心の深みへ―「うつ社会」脱出のために (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2013年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101252315

心の深みへ―「うつ社会」脱出のために (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 『犠牲』からの流れで。対談第四話で『死ぬ瞬間』著者であり、聖女と言われたキューブラー ロスを取り上げる。脳梗塞を起こして以後、孤独な生活をしながら死に対して否定的な言動をするようになった彼女について、河合先生が精神分析を展開。この対談が行われたのは1998年。その後彼女はどうしているのか。数年前のBS番組を視聴したら、彼女は2004年に亡くなっていました。そして、なんと河合先生が分析した通りのことを書いた『ライフ レッスン』という本を遺していました。すごいなー河合先生!

  • 柳田氏の「共時性(シンクロニシティ)」の具体的な経験がたくさん語られていて、私自身も改めて「共時性」について深く考えを巡らせました。
    アメリカの精神科医エリザベス・キューブラー=ロスとイギリスでホスピスを創設した医師シシリー・ソンダースの話は特に深く引き込まれる内容でした。

    柳田氏が文庫化にあたってのまえがきで
    「ただ知識を深めるとか、物知りになるというのとは違う、自分自身の人生にかかわる人間の心の深いところに蠢くものとか、「生と死」の深遠な世界とか、人間の心の形成・発達や成熟に関することとか、そういった事柄について、人から話を聞いたり関連の本を読んだりして、自分なりに咀嚼して考えを深める営みが《学び》である」と記しているけれど、まさにこの本は私にとって多くの《学び》を得られるものでした。
    対談は1985年~2002年のものですが、普遍性に溢れ過去のものであるとまったく感じさせません。

  •  15年前に刊行された本。文庫版で読む。
    1つ1つの談話が濃いため、なかなか咀嚼にきついが、じっくりと読んでいくものなのだろう。すぐに理解する必要もないかもしれない。柳田氏のノンフィクション物はいくつか読んだが、対談集は初めて。新鮮で面白かった。大人こそ絵本、というのがまず印象に残る。

  • 現代は衣食住が満たされているために、青年がもつ悩みがまるで仏や神が扱うような生存レベルの悩みという大きなものになっているというのはなるほどなと思った。

  • 何が幸福か、人生で何が大事かを考えさせてくれる。生きることに精いっぱいの必要が無くなると、こころの問題が出てくる。対談はずいぶん以前だが、全く古びていない。2015.4.4

  • 2人の対談は初めて読んだ。ほとんどが20世紀末に行われている。1話を除いて9.11の前である。しかしながら、21世紀がどういう時代になるのかをお見通しのようである。「心の自然破壊」そういうことが実際に起こってきているのだと思う。先日子どもを連れて少し大きな病院に行った。断続的に微熱が2ヶ月ほど続いた。近所の医院では風邪ですと、3回行っても同じように薬を出すだけだった。何か悪いものが隠れていないかと心配になって訪れた病院だ。血液検査はしてくれた。けれど、どこにも問題はない。こちらはそれで少しは安心するわけだけれど、医者の態度が気に入らない。「こんな微熱くらいでわざわざ来るな」と言わんばかり。こちらが、「藁をもすがる思いで」ということに気付いていない。その医者にとっては3人称の出来事でしかないのだろう。自分の子どもならどう思うのか、どうするのかという発想が欲しい。それは、私自身の仕事についても言えることだ。本書を読みながらそんなことを考えた。
    河合先生がなくなってからもうずいぶん経つのに、こうしてまた新たに(文庫になっただけだけれど)本が出る。そして買って読む。不思議な感じだ。

  • 1985年から2002年の間の柳田邦男と、2007年に亡くなられた河合 隼雄の7つの対談をまとめたもの。

    その時々の話題における話題もあるけども、そこから見える普遍的な内容が面白い。
    当時からも、既に今の状況やこれからの状況について、心を中心にどうあるべきかがなど考えさせられる。

    副題にある「うつ社会」については、特に強調されていない気がするのだけども、なぜに、この副題になったのだろうか?
    むしろ、生きることや心について、そして科学の成すべきことついて多く語られているように感じる。

    『サクリファイスー犠牲』を読んでしばらく経つけども、この対談集でも所々取上げられていて、また読み直したくなった。

    河合 隼雄を「人生の師」と仰ぐ柳田邦男の深い気持ちが感じられる書。

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    【内容(「BOOK」データベースより)】
    二十世紀における科学の進歩と物質的豊かさの広がりは、果たして私たちを本当の意味でしあわせにしたのか? 生と性の問題、死と死後の世界、信仰、たましいの存在……心理学者にして心理療法家であった河合隼雄氏が生前、ノンフィクション作家の柳田邦男氏と縦横無尽の議論を繰り広げ、心の問題をとことん掘り下げた珠玉の対談集。昏迷をきわめる現代だからこそ、胸に沁みる一冊。
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    【目次】
    新潮文庫版刊行にあたって
    はじめに
     「心の問題」を掘りさげあう(河合隼雄)
     追い求めて二十年(柳田邦男)
    第1話 はじめて門をたたく(1985)
    第2話 何が人を幸福にするかを描く(1995)
    第3話 生きにくい子どもの深層を探る(1997)
    第4話 人が死ぬときに迫る(1998)
    第5話 息子の死を見つめて語る(1995)
    第6話 心の環境問題に取り組む(2001)
    第7話 直面している生き方の問題を語りあう(2002)
    文庫版へのあとがき
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  • 身体が疲れていると気がついたときは心も疲れていて、
    心が摩耗してしまって気力のないときは身体の存在を忘れている。
    それでも身体の電気は切れることなく死ぬまで生きるために生きている。
    河合先生は云う
    「死を前提にして人間の一生を見るということを人々は忘れ過ぎているんですね。」
    柳田さんは云う「死を前提としてどう生きるかどういう軌跡を残すか」
    柳田さんの「サクリファイスー犠牲」を読んだときはどれほどに苦しみこれをお書きになったのだろうかと辛くなった。読めば誰でもそうだろう。
    なぜ自分の息子が死ななきゃならないのか― 自死をして脳死して・・・そういう事柄ではなく、子供・自分・家族の歴史の中で、無数の無秩序の星の中からいくつかをつなぎ星座を作っていくように物語を作っていかなければなりませんという、柳田さんの言葉に頷いた。
    人はみな、それぞれの物語が必要でそこからまた自分がどう生きていくか、さまざまな形で見つけたり諦めたり。

    キューブラー・ロスの話がきけて良かった、本当にスッキリした。
    「死ぬ瞬間」で有名な彼女が実際自分の死に臨んでみて、自分の考えを否定しているというニュースに耳を疑ったきり数十年経って、それがいまこの対談(10年前だが)でどういうことかよくわかった。

    「仏教というのは関係性から出発している。 私 というのはない。
    私 はないけれどもあらゆる関係性の中で私が存在しているかのごとく見えると。時々刻々変わっていく中で自分と周囲の人との関係が、いまはこうでもしばらく経ったら別の形になるかもしれない。それでもすべてがずっと関係しながら動いている。」
    河合先生の言葉がすうっと胸に入っていく。
    そうだなあ、明日からもまた・・・そういう気持ちを忘れないように生活していこうと思う。

  • 対談的な本ですが、どちらの意見も共通するところがあり、不快な感じはしませんでした。
    今時の世の中は繊細な人や気づきやすいひとほど生きにくいのです。
    柳田さんの息子さんの話が興味深く、その関係の本を読んでみたいと思いました。
    スーザンバーレイの話も出てきます。

  • ああ、やっぱり河合隼雄さんは、いい。
    今回もいろんなヒントを得た(この本の内容と直接関係することではないのだけれど)。

    特に目的があってこれを選んだわけじゃない。だけど私が論考として温めていること、探していること、先に読んだ大塚英志氏の著書とも上手にクロスして、大きな大きなヒントの贈り物をもらった。そんなかんじ。

    20世紀末頃の時点での考察が多いけど、2010年代の今を十分に言い当てている。

    サブタイトルの「うつ社会」云々は編集者の意向なのかなー。「うつ対策」のノウハウを期待して読むとがっかりするでしょう。

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心の深みへ―「うつ社会」脱出のために (新潮文庫)の作品紹介

二十世紀における科学の進歩と物質的豊かさの広がりは、果たして私たちを本当の意味でしあわせにしたのか?生と性の問題、死と死後の世界、信仰、たましいの存在…心理学者にして心理療法家であった河合隼雄氏が生前、ノンフィクション作家の柳田邦男氏と縦越無尽の議論を繰り広げ、心の問題をとことん掘り下げた珠玉の対談集。昏迷をきわめる現代だからこそ、胸に沁みる一冊。

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