水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101251417

感想・レビュー・書評

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  • もしあの時 大阪万博 太陽の塔 北朝鮮
    テープ 恋愛 時代 昭和 別れ

  • 「もしかしたらあり得たかもしれない、もう一つの人生、そのことを考えなかった日は1日もありませんでしたー。」
    二十年も前の万博で燃えて、消えた、とある男女の静かな悲恋物語。

  • 友人にお勧めされたので読んでみました。
    著者の作品は初めて読みましたが、文体かなり好みです。

    1970年の大阪万博を舞台とした恋愛小説ですが、単純な在日朝鮮人との悲恋話として語ることのできない一冊です。
    50年前と現代では差別に対する考え方にギャップがあるとは思いますが、そのあたりは当時の世相や風俗がとても丁寧に表現されているので、うまく受け入れることが出来ました。
    ましてやA級戦犯となった祖父を持つ家庭に育った彼女では他の選択肢はないだろうなと、だからこそ同情や否定的な気持ちを持つことなく、主人公と一緒になって哀しみや悔恨や苦しさを共有してしまいました。。

    そのうえで、心の声に素直に従うことが今の生活に折り合いをつけて生きていくより難しいこと、それでも選択に悔いがない人生だったと思えていること、明日への希望を次の世代に伝えていること、すべてが感動的でした。
    読んでよかった!

  • 1970年の大阪万博、時代が激しく動き出した頃に一生引きずるような恋をした人たち。
    いま読んで必要なことたくさんかいてあった気がします。
    その頃から何にも変わってない。
    人間なんて、そんなに変わらない。
    直美の考え方に共感するところは多々あり。政治的な考え方とか。
    それにしても、地元千里感満載過ぎて読みやすいところはあったかもしれない。阪急オアシスとかね。読書会で何て言うか考えるところもある

  • 短編だが泣ける。第1回東京オリンピック時代のラブストーリー

  • すごーく良かった。人生に対する力強い応援。けどテーマのひとつである差別については唐突でうまく受け入れられなかった。

  • この小説はもう少しわたしが大人になったら、その良さを理解できるのかもしれない。途中少し長く感じたけど全体的に悪くなかった。

    誰が良くて悪いのか、病気での早死、間違えたと思われる大きな選択、そんな大事そうなことはほとんど重要ではないと思わせる。
    それは284ページが全てを語っている。人生は宝探し、そう考えて楽しめばいい。自己の死を目の当たりにして考えることは、皆同じなのかもしれない。全ての関わりのあった人への感謝だ。直美は、自分の宝探しの冒険を邪魔した人でさえ、物語として重要なスパイスと言った。
    あんなにも憎悪し、涙を流し、嫉妬したあの人でさえ最後は許せるのだとしたら、もう死んでもいいと思える人生を送るにはどうしたら良いか。直美の答えは、時には立ち止まり、自分の頭でよく考えて勉強して、自分自身が選択して人生という冒険を楽しむこと、だった。

    人生の重要なことなんて、ほとんど誰も教えてくれない。それをもっと早くに知ってたらと思うことがよくある。選択を間違えない生き方なんてないのだろうけど。

  • よくあるラブストーリーかと思いきや全くそんなことはなかったです。
    戦後日本の朝鮮人差別など重い話題を織り交ぜた内容で、
    読み終わった後は切なさ、悲しさが強く残りました。

    この小説がただのラブストーリーじゃない所以の一つに直美や臼井さん、成美さんのメッセージ性の強い言葉があるように感じました。

    解説にも書いてありますが、

    “人生は宝探し→ただ漫然と生きているだけでは見つからない。目を見開いて、注意深く進めば何か見えてくるはず”
    という直美の言葉。

    個人的には臼井さんの
    “その人が言ったことをそんなに気にしなければいけないほどその人を重視しているのか” など。

    むしろこのような生活に活きるメッセージを伝えたい小説?とまで思えるくらいいい意味で引っかかる言葉が多かった気がしました。



    この小説をくれたバイト先のパートの方のお父さん!笑
    ありがとうございます笑

  • 10年以上前に読み、良かったと思った記憶があったもののタイトルの意味さえも忘れてしまっていたので再読。

    余命幾ばくもない女性が娘に遺したテープ4巻。そこには娘が生まれる三年前からが語られている。
    時代は大阪万博、親が決めた人生を歩んできた女性だが許婚との結婚の前に自由な時間が欲しい、何かをしたいという一心で万博のホステスとなりそこから物語が展開していく。

    女性の母が『女の人生に失敗は許されない、…』と言ったあたりが印象に残った。予想していなかった事に対応する強い母、この辺りで重苦しい物語の流れが変わった様にも感じた。そして後半、女性は『結婚している人の数だけ、程度の差こそあれ他の誰かを思い描かない既婚者などいるはずがない。』と苦しい胸の内を分析し、選ばなかった人生を夢見る。娘に対するメッセージも印象深い。


  • 直美さんの短くて長い人生の話。
    ある半年間に起きた出来事。
    ドキドキしたり、切なくなったり、
    でもまさかね。
    そしてまたまさかね。
    前に読んだ気がしてたんだけど、こんなに衝撃を受けるくらい本当に忘れていたなら、自分も大人になった証拠や。

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著者プロフィール

1959年、秋田市生まれ。立教大学卒業後、新聞社、出版社に勤務。2001年に刊行したデビュー作『水曜の朝、午前三時』が各紙誌で絶賛されベストセラーになる。他の著書に『八月十五日の夜会』などがある。

「2023年 『美しき人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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