こころと脳の対話 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2011年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101252308

こころと脳の対話 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 2005年から2006年にかけて、3回にわたって臨床心理学者河合隼雄と脳科学者茂木健一郎が行った対談の本。易しい語り口で、知的刺激に富んだやり取りがなされる。

    茂木が河合に心理療法とはどういうものか尋ねている。

    普通の近代科学が分析し、「明らかにする」「分かる」ことを目指しているのに対して、心理療法では、クライアントが「治っていく」ことが目標で、そこではセラピストとの人間関係が重要であると言っている。

    で、河合は何をするかというと、何もしない。「相手の苦しみを正面から受け止める」、「中心を外さずに」・・・これが難しい・・・相手の話をただ聞き、相づちをうつ。

    この相づちが、達人のそれで、タクシーに乗ると運転手が身の上話を始めて、どんどん話が進んで、道を間違えたことが何度もあるぐらいの、絶妙な相づちなのです。

    あと茂木が実際に箱庭を作ったりする。

    読み易いお薦めの一冊です。

  • ・その人は一生懸命話をされるし、こっちも一生懸命聞いて、それでもその人が話しだすとどうしても僕が眠くなる、という人がいたんです(笑)。疲れていたら眠くなるのは当たり前だけど、疲れてないしね、僕、一生懸命仕事してるのに。
    で、とうとう、「もう本当に申し訳ないんだけれど、あなたの話しを聞いていると僕は眠くなってしまう。なにか思い当りますか」といったんです。そしたら、「わかります」といわれた。「いちばん大事なことをいっていません」って。

    ・「私が部屋に入ってきたとき、先生は、私の顔にも服装にも、全然関心を示されなかった」
    というのは、ものすごく美人ですから、服もきれいなのを着ておられるんだけれど、その服も見てないし、顔も見てない。おそらく、二日後に道で会っても絶対わからないだろうと思うぐらい、なにも見ておられなかった、と。
    「ああ、そうですか」
    「それだけじゃありません。先生は私の話しの内容に、全然、注意しておられませんでした」(笑)
    「僕、何をしてましたか」
    「何をしておられたかというのは、すごくむずかしいんだけれども、あえていうなら、もし人間に『魂』というものがあるとしたら、そこだけ見ておられました」
    …それが、僕がいまいっている、僕がやりたがってることなんですよ。その人を本当に動かしている根本の「魂」―これと僕は勝負している。だから、そぉっと聞いてないとだめなんですよ。言葉で、ワーッと動いていったりしないで。また、相手の言葉に動かされてもいけない。

  • 臨床心理学の大家と脳科学者の対話。
    箱庭療法という手法がある、というのがまず新鮮な驚き。
    茂木さんが実際に河合さんの前で箱庭をやっている場面は興味がわく。
    また、脳科学の研究が進む=心のことがわかる、ではない、と河合さんが強調しているところ、そのほうが自然に感じる。
    うつ病等を脳科学で治せると、以前とある人から聞いたことがあるが、その時は説明できない違和感を感じたので、そのへんをもう少し詳しく知りたい。
    河合さんが亡くなってしまったので、実現しなかった茂木さんの継続的な箱庭つくり、また、箱庭を見たり、クライアントの話を聞いているときの河合さんの脳の動きを観察する、等々、面白そうな話が実現できなかったことが残念だ、という河合さんの御子息の解説に大いに同感。

  • 二人の科学者の対談集 精神は関係性、精神病の人、統合失調症の人などの治療を、アメリカでは他との関係性を考えず、独立したケースとして考えるが、周囲との関係性を考えて直す、というのが河合さんのやり方のよう。箱庭つくりの話が興味深かった。私もやってみたい。

  • 語り口は優しいけど、内容は難しい。
    心理療法?とかの知識がないとついていけない。笑

  • シンクロ二シティや夢の話など、すごく面白かった。何かと効率よく、無駄のないように…と進めてしまっていたところを、大きく構えて偶然のセレンディピティを大事にしていけたらいいな、と思った。こんな対談集が400円てすごい。

    2016.4.25

  • それぞれの分野の達人同士がレベルの高い会話を繰り広げるかと思いきや、前半で茂木健一郎が河合隼雄に降伏し、河合隼雄の独壇場。河合隼雄の話に対し、脳科学的な解説を茂木健一郎がいれているという程度。

    全体として無意識の心について語られており、夢がなぜ意識と無関係なものを見るかなどについて語られている。個人的に最も印象に残ったのはシンクロニティについての箇所。私がこの本を読んだ上でのシンクロ二ティの解釈は「自分の無意識がその時に物凄く気にかけていること」であり、例えば楽器に関心があったとすると楽器のCMなどがこれまでより多く自分の前で流れてくるように感じてくる現象と似ている。

    河合隼雄はその無意識による選別を意識して楽しむようにしていると言う。

    現代人は意識に力を使いすぎている。(その事にすら気付いている人はいない)偶然の巡り合わせや無意識がもたらす出来事について気づき、それを行動に影響させることが人生を楽しくさせるかもしれない。

  • 大好きな河合隼雄さんと茂木さんの対談。全然難しくなくとても読みやすい。やはり生きてるうちに会いたかったなぁぁ。賢い人と賢い人の話は面白い。

  • 読みやすいのにしっかりした内容。
    やっぱすごいです河合隼雄。
    もっと生きてて欲しかった。

  • 河合先生の本にはいつも何らかの気付きと発見があり、色々と考えさせられます。

  • 個はそもそも関係性である。
    関係性ありきというのが日本的。
    曖昧と確実が同時に存在するというのが印象に残った。

  • どのような分野でもこころの問題(愛やたましいについて)の要素が浮かんでくる。人間が生きる根底或いは天辺に在るからなんだろう。

  • とにかくお二人の楽しそうな様子が、書面からも伝わってきて、すぐに引き込まれました。
    「話を聞くだけで疲れる人」のシーンは、茂木さんが物凄く同意、感心してたのと同じくらい、納得させられました。
    他にも、心理学という個人に深く関係する学問・フィールドに於いても、全てスタンダード化してしまおうとする、昨今の傾向に河合さんが語っているシーンも、凄く納得させられますね。
    これだけ多くの著名人・知識人を引きつけた河合先生の魅力が、よく分かる一冊です!

  • 以前、会議の議論がかみあっていないのを感じた瞬間の感覚が、ルネサンスものを歌っていて縦がずれたことに気づいたときの感覚と似ている! と思ったのだけど、この本を読んで、脳科学的に正しい認識のような気がしてきた。

    聞き役に回ることが多い私としては、単に聞くだけでも話す人に力を与え得るということも面白かった。まっすぐ聞くこと、魂を聞くこと。できるかな。

    因果関係ばかりを追っていたら大切な物を見落としてしまうというのも、よくわかる。無意識、関係性、それ以外にも人間が認識できていないもの、言語化・数値化できていないものはたくさんあるはず。

    河合隼雄さん。一度直接お話を聞いてみたかったなぁ。

  • とても面白かったです。エビデンスだけがすべてではない、分野は違えど臨床に携わる人間にとってこんなに勇気づけられる言葉はない。

  • 心理学者と脳科学者の対話。最終的に話におちがなく進んでいくのだが、そのやり取りが面白い。
    人間の心の動きって面白いということを手を変え品を変えいろんな形で言っているのだが その中に色々な面白い言葉がちりばめられている。

  • おもしろい!河合隼雄さんは本当大きすぎて全貌が見えない!

    内容ちゃんとは理解し切れてないけど、

    再現性や普遍性の外におもしろいものってあるんじゃないかっていうこと←これは白石さんのゆらぎの部分ともつながりそう
    夢と箱庭に出てくる無意識 フロイトとユング
    細部じゃなくて全体に平等に注意力を向けること

    ここら辺がすごく面白いと思った!

  • 文章を読んでるのに『この人に話を聞いてもらいたい!』と思ってしまうこの気持ちはなんだろう?

    行間からにじみ出る河合隼雄先生の雰囲気がたまらなくいい。


    しかしその親しみやすさに安心感を抱き、あまりの底しれなさに恐怖を感じる。

    河合隼雄先生はまさに心そのものの存在になれる人。

    『中心をはずさずにそこにいる』ことも心そのものとなることなのかな?


    心とは、面白く恐ろしい。

  • 心理療法と科学のおもしろ話で、とても読みやすいです。

  • しばらく前に読んだんですが、再読しました。河合隼雄先生が持ち出すエピソードは、結構同じものが多いんですが、相手によってその後の展開が変わるのが面白いところです。

    僕は茂木健一郎さんが「科学者」を名乗っているのが今ひとつぴんと来なかったのですが、この本を読んで、自分の違和感の大本が理解できました。茂木さんは通常の意味での科学者じゃないんです。河合先生と約束されたという脳の研究だけはしてほしいところですが、どうなったんでしょうね。

    いずれにせよ、今が難しい時代なんだということは、わかっている人には何十年も前からわかってたんだということがよくわかりました。

  • 河合隼雄の柔らかい人柄と茂木健一郎のリベラルな性格がにじみ出た対話。最も興味深かったのは次の2点。

    ①シンクロニシティ
    シンクロニシティとはユングが提唱した概念で「共時性」と訳される。自分の無意識と外界がシンクロすること。
    今の時代、知らず知らずのうちに、自然科学的な因果則でものを見ていることが多い。しかし、人との出会い、本との出会いなどは、この因果則では説明しきれないことが多い。これを説明するのがシンクロニシティだ。

    ②中心をはずさない
    河合隼雄がカウンセリングのとき心がけているのは、「中心をはずさない」こと。言い換えれば、「魂をはずさない」ということ。相手の言動ではなく、魂の叫びにじっと耳を傾けるということ。

  • 嫁さんが買ったので読んでみた。河合さんは深みがあって良いなぁ。

  • 最初のほう、やっぱ頭の良い人たちの会話はわからんわ…と思ったけど、第三章でかわった!すごくわかりやすい。脳科学と、心理学、密接なようでいてやはり、おおもとの心構えが違う。だけど切り離せない…
    あとは第二章に出てくるシンクロニシティの話が面白かった。
    この手の勉強を始めたばかりの人は、一度読んでみるとおもしろいかも。
    河合隼雄さんって、オモロイおっちゃんだったんだね~。

  • 臨床心理学者/故河合隼雄氏と脳科学者/茂木健一郎氏の貴重な対談の記録。
    脳の研究がどんなに進んでも、心を解明できるわけではない。再現性・普遍性を求める科学の限界は、科学が見落としてきた関係性と生命現象が鍵という。
    夢に近い無意識の状態を意図的に作り出し、心の世界に迫ろうとする箱庭は、心理療法でも使われる常套手段。
    凝り固まった思考パターンを超え、可能性を引き出す方法として注目されている。最近、ワークショップで箱庭的手法が使われるのも納得。
    科学では解明できない事柄にさまざまなヒントを与えてくれる宝庫のような作品。

  • 久々に河合隼雄先生関連の本を読んだが、もうこの世にいないことを残念に思う。
    先生の言葉にはいつも心が洗われるような気がする。
    とかく、ルーチン化してしまいがちな日常を振り返り、
    自分の心と脳を整理する切っ掛けになった。


    以下、メモ

    心の解決は科学である必要がない。
    関係性が心の基本、大事。解釈よりも認識。

    夢は盲点、無意識にあるものが顕在化したもの。

    生きている事自体、無理をしている。
    心身が疲れて当たり前。

    中心統合ではなく、中空均衡型を

    華厳経では、関係の総和が「私」

    科学にも倫理観を

    シンクロニシティは外にあるものが呼応するのではなく、心にあるものを無意識に捉えている現象。

    身体脳と人格脳という捉え方をしたときに、
    人格脳を操作することは正しいことなのだろうか?
    その人が正常に生活できるようになったとしても、
    人格を変えてしまうようなことをやって良いのだろうか?

    まっすぐに人と向き合うという事は難しい。
    相手の魂と対峙することだから。
    河合隼雄先生は、そこが素晴らしい。

    夢を分析すれば面白いことになるかもしれない。
    無意識の自分を見つけ出せるから。

    現代人がストレスを感じるのは死後の世界が分からないから。
    生活環境や科学が進んだ結果、誰もが世界のある程度を知り、
    だからこそ見えないものに不安を感じている。

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こころと脳の対話 (新潮文庫)の作品紹介

人間の不思議を、「心」と「脳」で考える-魂の専門家である碩学と脳科学の申し子が心を開いて語り合った3日間。京都の河合オフィスで茂木氏は自ら箱庭を作り、臨床心理学者はその意味を読む…箱庭を囲みながら、夢と無意識、シンクロニシティとは何かなどをめぐって、話は深く科学と人生の問題に及んでいった。「河合隼雄」という存在の面白さが縦横に展開する貴重な対話集。

こころと脳の対話 (新潮文庫)の単行本

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