猫だましい (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101252261

作品紹介・あらすじ

こころの専門家・河合隼雄先生は、実は大のネコ好きです。今までに読んだ古今東西のたくさんの猫物語の中から、特にお気に入りのにゃんこ達を選んで、お話しいただきました。長靴をはいた猫、空飛び猫、鍋島の化け猫、100万回生きたねこ…ネコのことが分ると、ヒトの心も分る、かもしれませんよ。ネコ好きでは引けを取らない、大島弓子さんの感想マンガが付いてます。

感想・レビュー・書評

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  • 猫丸さんお薦めの1冊です。ありがとうございます!

    多くの猫好きさんに読んでいただきたい名著だと思います。

    著者の河合隼雄さんのあとがきによりますと、編集者たちと『たましい』の顕現としての何かに焦点を当てて連載しましょうということになったそうで、物語の主人公として活躍するとなると『猫』をおいてないのではなかろうかと思ったそうです。連載しましょうということになったけれど河合さんは猫好きではないそうで『たましい』のことを書くのが話のはじまりだったそうです。

    目次
    Ⅰなぜ猫なのか
    Ⅱ牡猫ムル
    Ⅲ長靴をはいた猫
    Ⅳ空飛び猫
    Ⅴ日本昔話のなかの猫
    Ⅵ宮沢賢治の猫
    Ⅶ怪猫ー鍋島猫騒動
    Ⅷ100万回生きたねこ
    Ⅸ神猫の再臨
    Ⅹとろかし猫
    Ⅺ少女マンガの猫
    Ⅻ牝猫

    一番印象的だったのは、絵本の項目で、やっぱり佐野洋子さんの『百万回生きたねこ』のお話。この絵本に胸を打たれない人はいないのではないかと思います。何度読んでも心に響きます。
    他の絵本も日本の絵本は国際的に見ても、ずいぶんと水準が高いと河合さんは思うそうです。
    長新太『ごろごろにゃーん』
    ワンダ・ガアグ『100まんびきのねこ』
    ジェイムズ・ジョイス『猫と悪魔』
    ハンス・フィッシャー『こねこのぴっち』
    J・ワグナー・R・ブルックス『まっくろけの まよなかネコよ おはいり』
    これらの紹介されている絵本は文章だけ読んでも素晴らしいのですが、春になったら是非、図書館で探して現物を読みたいと思いました。

    そして、他にもう1編、感想マンガで大島弓子さんも書いていらっしゃいますが、ポール・ギャリコの『トマシーナ』も是非読んでみたいと思いました。
    どんなお話かは、あらすじとポイントがこの『猫だましい』を読めばわかるので、ご興味のある方は本書を是非ご一読ください。
    次に気になるのが、谷崎潤一郎の『猫と庄造と二人のおんな』これも読みたいです。
    猫の文学というジャンルがあってもいいくらいで、猫のお話がたくさん出てきます。

    私も勧められて読みましたが、猫好きで、本もお好きなら、読まれていない方は必読といってもいいくらいだと思います。

    私も16年間ノラ猫だった三毛猫のミケちゃんを家に入れて暮らしたことがあるので、今は亡きミケちゃんのことを思い出しました。
    確かに猫はとても頭がよく、人の気持ちがわかり、人の言葉を聴いていますね。
    うちのミケちゃんも、とても賢い猫でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      原マスミ版も新潮文庫で1997年に発行。現在流通しているのは2008年発行。
      多分、図書館は原マスミ版を所蔵している筈!
      まことさん
      原マスミ版も新潮文庫で1997年に発行。現在流通しているのは2008年発行。
      多分、図書館は原マスミ版を所蔵している筈!
      2021/01/11
    • まことさん
      猫丸さん
      ありがとうございます!
      図書館にあるのは、確か1997年発行でした。
      でも、すでに、新しい方をポチってしまったので、図書館に...
      猫丸さん
      ありがとうございます!
      図書館にあるのは、確か1997年発行でした。
      でも、すでに、新しい方をポチってしまったので、図書館には、新たに、春になったら、借りに行きたいと思います。
      2021/01/11
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      まことさん
      にゃ〜ん
      まことさん
      にゃ〜ん
      2021/01/11
  • 通してずっと面白い!というわけではなかったが、興味を引く箇所多数。村上春樹訳の空飛び猫、大島弓子の漫画、ポールギャリコ、谷崎潤一郎やコレットの、男と女と猫の話、などは原作を読みたくなった。牝猫と男性と同居するのは危ないのか?私の知ってる、猫と相思相愛な関係を築いている人というのは女性ばかりなので、ピンと来ない。

  • 実際にお会いしたときの、河合隼雄氏のお優しい印象そのままの読みやすい文章。
    30数年、間が空いてしまったが、読んで良かった。
    紹介されている本も可能な限り読みたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「河合隼雄氏のお優しい印象そのまま」
      講演会等に何度か聴きに行きましたが、穏やかで気さくな感じでしたね。
      お亡くなりになった時に、チョッと信...
      「河合隼雄氏のお優しい印象そのまま」
      講演会等に何度か聴きに行きましたが、穏やかで気さくな感じでしたね。
      お亡くなりになった時に、チョッと信じられなかったのを思い出します。。。
      2013/02/18
  • 本当に尊敬する人には先生という言葉をつけたくなる。面識がなくとも、自分の中の一部になった(なってほしいという願望も込めて)気がして、先生、と呼ぶ。
    これはユング研究で有名な河合隼雄先生が猫を語る本である。古今東西様々な物語の中に登場する猫という存在を通じて、その猫に人間が託したものを解説してくださる。
    化け猫であり招き猫でもある二重性やトリックスター的性格、それは誠実を託されがちな犬にはない魅力。有名どころが多いのでマニアには物足りないだろうが猫小説の案内書として読むも良し。冒頭に説明される、数学の連続体問題を使った魂の捉え方なんかはいかにも先生らしい感じでほっこりする。

  • ネコ好きな人たちに「河合隼雄」を知ってもらう手がかり的な本である。なので、心理学な内容は薄く、本の紹介が多い。(30冊ぐらいはある)
    タイトルの「猫だましい」は「猫騙し」だと私は思っていたが「猫魂」である。ネコの変幻自在な行動を見習え!ということなのだろう。

    私は自分の体験からネコが好きではない。それは、親戚の家に遊びに言ったときのことだった。どこかの飼いネコが、まだ動いているネズミを口にくわえて、ムシャムシャと食べているのを見てしまったのだ。
    室内だけで飼っている家猫は、そんなことはしないとは思うが、そういう本能を隠しているのは間違いないだろう。(今どきネズミはいないと思っている人が多いが、親戚の家は都会の住宅地なのだ、夜な夜な空き家からネズミたちが出てくるのを、ネコも承知でネズミの通り道で待ち構えているのも目撃!)
    そんな醜い猫の生態を記述した文章は、この本にはない。この本ではネコの個性的な性格からのウンチクを導きだしている。
    その河合さんのウンチクも、持論の身体性の重要性に毎回行き着く。
    ネコ好きでなければ、学ぶべき点があまりないので、購入してまで読む必要はないと思う。

  • 猫を主人公とする作品を基に、人の心について語る。面白いし、優しい語り口で癒される。

  • 河合先生は猫好きかと思ったらそうではないらしい。臨床家の先生が「たましい」を語るときに猫を選んだ。昔からの猫を扱った話から「たましい」を物語りやすいとのことだ。ただ先生の語る「たましい」が今ひとつ、すとんと落ちてこない。紹介された作品を読んでみるか。2021.5.8

  •  ちょっと作者間違いで、図書館に予約を入れてしまったが、河合先生の著作なので、まぁ、間違いないだろうと読んでみた。面白かった。

     古今東西の「猫」にまつわる物語を読み解き、心理学者ならではの解説、感想が展開される。

    「話がたましいの領域にまで拡大されるとき、人間のドラマにはしばしば動物が登場するものだ。」

     本書で取り上げられるのは、昔話のたぐいから、童話、絵本、ファンタジー小説、そして漫画と幅広い。 “たましいの領域”を語るのは、ノンフィクションや理路整然としたお話ではない。摩訶不思議な物語がおのずと多くなる。そして、そこでの登場するのは猫たちだ。

    「エジプトにおいて、ネコの女神セクメトがあまりにも崇拝されたので、このような異教徒の宗教に対する反撥として、キリスト教は猫を無視、または敵視しようとした」(『猫の不思議な物語』(フレッド・ゲティングス著 松田幸雄・鶴田文訳 青土社)

     西洋において猫は、神と対立する存在として印象操作されてきたか?
     いや、そうでなくても、猫の行動、生態を見て、古来、人は、洋の東西を問わず、そこに解せないなにかを感じ取っていたのだろう。数多の不思議な物語に猫の存在は不可欠だということが、多くの著作を引いて語られる。

    「なぜなしに存在し、なぜなしに納得させられる」

     著者は、それがファンタジーの本質ではないだろうか、と書く。
     いや、それは、猫そのもののことを表してはいないかな。

     本書で紹介され、解説された猫の登場する物語、読んでみよう。

  • 取り上げられている作品が全部面白くて巻末に掲載されている参考図書を全部読みたい位です。「とろかし猫」は本当にいい得て妙だと思いました。大島弓子氏による解説漫画も収録。

  • たましいの顕現であると筆者がみる猫について、物語においてどのような登場をし、どのような役割をしているか、およそ10の物語に登場する猫と、物語が紹介される。

    ただ、猫が登場する物語の引用、要約、紹介が羅列され、申し訳程度に作者の分析が書かれているにとどまり、本を通して得られたり、読んでよかったと思えるところは皆無。

    強いて言えば、取り上げられた本の原典に目を通してみようかと思った程度で、猫が書かれた本をなんでもいいから読んでみたいという人のガイドブックくらいの役割は果たす本かと思われる。

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