語に、のめり込んでしまった。読後感も最高。

    • わーーーーーさん
      オー!ファーザー自分も大好きです☺️
      四人の個性とユーモア、軽妙なテンポの会話がたまらないです♪
      オー!ファーザー自分も大好きです☺️
      四人の個性とユーモア、軽妙なテンポの会話がたまらないです♪
      2024/01/18
    • あすかさん
      コメントありがとうございます。良いお話ですよね。
      コメントありがとうございます。良いお話ですよね。
      2024/01/19
  • 550頁もさらっと読める面白さでした。

    1人の母と4人の父親を持つ由紀夫が、不意なカバンすり替え現場を見てしまい事件に巻き込まれ(首をつっこみ?)てゆく。

    定番のくだりと言い回しは、やはり伊坂幸太郎のソレで期待を裏切らなかった。

    とにかく父親たちが個性的で愉快だしそれが面白さに拍車をかけて、でもそれだけじゃなくセリフの節々にはいつも通り感心してしまう真理のような、哲学のような、本質をついた表現がしみる。

    最初から謎がひしめき、厄介な出来事が絡んでゆく中、はられた伏線を回収していく描写が本当にあっぱれで大好きです。

    こんな家族、不思議だけど愉快、理想とは言えないかもだけどその関係が羨ましい。

    改めて、良い作品に出会えた。

  • 2021(R3)6.5-6.19

    高校生の主人公には、なぜか父親が4人いる。
    4人が4人とも個性的で、性格もバラバラなのだが、主人公を愛する親心は人一倍。
    肝心の母親は四股交際を平然とやってのけ、なおかつその4人と家庭を持っている。なのにケンカは起きず、4人が4人とも相手を尊重して仲良く暮らしている。
    …という設定自体がぶっとんでいて面白い。

    そんな家族を持つ主人公が、ちょっとした正義感のせいで災難に巻き込まれ、そこに4人の父親が絡んで物語が加速する。

    よかったのは、自分の中で感じる「伊坂幸太郎らしさ」を久しぶりに感じて安心したこと。
    それは、「それなりにまともな感覚を持つ主人公」と「常識からかけ離れた、ぶっ飛んだキャラ」の絡み合いがあったこと。

    ちょっと…と思ったのは、「伏線」の扱い。
    帯に『「えっ、これも伏線だったの?」と、すべてが繋がる技の冴え。」とあって、「あの急転直下、怒涛の終末とスカッとする読後感を味わえるのか」とワクワクして読み進め、その期待は裏切らなかった。
    ただし、(自分自身が伊坂作品にたくさん触れて、ちょっと生意気になっているからだろうが)、数々の伏線が「伏線のための伏線」に感じてしまったところ。要は、数々の「伏線ストーリー」が唐突なものに感じたこと。本筋を進めていくのに必ずしも必要ではないストーリーが時々挟み込まれるが故に、「これって伏線じゃない?」と思えてしまった。
    とはいえ、その「伏線の絡み方」はさすがに面白く、そんな展開だったのか!と納得させられる。

    いずれにしても、「らしさ」をたっぷり味わえました。

  • 「ギャンブル好きの父」
    「女好きの元ホスト父」
    「才学非凡な教授の父」
    「運動神経の優れた父」
    「4人の父を持つ息子」

    彼らが織りなす物語は伊坂幸太郎さんらしく、心地良く、収束する。初めて伊坂幸太郎さんを読む人には胸を張って勧めづらいということで☆3だが、伊坂幸太郎さんが好きな人はきっと好きであろう。

    4人の父を持つということは楽しいことも4倍だが、いずれ訪れる「父の死」を4回経験すると考えるとどこか暗い気持ちになるが、なんとなく4人とも同じタイミングで最期を迎えるような気もする。

    それでも悲しみは通常の4倍である。続編はないと思うが出たら嬉しいな。

    本作品の最後には、「島田雅彦」さんの解説があるがどうかそこまで読むことをお勧めします。

  • 伊坂さんのファミリーロマンス(by島田雅彦氏)。

    4人の父親(!)と暮らす高校生の由紀夫が、図らずも関わりたくない事に関わってしまう羽目になり、剣吞な事件に巻き込まれていくお話です。

    4人のお父さん達は皆キャラがたっていて魅力的。由紀夫と彼らの軽快な会話は読んでいて楽しいですし、何といっても息子への愛がビシビシ伝わってくるのが微笑ましいです。
    話の展開も、知事選とその候補者の背景、不登校の同級生、反社ばりの怖い方々、心中事件等・・・これら様々な伏線が、終盤で地引網よろしく一気に回収される気持ちよさは、伊坂作品の醍醐味ですよね。
    ただ今回は、その伏線回収までがちょっと長く感じてしまったといいますか、途中“何だかなー”と思っちゃう事がありまして、その元凶がズバリ、多恵子というキャラにあります。この多恵子が由紀夫につきまとっては好き勝手するのですが、それを好ましいと思えるか、マジ勘弁してくれと思うかで、この作品を楽しめる度合が決まってくるのでは?と個人的に思った次第でして・・・で、器がおちょこの私は後者なので“何だかなー”と(いやもう、あくまで個人的な相性です。多恵子好きな方、スミマセン)。
    キャラでいえば、由紀夫の友達の鱒二のポンコツぶりもイラっとする部分がありましたが、多恵子に比べればまあ良しという感じです。(関係ないですが、由紀夫、鱒二って文豪か!って感じですねww)
    そんな訳で、キャラとの相性で-★ではありますが、物語としては面白いですし読後感も良かったので、エンタメとしてお楽しみ頂けるかと思います~。

  •  半端じゃないくらいの伏線。そして終盤の怒涛の伏線回収。序盤、中盤にかけての何気ない出来事、会話、回想。それがパズルのピースのように次々とはまっていく感覚が読んでいて気持ちいい。ここらへんの順序立てがうまいんだよなぁ、伊坂さんは。本当に流石の一言。大好きです。

     4人の父親のそれぞれの個性が交差するリズミカルな会話。それを絶妙な返しでツッコむ由紀夫。そんな5人の関係が素敵。最高だった。一人一人違うけど、4人とも由紀夫を一番に考えてるのが会話からよく伝わってきた。とにかく4人全員好き。そして知代。重要人物なのに知代が会話の中でしか出てきてなくて、最後の最後でしれっと登場。なぜかここで感じた安心感。ここで登場した知代が僕の中ではクッション的な存在だった。この物語をきちんと締めくくれるように知代がしっかりと受け止めてくれた感じ?僕に息抜きというか、脱力させてくれた感じかな。知代のあの軽い雰囲気がいい塩梅のアクセントになってた。伊坂さんの本の登場人物は、みんな個性的なんだけど、実際にそこら辺歩いててもおかしくないくらいリアル。そういうところも伊坂さんの魅力だと思う。この作品も、伊坂さんらしさがよく出ていてとても面白かった。今まで結構伊坂さんの作品読んできたけど、その中でも1位か2位には絶対入る。

  • 伊坂節が炸裂した。無理な設定も内容は興味をそそる。高校生の由紀夫には父親が4人いる、母親は1人。母親は登場しないが、とても男っぽく、「すっとぼけ」な性格。由紀夫が4人の父親と色んな事件に出くわし冒険していく。この冒険の中には友人への暴行事件、競馬場で出会った女性の殺人事件、選挙関連の窃盗事件、立てこもり事件などイベント満載。そこに出てくる登場人物(多恵子、鱒二、殿様、小宮山)のキャラ立ちが明確。歪な家族構成だが、読んでいて愉快で夢中になる内容でした。母親が一度も登場しないのが、今回一番の見どころ。

  • またまた大好きな作品のひとつになりました。
    由紀夫と4人の父親達や、多恵子、小宮山、鱒二との微妙に噛み合わない会話がなんとも伊坂幸太郎さんらしい。
    父親達の言葉もなんだか胸に残る。

    読む度に、ちりばめられた伏線というか、登場人物達がそれぞれの役割をしっかり果たして(どこか滑稽に)、最後にシュッと回収されていく様は素晴らしいなぁ、と思います。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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