こころの処方箋 (新潮文庫)

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著者 : 河合隼雄
  • 新潮社 (1998年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101252247

こころの処方箋 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 何度も読み返す本です。はじめて手にしたときは様々な変化の中で迷いが多く、何か答えを出そうと闇雲に本を読んでいた時期でした。取り上げられている短いお話の中に、そうなのか、思い悩むことはない、と少しずつ縄を解いていった記憶があります。既に他界されてしまいましたが、多くの方の著作、対談の中に著者の言葉が生きていると感じています。

  • 何度も読み返している一冊です。

    丹念に読む、というよりも、さらりと読んで、その時々心に響いた部分をじっくりと読み返す、という感じで読んでいます。

    今回響いたのは、
    「感謝できる人は強い人」という言葉です。
    それも「適切な」感謝であること。

    わかりやすい表現の言葉で綴られているけれども、鋭い。

    これからも、「こころの処方箋」として、活用していきたい一冊です。

  • 「人の心などわかるはずがない」から始まるテーマ毎に短くまとめられておりとても読みやすい。生きるのが、人との関わりが楽になる一冊。

  • 総じて著者は「中庸のココロ」の重要性を訴えているのではないかと思う。完全な自立ではなく、適度に依存しながら自立すること。ほどほどに周囲の目を気にしながら自分の好きなことに注力すること。死にたいという気持ちから生きようとする心が生まれること。真実を言うことだけが善ではないこと。

    著者の優れているところはこういったバランス感覚であり、裏を返せば、真ん中あたりのフラットな視点を保つ困難を、この本を通じて逆説的に知ることができる。著者がいうところの「場あたり的な灯」、つまり安易な決めつけに満ちた心のサプリ本のことだが、その手の白黒断定に縋ることがほとんど何の解決も生まないことを、この本は教えてくれる。

    中庸というのは優しいようで、厳しい。「程よいレベルを自分で考えなさい」という突き放しでもあるからだ。

  • 心が楽になるかもしれない、と思い手にとってみたが、意外と厳しいことも書いてあったりする。現実と理想の狭間で揺れる氏の考えがとても有用なのだと感じられる一冊だ。もちろん基本的には、困難に立ち向かうための気の持ちようみたいなもので、氏のカウンセラーとしての豊富な経験を背景としており感心させられる。著者のあとがきにも書いてあるが、これは言語化されていない「常識」である。そしてその常識をわれわれは忘れすぎている。かつて、常識は「自然」だった。河合隼雄が亡くなってずいぶん経つが、そのことだけでも忘れないようにしたい。

  • 心がざわざわした時に、ふと開きたくなる本。「こころ」が、ふわっと軽くなります。

  • いつも手元において、折々に読み返したい本。

  • 高校時代の先生に、
    いろいろ迷ってると相談したところ
    この本が郵便で届きました。

    実はこの本、
    前に夢とか目標を追いかけて勉強しているときに
    読んでいたので再読。

    以前読んだときは、
    ふたつよいことさてないものよ
    とか
    自立は依存があって成り立つ
    とか
    一章一章ごとを読むことに必死でしたが、

    今回は
    やっぱり人のこころはわかんないんだなあ~とか
    当たり前のことを確認してしまいました。苦笑

    この人こんな人なんだろうなあとか
    先入観とか固定観念を捨てること、
    わからないことがあること、
    それを認めて取り込むのって
    本当に難しい。

    答えが一つではなくて、
    前回がこうだったから
    今回もそうなんだろうと思ってると
    先へ広がらなくなるのかもしれない。

    そんな風に年を重ねていくと
    凝り固まった人間になっていくのかもしれない。
    でも、
    子供も大人も何時だって
    やっぱり迷ってるんだよなあ。

    私も物心ついたころから
    ずーっと迷って悩んでいるかもしれない。
    あー!
    やっぱりわからない!苦笑

    本書は、
    物事はAという見方もあるけど
    Bという側面もあるから
    ひとつじゃないというようなことを
    優しく語りかけてくれます。

  • ・人間の心は分からない、をきちんと認識しているのがプロである。人間の心の法則は好きでは無いが「ふたつよいことさてないものよ」という法則が割と好き。愚痴や文句を言っている人はその人が言っている悪いことが何か良いことのバランスのために存在している事を見抜けていない事が多い。

    →石原 明のメルマガで転職の名言として
    「転職で100%満足できることはないんです。良くて80%、残りの2割は自分で埋めるしかないんですよ」
    という知人の言葉を挙げている。ふたつよいことさてないものよ、だと50/50だ。
    (Sさんへ)

    ・100%正しい忠告はまず役に立たない。
    (Kさんへ)

    ・…子供の側からすると何かしら不自然なのである。子供は何かが足りない、と感じたり、何か変だと思ったりするが、その「何か」が言えない。言葉では言えないのである。しかも、この際、親は子供を窮地に追い込んでいるなどと思わず、子供のために自分たちは努力していると思い込んでいる。子供のためと思ってやっている開発事業が、自然破壊につながってゆくのである。自然破壊が進行すると、子供たちは言葉によらないいろんな「サイン」を送り始める。それをキャッチする事が、大人に取って非常に大切であるように思われる。

    ・イライラしているのは何かを見通していないからだ。
    (Mさんだけじゃないよ?沸点の低い人みんなに。)

    ・己を殺して他人を殺す人。ここぞというところで勝手をすると周囲に見られるのは、スタンダードで自分を殺しているからたまにはいいじゃないかと思うが、タイミングが不適切で復讐しているかに見える時すらある。
    (Iさんへ)

    ・人生にはここぞという100点以外はダメなときがある。それ以外は
    60点でもいいのだ。だがそれを認識しないで、そのような時で、あらかじめ分かっていても、90点くらいでいいかというくらいの考えで臨む人がいる。それで、自分は成功しないと言っていても心得違いというものだ。
    (Aさんへ)

    ・心の勝負は51対49の事が多い。お前となんか話さないと言って背を向けても、もしかしたら分かってくれるかもという気持ちが49だったり、逆に何でもやってみますという協力的な人もそう簡単にわかってたまるかが49だったりする。しかし、行動として表に出るのはその片方。それがもっと50対50に接近しているのにその片方を主張するには、大きい声、強い態度で表出せずにいられなくなる。

    ・変わるときは180度変わるのが変えやすい。風見鶏みたいに一定の風が原因としてあるならなおさら。

    ・現代人は心に失望しつつ、魂の重要性を再び認識しかけているのだが、そんなものは知らぬのでそれを飛び越えて体をやたらに大切にするのではなかろうか。ジョギングなどしている人に宗教的情熱を感じさせられることがあるのもうなずけるのである。
    (Iさんへ)

    ・ものごとは努力によって解決しない(クリシュナムルチ)。
    (Nさんへ)

    ・たましいの特徴は矛盾に満ちている。人間の心はその中に矛盾が存在するのを嫌うので、たましいの方は矛盾をかかえこむのだ。仕事人間のそれ以外の生き甲斐とか。特にそれを痛感するのが、老年の生き方だ。若い時からの趣味がそれまでは心の支えと思っていたのに、急に重荷に感じられてくる事がある。俳句が好きで句会を楽しみにしていた人が、70歳くらいになって急に嫌になる。それどころか、人生すべて灰色という感じになる。そんなとき人は、家に閉じこもっていないで句会に出てみたらなどと言うのだが、逆効果をもたらすだけである。その人にとって必要なことは、自分の心ではなく、たましいは何を欲しているのか、と問い直してみることである。
    (ジブンに。君はたましいの求めで本を読んでいるのか?本当はこころを支えようとしているだけ?)

    ・二つの目で見ると奥行きがわかる。甘い目だけだと表面上の言葉だけしか見えていないことがあるし、かといってすぐに「口先だけで良いことばかり言ってもだめだ」などというのは厳しい目のみであり、馬鹿げている。男の目と女の目、主観と客観、鳥の目と虫の目、など色々挙げられる。
    →宮本武蔵の「見の目弱く、観の目強く」を思い出した。普段の人付き合いなら、定点観測できるから、言葉と言葉、言葉と行動、を比べられるのだけれど。

    ・気を使って心配事から疎外するとボケることがある。心配も苦しみも共に向かい合えば楽しみのうち。

    ・すべての人が創造性を持っている。
    人間が生まれてくるということは、そのなかに「創造の種子」を持っているという事なのであろう。それがその人の属する集団の価値と一致すれば、伸ばしていくのが容易であろうが、創造性は周囲に見えにくいし、安易になって自分の中の創造性を見出すことを怠ることにつながるかもしれない。逆に属する集団と異なる場合は生きる上で困難が大きい。
    心理療法家はその「創造の種子」が発芽し、伸びていくのを援助したいという気持ちを持っている。それはその人の社会と反する生き方をすることにつながることもあり、苦しみを倍加させる困難な道であることもある。戦ったり、妥協したり、方向転換したりしながら、その人の人生そのものである「作品」が出来上がってくる。方向を見出し、自分で創造活動を続けられるとなったときに、その人とわれわれは分かれることになる。
    この経過の中で一般的にも評価される芸術作品を生み出す人もままある。しかし、私が大切にしているのは、そのような事も含めて、その人の生き方全体の創造であり、「私が生きた」と言えるような人生を作り出すことなのである。創造には犠牲がつきものだが、そのことも明確に意識し、そのような犠牲の責任者としての自覚を持って、「私が生きた」と言える事が必要である。それが明確になればなるほど一般的な社会的評価はそれほど気にならなくなるし、それはもっともっと普遍的な存在の一部としての責任を果たしたという自己評価につながってゆくだろう。

  • 臨床心理の第一人者が書いた人の「心」に関する洞察とエッセイ。

    普段、あまりこういう本は読まないけれど、素晴らしかった。
    読むたびに心動かされたり、ハッとさせられる新しい見方を提示された。可能であれば著者と話してみたかったと思うほど。著者は学者というより人に向き合ってきた医師だったかと思うが、その言葉は現実に即しているが、温かく公平で肯定的なもので満ちている。

    本の大半のページに心に残った部分があるほどだったが、以下特に残したいことを。

    ・ふたつよいことさてないものよ 

    ・絵にかいた餅は餅より高価なことがある。

    ・子供のためと思った開発事業が、心の自然破壊につながる

    ・灯台に近すぎ過ぎると難破する

    ・100点以外はダメな時がある

    ・心の中の勝負は51対49のことが多い

    ・男女は協力し合えても、理解し合うことは難しい

    ・ものごとは努力によって解決しない(努力くらいしかやることがないという考え)

    ・自立は依存によって裏付けられている
    (人生には一見対立しているように見えて、実は互いに共存しているものが多い)

    ・善は微に入り、細部にわたって行わねばならない

    ・灯を消すほうが良く見えることがある
    (目先にある灯を消して、暗闇の中に目をこらす)

    ・適当に不満を言っているくらいがちょうどいい

    ・逃げるときは物惜しみしない

    ・どっぷりつかったものが本当に離れられる

    ・強いものだけが感謝することができる

    ・優しくあるために勇気が必要なのではないか

    ・1人でも2人、2人でも1人で生きているつもり

    ・子育ては、相当な心のエネルギーを消費して向き合うこと

    ・権力の座は孤独を要求する

    ・2つの目で見て、2つの姿を見てその人を形作る

    ・羨ましかったらやってみる。(そこに自らの開発すべき世界があるかもしれない)

    ・のぼせが終わるころに関係が始まる

    ・体験して「知る」ことにより2次災害を防ぐ

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あなたが世の理不尽に拳を振りあげたくなったとき、人間関係のしがらみに泣きたくなったとき、本書に綴られた55章が、真剣に悩むこころの声の微かな震えを聴き取り、トラブルに立ち向かう秘策を与えてくれるだろう。

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