最後の恋 MEN’S―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250557

感想・レビュー・書評

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  • 男性作家の大御所7人が同じベクトルで最高の恋・最後の恋を読者に伝える。中でも朝井リョウさんの「水曜日の南階段はきれい」がお気に入り。自分の考えや想いを他人に伝えられない高校生の夕子。一方、バンドのボーカルの同級生の神谷はM大学に合格を目指し、そこでバンドでデビューしたい!と公言し大胆にも感情表出する。M大学受験のために夕子が神谷に英作文を教え、見事神谷が合格する。卒業アルバムを神谷に渡すことで「好き」という感情を決死の覚悟で表出する夕子、でもその方法はラブレター。高校時代の切なく、ほろ苦い恋愛だった。
    伊5、越5、朝⑤、石4、橋4、荻5、白4

  • 男性作家7名がの書いた『最後の恋』をテーマにした短編7作。女性が書いたものより、しっくり来るような気がするのは同じ男性だからかな。
    必ずしもハッピーエンドではない、恋物語。
    「わかるか、あゆみちゃん。本物の恋なんて、かわいいものでも、素敵なものでもない。写真に撮って、きれいでしょうと雑誌にのせるようなものでもない。獰猛で、危険で、不意打ちで、できることなら生涯近づかないほうがいいようなものだ」石田衣良『イルカの恋』より。
    「探すのをやめた時、見つかることもよくある話で」萩原浩『エンドロールは最後まで』…※井上陽水『夢の中へ』からの引用

  • いい恋をした最大のメリットは、こういう本がとてつもなく楽しめるようになったこと。

    別れる男女の引越し当日の話、橋本紡さん、やっぱり最高だった。あの一定の澄んだトーン。好き。

  • 「最後の恋」シリーズの最新刊。私にとってはどれも読みやすく面白かった。7つの短篇はミステリアスなものが多く、登場人物はどういう人なのか、結末は、とはらはらしながらストーリーを追った。
    *「僕の舟」伊坂幸太郎:僕の舟という言葉の響きは、誰もが大なり小なりロマンを感じるのではないだろうか。もう老年である絵美の、若い頃のかわいらしい冒険と嘘、その結末はなんとも痛快であり、ほろりと切ない。望んでいた結末のようで、そうでもないというぎりぎり感がすばらしい。この伊坂幸太郎さんは、聴いてきた音楽とかが一緒なんじゃないかと、いつもシンパシーを感じてしまうのだ。私がJAZZで一番好きな曲が「バイバイ・ブラックバード」で、ウン十年前学生時代に同名の小説を書いたことがあったのだ。もちろん、伊坂作品に何て足下にも及ばないへぼな作品でしたけど。
    *「3コデ5ドル」越谷オサム:ハワイの花屋に勤める純情な現地少年が、日本人女性に抱く淡い恋心。実は彼女には秘密があって……。筋書きを書くとありきたりに見えるかも知れないが、その生き生きとした情景や初心な主人公が爽やかで切ない風を連れてきてくれる。決してハッピーエンドではないけれど、ハワイはこういう終わりがふさわしい楽園なのだろう。
    *「水曜日の南階段はきれい」朝井リョウ:言わずと知れた直木賞最年少受賞作家さんの作品。高校生の卒業エピソード、なのだが、ヒロインの透明感や主人公の青春の輝きと相まって、まぶしく瑞々しい読後感。忘れかけていた高校生の頃のときめきを思い出させてくれる。肝心の所で大胆になれず、大きな展開のないままラストになるのだが、それがいい。手も繋がずに別れる、その純粋さにきゅんとする。いいなあ、とついひとりごとをこぼしてしまう作品。
    *「イルカの恋」石田衣良:これは打って変わって悲恋もの。非常にドラマティックで、陸にも上がれない、魚にもなれないイルカがすべてを象徴している。古い映画やドラマであったような展開であるが、それがまた今新鮮に見えたり。映像に浮かんでくるような描き方はやはり石田衣良さんですね、といったところ。
    *「桜に小禽」橋本紡:この作品はミステリアスな部分は少なく、淡々とふたりの別れの日を紡ぎ出している。そう言う意味では色合いが異なるが、この作品は好きだ。同棲していたカップルが、互いの新居へ引っ越す日。お互い荷物を片付けながら、女は別れようとする男の今までを思い出している。うまく世の中を渡れない不器用な男。その彼を表すのが、酒井抱一の「桜に小禽図」を気に入り何枚も模写するというエピソードだ。実際どういう絵なのか、調べてみた。 http://www.asahi.com/culture/gallery_e/view_photo_feat.html?culture_topics-pg/TKY201110210209.jpg なるほど、筆運びが滑らかで、桜の枝振りや木の皮の光加減、小鳥の愛らしさなど、無駄が無く繊細な絵だ。これを何度も描いてうまくいかないと嘆く、そしてその絵をまた取っておく、その男の何とも憎めない執着や愚かしさが浮かぶ。
    *「エンドロールは最後まで」萩原浩:ミステリアスと言えばここまでミステリアスな話はない。結局最後までキツネにつままれた様な。でも「それをだまされても本望」ととことんついていこうとするヒロイン、楽しもうとしているような心の動きが小気味よい。読者はまだ終わらないエンドロールを見ているようだ。ある意味騙されたままが心地よい。
    *「七月の真っ青な空に」白石一文:この話は前半、登場人物のことが飛び飛びで分からなすぎて、何度も行ったり来たりして読み返した。しかし入り込んでみると、何とも鮮やかに彼らの悲しみが飛び込んでくる。タイトルの青い空のつんとするような色を鮮明に受け取ることができた。また最後に合気道の技をかけて云々のところが、ぐだぐだな男の心情やふたりのなりゆきを表しているようでちょっと笑えてしまう。ここで笑いに変換出来てしまっているところがいいなあ、と思った。
    **最後にタイトルについてひと言。MEN'Sというから「男性にとっての最後の恋の話」なのかな、と思ったら、単に男性作家が書いたという意味らしい。女性としてはそのネーミングどうなのだ、と思うが、いわゆる女性作家だけのアンソロジーというのも多いから、お互い様なのだろうか。何となく男女分けるのは時代錯誤のような気がしてしまう。作品としては女性視点の話もあり、MEN'Sというのはどうなのかなあ。正直橋本紡さんは女性だと思ってました、今まで(恥)。

  • もう恋なんていいやって思ったのが5月。
    やっぱ恋向いてないわって思ったのが6月。
    それを言うと、方々から「はいはい」「また出た」と言われてるのが7月。
    そんななか、20冊くらい大量購入した本の中にこの本が紛れたのが6月。
    Men'sっていうのは、作家がMenってことで決してMen's Last Loveってわけじゃないんだけど。
    泣きそうになった。
    31だものね、それなりに経験してきたし、トラウマもあるし、経験とともに壁だったあるもんだよね。
    向いてないし、もういいやって思ってるのはほんとだけど、それは今だけで、きっと心は死なない。また。
    結婚してる方にもおすすめ!
    ドラマ「最後から二番目の恋」のラストに感動した人にはもっとおすすめ!(笑)

  • 少し不思議で、暖かくて、たまに冷たくて儚かった。きみはポラリスに似てると思う。伊坂作品はやっぱり伊坂っぽかったし、朝井リョウは朝井リョウっぽかったので読み比べが一冊でできてとても楽しいうえにひとつひとつのお話も読み応えがあって良かった。今年1お気に入りの恋愛ものになった。

  • 水曜日の南階段は綺麗がめちゃ良い

  • 伊坂幸太郎目当てで読んだけど、荻原浩さんという素敵な作家さんを知れてよかった!

    伊坂幸太郎さんの作品ももちろん最高でした!
    恋愛っぽい話は珍しいからよかった!

  • この歳になって思う
    「最後の恋っていうだろう」って

    もう少ししたら、決まるのかな…

    僕の人生、最後の恋はこれだと…

    そのヒントが書いてある作品。
    いろんな人の描く「最後の恋」を参考に
    僕の最後の恋を探そう

  • 思い出は別に、時間とは関係がない
    探すのをやめた時 見つかることもよくある話で
    結婚しない女と恋愛しない女は違う。むしろ逆だ。結婚しないから、恋ができる。

著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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