ジャイロスコープ (新潮文庫)

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  • 464レビュー
著者 : 伊坂幸太郎
  • 新潮社 (2015年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250304

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ジャイロスコープ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • デビュー15周年を迎えた伊坂幸太郎からの「文庫のおくりもの」。バリエーションに富んだ色んなタイプの作品を集めた短編集。

    「浜田青年ホントスカ」
    1番伊坂さんらしい作品だった。困った事があっても稲垣さんには相談したくない。

    「ギア」
    1番よくわからない作品。「セミンゴって何だ、本当にいるのか…。」同じ世界観で続編があるらしい。読みたくないような、読みたいような。

    「ニ月下旬から三月上旬」
    これもちょっとわからない作品。インタビューを読んでわかったような、やっぱりわからないような。

    「if」
    こういう作品は好き。誰だってあの時をやり直せたらって思う。もしも、をうまく描いた作品。

    「一人では無理がある」
    この作品は素敵やぁ。夢がある。この会社が世界のどこかにあるといいなぁ。12月に読めてよかった。

    「彗星さんたち」
    1番好きな作品。素敵な言葉がいっぱいで心が温かくなった。少しの不思議が入っているのもいい。これ伊坂さんの作品?って思ったけど、働く女性のためのアンソロジーに書いた作品らしい。メリーポピンズのところ好きだな。「スプーンひとさじの砂糖」を見つけながら私も頑張っていきたい。

    「後ろの声がうるさい」
    色んなところで書かれた作品達を伊坂さんが上手くまとめてくれました。色んな人が出てきて楽しかった。

  • いろんな伊坂さんが読めて面白かったです。
    なかでも、
    #一人では無理がある
    優しくて夢があってすごく好き♪
    十二月に入ったころから自分で体重調整をするトナカイ。ツボです。

    #彗星さんたち
    新幹線清掃のお仕事小説。
    彼らが出会った乗客を同僚の人生にあてはめて
    空想するところはわくわく。
    パウエル氏の言葉は、ひとつひとつが教訓。
    「常にベストを尽くせ。見る人は見ている」
    日々家事に追われる身にも、勇気づけられる一言です。

    #後ろの声がうるさい
    最後はほろり。
    つながりのない短編も、こうして回収してくれるとなんか安心します。

    巻末のインタビューも良かったです。
    今まで数多く読んだ伊坂さん作品の中には、残念ながら合わないものもあって、
    このグループ分けを見て納得しました。

    読者が求めているであろう「伏線とその回収」「変わった登場人物」「楽しい会話」
    ああ、確かに。

  • 短編集、心躍る伊坂ワールド!

    雑誌やアンソロジー掲載で読めてないものばかりだったので、とても嬉しかったです。

    「一人では無理がある」
    「彗星さんたち」
    「後ろの声がうるさい」
    がお気に入りです。
    特に書き下ろしの「後ろの声がうるさい」は短編集のエンディングのような感じのお話でとてもほっこりしました。
    「一人では無理がある」のような辛い現実に対する優しいシステム、舞台設定が好きです。「鉄板」て…!笑

    「ギア」はセミンゴ怖すぎる…。スパムメールが実話だったら…発想がさすがです。「ブギ」、「ギブ」読んでみたいー!

    いろいろな伊坂さんがつまった一冊!

  • こんなに短いのに、やはり騙される。
    伊坂さんの思考とは、ほど遠い所に置き去りにされていた。

    アイデアに富んだ短編集7編。

    「一人では無理がある」「彗星さんたち」が大好き。
    この世に無駄なものはないと信じていても
    面倒なことの連続がどんどん暗い顔にしてしまう。

    この2作を読んで、ちゃんとしようと思いなおします。
    特に「彗星さんたち」の国務長官の言葉に
    かなり励まされましたね。
    (本当に本が出ているみたいですし、読まないと)

    不運つづきだとばかり思っていたのに、
    時が過ぎて気が付いてみると、かえってその方がよかったって思えることもあるものね。
    誰かは見ていてくれる、大丈夫いけるいけると
    少し明るくなった一冊です。

    ひとつ、あっ!と思ったことが…。
    「ギア」に出てきた、敵とたたかいに行くアリの話。
    私も、知ってました!
    以前にアリの本を読んだことがあったので☆
    伊坂さんに1つでも追いついたことが、
    何よりもうれしいです。

    これからも昆虫の本は、チェックしないといけませんね。

  • ななつの短篇集。

    久々の伊坂さん。

    最初の2~3つめあたりを読んでいて
    「このままこの空気の作品が短編で続いてたら
     最後まで読めないかも…」と思いました。苦笑

    たぶん、いま訳分からない理不尽を突き付けられても
    ついていけない!NO!っていう精神状態でした。苦笑
    あほなんです、たぶん。苦笑

    「if」「一人では無理がある」「彗星さんたち」は
    読んだ後、なんか元気になれる、そんな作品たちでした。

    ただただ、何も考えずに言葉をそのまま受け取って、
    最後まで運んでもらいたい、という時にぴったりです。
    ついでに、もし落ち込んでるときだったら、
    読んだら必ず少しだけ元気になりたい、なんて時もぴったりです。笑

  • 文庫本「ジャイロスコープ」をふりかえって
    読者インタビュー

    ー「浜田青年ホントスカ」について述べてください
    読者 これって浜田青年って、絶対、濱田岳を想定して描いているよね。

    ー「ギア」について
    読者 スパムメールって、初期の頃は確かにここに書いているように物語があって、それに乗っかって付き合ったら、なんか壮大な物語に入れるかもしれないという面白さがあったよね。したことないけど。

    ー「二月下旬から三月上旬」について
    読者 どの時代のどの日も、「戦前」で、「増税前」だ。ーという記述がまるで「今の時代」に被るようだね。

    ー「if」について
    読者 「A」と「B」の関係って、前作「二月下旬から」と同じ叙述トリックだよね。そういえば、「砂漠」でも使っていたっけ。

    ー「一人では無理がある」について
    読者 くそ。あとがきを見ていたのに、だいたいの話の構成は分かっていたのに、最後の文節までオチが分からんかった。

    ー「彗星さんたち」について
    読者 この短編書くのに、わざわざ直に新幹線清掃の会社に取材に行ったらしい。不思議な話は、あるにはあるが、珍しく直球お仕事小説になっていた。

    ー「後ろの声がうるさい」について
    読者 伊坂幸太郎らしく短編集の受け皿として書き下ろしで短編を書いたらしい。全ての短編を俎上に乗せながら、尚且つ新しいほっこりするエピソードを入れている、この優しさこそが伊坂幸太郎なのである。

    ー「十五年を振り返って 伊坂幸太郎インタビュー」について
    読者 最初は、あとがきの代わりに編集者が付け足したインタビューだと思った。でもこれって、絶対、伊坂本人の書き下ろしだよね。このサービス精神こそが、伊坂幸太郎なのである。

    2015年10月11日読了

  • 「彗星さん」が好き。
    こうだったら面白い、を日常で掬い取ることができて共有できる人がいるのは幸せなこと。今回はたとえ話だったけど、本当に電車でたどる人生の物語を伊坂さんで読んでみたい。

  • 9/29読了
    最初それぞれの話がよくわからなくてポカーンとしてしまった。伊坂幸太郎によくある短編集同士の繋がりが最初はよくわからなかった。
    一人では無理がある あたりからだんだんと あーー伊坂幸太郎らしい!と思えるようになってきて最後はあるいみスッキリした形で読み終えることができた。
    それにしても発想力がすごいし、短編集それぞれに登場するキャラクターがみんな個性がある。
    短編集とおもいきや一冊全部読んで自分の記憶の中でアレとアレが繋がってたのか!と整理するのが楽しい

  • 作者特有の世界観がこの短編でも存在する。短編で少々物足りないが楽しめる。「浜田少年ホントスカ」は意外な結末と何気ない伏線の回収で味わい深い読後感がある。「ギア」は非日常の原因に興味がそそり読み進められます。「彗星さんたち」は不思議ではなくこじつけだけど、なんかジワリとくる感じ。
    たまに読みたくなる伊坂作品です。

  • 久しぶりの伊坂幸太郎さん。
    短編を読むのは初めてかと思う。
    短編でもちゃんと様々なパーツが凝縮されていく、「一人では無理がある」とかは伊坂さんらしさがあって好みです。「彗星さんたち」も面白かった。でもやはり最後の「後ろの声がうるさい」はさすがって感じでした。
    前半はうーんって思ってたたけど、読み終わって、読んでよかったと思わせる本でした。

  • 個人的に伊坂さんは好みなのとそうじゃないのが激しい。この短編集は「一人では無理がある」が一番好みでした。「彗星さんたち」も結構好きだったな~。色々詰め合わせな感じでした。

  • なんだったっけ⁉︎ ちょっと時間おいたらすっかり忘れてしまうくらいの作品だったってな程度…うーん…セミンゴが新しい事チャレンジしてんなぁって思ったけど。まぁいろいろ試してそのうち面白いの期待しとくから。

  • 伊坂幸太郎熱が下がってたことに気づいた作品。
    この作品がいいとか悪いとかじゃないと思いたい。
    伊坂幸太郎の面白さがわからんくなったのかな。

  • 【要旨】助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。
    人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。
    バスジャック事件の“もし、あの時…”を描く「if」。
    謎の生物が暴れる野心作「ギア」。
    洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。
    書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。

    「浜田青年ホントスカ」…できるだけ外出しない、携帯を預けるなど奇妙な約束事がある相談屋の住み込みアルバイトをすることになった浜田青年の話。

    「ギア」…バスの中で繰り広げられる会話、謎の生物「セミンゴ」について。

    「二月下旬から三月上旬」…親友との2月下旬~3月上旬だけの交流。どれが最初でどれが最後?時系列が面白い。

    「if」…バスジャックの話。「あのとき、ああすれば良かった」

    「一人では無理がある」…サンタクロースのお話。プレゼントを配る組織。

    「彗星さんたち」…新幹線の車両清掃員「コメットさん」のお話。

    「後ろの声がうるさい」…これまで並べてきた短編をうまく一つのひもでつないだ話。
    これが一番面白かった!あ、これがあれか!って。
    こういうのが一番うまいよね、伊坂さん。

  • 鉄板や新幹線タイムスリップも面白かったけど、セミンゴの圧倒的なインパクトにやられた。なんかもう、夢に見そう。

  • 今までに無いタイプの新しい伊坂作品。

    とりわけ「ギア」は斬新。これだけ読んだら著者が伊坂幸太郎だとは気付かない人多いかも。そしてちょっと怖い。

    「二月下旬から三月上旬」も難解。多重人格モノ?

    「if」はほっほ~と思わず微笑んでしまう結末。

    「一人では無理がある」はちょっぴり心温まる素敵なお話。

    「彗星さんたち」もハートフル。

    「後ろの声がうるさい」はそれらすべてを繋ぐストーリー。伏線回収完了っと!


    他のレビュー見ても分かるように
    好き嫌いがはっきり分かれる作品。このあたりについては、伊坂さんも承知済みのよう。

    確かに今までの伊坂ワールド大好きっ子(かく言う自分もそう)からすると、

    「え、これ伊坂さんの?」
    「もう今までのユーモアのきいたハッピーで支離滅裂な伊坂ワールドは読めないのか!泣」

    とまあいろんな感情が湧き出てくるわけです。
    正直言うと、やっぱり今までの方が好き。
    だけどまあ、これはこれでありかな~という。
    (謎の上から目線すいません)

  • 伊坂幸太郎の文庫限定短編集、全7作品。
    伊坂っぽい作品もあれば、実験的な作品(「ギア」等)もあり今まで短編集とは少し違う印象。
    個人的には「浜田青年ホントスカ」、「彗星さんたち」が仕掛け、オチも含めて好きな作品。

    洒落た言い回し、面白いフレーズが端々にはあったが、やはり個人的には長編の方が好みに合っている。
    次回の長編を期待しながら待ちたい。

    <印象に残った言葉>
    ・この蝦蟇倉市の「いざ蝦蟇倉!」というやつです。助言がそのまま採用されました。(P12)

    ・挽回のチャンスをくれて、本当にありがとう。(P151)

  • よかった編
    「一人では無理がある」
    「嘘のようなホントの話」っぽい結果オーライ。子どもを守る母親の踏ん張りは、足が本当震えて動かせないのに頭がのぼせるような殺気で、自分の時の感じを思い出した。プラスドライバーの男の子が鎖を外せた後、親身になってくれる大人の元へ辿りつけることを切に願う。

    「if」
    文字だからこそ騙される。これも「嘘のようなホントの話」っぽい。男は誇り高き生き物。これが女性の話だったらまた全然違うコメディになりそうかも。

    それなりの編
    「彗星さん」
    まっとうに仕事をすることの大事さと、仲間内のおしゃべりと、きっぱりした鶴田さんはいいと思う。
    ただし人生車両の妄想は、他人が型に嵌めるもんじゃないし、悪気は全然ないけど、悪気なくかわいそうがる感じがちょっと…鶴田さんのことは鶴田さんにしか分からんじゃん!と思うのは読む方の性格が悪いせいかしらん。

    いまいちの編
    「浜田青年ホントスカ」
    浜田青年の告白に、こっちも「1編目からこんなスカ?」と言いたくなる。仕事だからで押し通す相手も相手だけど「そこを何とか」となったのか、ならなかったのか。もうちょい相談屋さんの生身っぽい心情がないと消化不良でもやっとする。

    「後ろの声がうるさい」
    互いに正体を明かさず、でも会えてよかったという短い合い席。それだけに集中してくれればよかったのかなとも思うが横からチラチラ他の編の人が顔を出して、佳境のドラマの画面上でずーっと関係ないテロップが流れてる感じで気が散って勿体ない。

    良くなかった編
    「ギア」
    小さい王蟲の群れを想像すればいいのか。シュルレアリスティックな悪夢だけど、これって何??小説??

    「二月下旬から三月上旬」
    難解、というか種明かしをされても本当の所が分からない。「キャプテンサンダーボルト」の腐れ縁コンビから背骨を抜いて2,3日放置した残骸みたいな味わい。

    総評
    前々から思ってたけど、時間軸と人物相関が行ったり来たりする話って苦手だ。じゃあ伊坂作品読めないじゃんてなるんだけど、全く読まないのも物足りなくてやっぱり読んでしまう。巻末インタビューで作者の悩みみたいなのがあって作家は作家で悩ましいと思ったけど、読者は読者で悩ましいんだ。好みじゃないのが入ってるの前提で好きになれそうなタイトルメインに消化していくしかないのかなと思う。

  • 短編集。特に気に入ったのは次の4つ。
    『浜田青年ホントスカ』スーパーの駐車場で相談屋という商売かぁ。そこも不思議なのに、そのアシスタントとして誘われるのもまた不思議。そういう理由だったのね。
    『一人では無理がある』思わぬところで他人の役に立っていることがあるんだ。そうなってると嬉しいな。
    『彗星さんたち』なかなか興味深い職業だな、新幹線の清掃。乗客とわずかな摂食があると、そこから色々なことを想像してしまう。
    『後ろの声がうるさい』『彗星さんたち』と関係してるよなぁ。他人の話ってなぜかおもしろいから聞き耳を立ててしまいそう。

  • 色々なタイプの短編をまとめ、最後に全てをまとめた1冊。
    連作ではないため、好きな作品と難しい作品が混在する。
    個人的には「一人では無理がある」が好き。

    「パウエル国務長官の言葉」を読んでみたくなった。

  • 星は4.5かな。

    全部面白かったんだけど、特に「if」「一人では無理がある」「彗星さんたち」がよかった。

    「2月下旬から3月上旬」は未だに自分の中でうまく整頓できてなくて、何度か読み直さないとわかんないかも。「ギア」は続編があるということで、是非それも読みたい。セミンゴについては、もう少しよく知りたいと思いました(^^)笑

    「if」の最後のページに「いふ」ってふりがなが振ってある言葉が3つも出てきて、言葉遊びしてるのかなって思って面白かった。

  •  伊坂幸太郎さんの新刊は、初の文庫オリジナル短編集である。テイストは様々だが、不思議と散漫ではなく、これまでのキャリアを振り返るような内容になっている。

     競作アンソロジー『蝦蟇倉市事件1』に収録された、「浜田青年ホントスカ」。蝦蟇倉に流れ着いた浜田青年と、相談屋の稲垣との掛け合いはいかにも伊坂作品だが、何だこの笑えないオチは…。潔いというか何というか。稲垣のQ&Aで本が書けそう。

     『グラスホッパー』や『マリアビートル』のようなクライムノベルの要素を持つ「ギア」。しかし、全体としてはファンタジーか? スパムメールの話とか(引っかかるなよっ!)、小ネタが満載だが、深く意味を考えてもしょうがない。

     「二月下旬から三月下旬」。これはその…いわゆるあのネタですか。最後にこういう真相が明かされると、大抵腹が立つが、本編の場合は早々にネタと構図は割れる。それなのに何だかしんみりするのは伊坂節の効果か。

     「if」。たまたま乗ったバスがバスジャックに見舞われたら、さてどうする? いやはや、やられた。短いページ数でうまく騙してくれたな。

     長編ネタに使えそうな「一人では無理がある」。知られざるサンタクロース運営会社。いつも致命的ミスを犯す彼を、会社が手放さない理由とは…。物騒なオープニングが、見事に結末に繋がる。あの少年にも幸多かれ。

     世界的にも評価されている、新幹線の清掃員をテーマにした「彗星さんたち」。誰にでも務まる仕事ではない。あるベテランの言葉は、すべての社会人に訴えるだろう。軽妙な会話に伊坂作品らしさを残しつつ、社会派な1編か。

     最後に、書き下ろしの「後ろの声がうるさい」。伊坂さん曰く、受け皿だという。バラバラに発表された各編と、繋がっているのがミソで、こういうのは伊坂さんの得意とするところ。ファンサービスの1編かな。

     巻末のインタビューによると、しばらく休みたい気持ちもあるそうだが、読者がいる限りは書き続けるようだ。まだまだ目が離せない作家である。

  • 七つの作品からなる短編集です。
    どの作品にも根底に人のいとなみの暗部が描かれています。読んでいて、なんだか倫理観を問われているような気になります。とはいえ、いつもながらの軽快でテンポの良い展開と、著者ならではの軽妙洒脱な語り口とユーモアもあって、差し迫った緊張感は薄められており、良いことも悪いこともひっくるめて、それが人生なんだと思わせてくれます。
    作品ごとにそれぞれ趣向が異なり、様々な側面と仕掛けを見せてくれる伊坂ワールド満載。さらに、巻末にはデビュー15周年を振り返るインタビューも掲載されていて、創作の秘密や心情なども垣間見ることができて、お得感のある一冊でしたぁ。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 文庫でのオリジナル短編集は、「伊坂さんってこういうのも書くんや」という、嬉しい驚きと面白さに満ちた魅力的なものでした。
    収められている7つの短編を個別に振り返ってみます。

    「浜田青年ホントスカ」
    個人的には、この短編集の中で最も、というより唯一、従来の「伊坂幸太郎」さんらしい物語でした。
    「相談屋」を営む男と「本当っすか?」が口癖の浜田青年の風変わりな交流を描いた物語…と思いきや…
    思わぬ方向へと転換し着地する鮮やかな手際と、読後のドキドキする余韻が何とも言えません。

    「ギア」
    見知らぬ他人同士が乗り合わせたバス風のワゴンが荒野を疾走している冒頭から、全編に渡って乾いた不条理さが漂います。
    読んでいる間、三崎亜記さんや筒井康隆さん、キングの初期の短編などを思い起こしました。
    仮に何も知らないまま、前述の作家の誰かの短編って言われたら信じてしまったと思います。

    「二月下旬から三月上旬」
    こちらも、冒頭からしばらくは、キングのとある中編をイメージしたのですが、その後の展開と結末は全くちがったものとなりました。
    「世にも奇妙な物語」の一エピソードとして、映像化してほしいです。

    「if」
    伊坂さん流の「復讐譚」あるいは「再生譚」といったところでしょうか。
    あっけらかんと明るいわけではないけど、やるせないような暗さでもない、絶妙なさじ加減が心地よかったです。
    章立てが、1、2ではなく、A,Bであるのがミソかな。

    「一人では無理がある」
    ミステリー調の出だしから、すぐに雰囲気は一転、とある冬の風物詩の舞台裏が愉快に真面目に描かれます。
    ラストで冒頭のエピソードと見事に繋がり、爽やかな読後感に浸ることができました。

    「彗星さんたち」
    ここ最近、各種のマスメディアに取り上げられ、海外の方にも知られることとなった新幹線の清掃員にスポットをあてたファンタジーっぽいお話です。
    随所に、アメリカの元国務長官パウエル氏の言葉が引用されていて、その言葉自体の良さと物語の持つ柔らかな温かさが印象に残る一編でした。

    「後ろの声がうるさい」
    7編を締めくくる書き下ろしの一編です。
    これにより、書かれた時期も初出媒体もばらばらな前述の6編を、同じ世界の出来事としてまとまりのあるものにしています。
    手塚治虫の「ブラックジャック」のエピソード「人生という名のSL」を思い浮かべました。

    本レビューの最初に、伊坂さんらしくないという意味あいの表現をしましたが、最近文庫化された「PK」とか、完全版が刊行された「あるキング」などと共通するような語り口やリズムやストーリー運びであるようにも感じます。

    従来の伊坂幸太郎さんのファンにも、そうでない人にもお楽しみいただけるのではないでしょうか。

  • 伊坂節楽しめました。
    最後のインタビューがとてもよかった。
    やっぱり、ファンとしては、伏線→回収の作品を期待してしまうけど、
    伊坂さんの書きたいものをどんどん書いてほしいなあと思いました。

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