こころの読書教室 (新潮文庫)

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著者 : 河合隼雄
  • 新潮社 (2014年1月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101252339

こころの読書教室 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 臨床心理学者として河合先生は、患者さんが直っていく過程はその人のならではの”物語”を自ら獲得していくことであり、医者は隣で話を聞いているだけだと述べられていた。

    本書は児童文学から学術書まで、多くの書物を通じて人の心の働きを読み伝えようとしたもの。優れた文学作品が人の心の深い動きに触発され、登場する人物の”物語”を伝えるのであれば、そこに人の心の働きを読み解く鍵が存在しているはず。

    我々が通常生活の中で意識できる自我、その背後に存在する無意識の領域(エス)、この総体として人の心がある。心の扉の向こう側の無意識の世界は、時に開かれた扉から顔を出す。夢の中で無意識に自覚される事象に、心の奥深くの世界を求めたのは、ユング、フロイトをはじめとする心理学者でした。

    心理学の前提なしに描かれた文学作品が、奇しくも実際の患者と類似点が見られるというところは大変面白い。

    紹介される書籍を読んでいなくとも、河合先生の平易な語り口調から、いかに人の心の深い部分と関連しているのか良く伝わってきます。このような視点から未読の本を深く味わうのもまた別の楽しみでしょう。

  • 臨床心理学者河合隼雄のすすめる本は、どんなのかと読んでみた。
    それぞれの本を、ユング心理学から解き明かす手法に、未読ばかりか既読の本も、再度読んでみたくなる。
    意外と、童話、児童文学関係の本が多いことを、面白く思った。
    「現在はあまりにもわれわれの生活が満たされてきたので、かえって皆、心の中のことに捕まえられることがおおくなってきた。」
    「現代人は下手すると畏れかしこむということができない人が多いですね。」等々、
    河合先生の、箴言が心に響く。

  • 河合隼雄さんの読書に関する講演を文字に起こしたもの。河合隼雄という名前は村上春樹関連でちらちら聞いたことがあるだけで正直何故この本を購入したのかも思い出せないんだけど、思いのほか実り多い読書となった。河合隼雄さんは臨床心理学者であり、ユング派学者であり、臨床経験も豊富。タイトルだけ聞いたらありがちな自己啓発系読書本なのだが、文字通り、「こころ」の働きから本を読み解こうというテーマ。つまり、「自我」「エス」「アニマ」「悪」とか。いろいろ。中でも第一章「私とそれ」、第三章「内なる異性」の夏目漱石の、異性、魂についてとか、すごく目から鱗でした。自分がこれまで本を読んできて、何に引っかかりを覚えていたのかが明確になった。

  • 凄く良い本でした。

    河合隼雄さんは臨床心理学で専門的なイメージがあってなかなか手がでませんでしたが、タイトルが「心の読書教室」ということで読書が関わっているなら私も楽しく読めるかもと思って読みました。

    文章は話し口調で凄く分かりやすい文章です。
    隼雄さんが関西の方で関西弁なので、関東の方はしっくりくるのか分かりませんが私はすんなりと読むことができました。

    読むだけでセラピーを受けているような少しづつ心の重さが軽くなってきて、本当に本当に不思議な本です。

    大して、心理的なことが書いてあるわけではないのですがどこかほっとする、難しく考えなくてもいいやーというような優しく面白く軽い雰囲気がありました。

    村上春樹が好きな方には是非よんでほしいと思います!
    心理的な見方で村上春樹作品を読んでみたいと思いました。

  • 表紙の笑顔で星5つ・・・

    河合先生がお勧めする本のなかに、
    子どものころに読んだ本があり、あ・・・中学生の時に読んだ・・・と思いだしたことに軽いめまいが(笑)いったい何十年前でしょうか。
    お勧めの20冊の中で、何冊読んだかなと数えてみたら
    12冊読んでいた。
    河合先生のこの20冊を、読んだものも含めて全部読んでみるのも楽しそうだな。

    トムは真夜中の庭で の本を説明しているとき引用した部分があって、おばあちゃんが寝ているだけでも、孫にとっては心の深いところで成長の役に立っている、と河合先生は仰っていた。
    他の本でも、人間生きているだけでそれだけで凄いことなのですと仰っていて、つくづくそうだなあと思うし、尊敬する河合先生が仰っていたこと、そのことがとても嬉しい。
    何年経っても嬉しい。

  • 祝復刊・文庫化!

    新潮社のPR
    「一冊の本を端から端まで読むと、何かを「知る」以上の体験ができる……物語を手がかりに人間の心の深層を見つめ、鋭い考察を重ねた臨床心理学者河合隼雄。豊かな読書体験をもとに、カフカ、ドストエフスキー、ユングから村上春樹、吉本ばなな、児童文学や絵本まで、「深くて面白い本」二十冊を読み解き、心の深層に迫る。縦横無尽に語り下した晩年の貴重な書。『心の扉を開く』改題。 」
    岩波書店のPR(単行本)
    「著者にとってのとっておきの本を丁寧に紹介し、書物を読むことの面白さ、楽しさをやさしく語った読書入門。本を読んで感動するという体験の大切さを説き、そうした感銘を与える本の隠された秘密を読み解くとともに、人生の糧となる本との出合い方について手ほどきする。人間理解を深めると同時に、人生を豊かにする喚起力ある1冊。」

  • 河合隼雄が4つのテーマに即して選んだ本、数冊を解説しながら、それを基にして人間の心のことを考えるという本。講演なので、各章の最後に質疑があり、理解が深まる。

    それぞれの章の冒頭に、「まず読んでほしい本」数冊と、「もっと読んでみたい人のために」数冊があげられる。

    小説、心理学、宗教学、児童文学、絵本・・・と幅広い。
    「読まな、損やでぇ」という。

    Ⅰ 私と“それ”
     山田太一「遠くの声をさがして」・・・幻聴
     ドストエフスキー「二重身」・・・もう一人の自分が見える
     カフカ「変身」・・・引きこもりのような
     バーネット「秘密の花園」・・「人間はみな心の中に庭を持っている」

    Ⅱ 心の深み
     村上春樹「アフターダーク」・・・無意識の世界
     遠藤周作「スキャンダル」・・・聖人君子のような人の二重身のような二重人格のようなまわりの人の集団ヒステリーのような
     山口昌男「道化の民族学」・・・トリックスターの重要性
     吉本ばなな「ハゴロモ」・・・
     センダック「かいじゅうたちのいるところ」・・・これもなかなか味のある絵本。少年が凄い世界に行って、戻ってくると、温かいご飯がそのまま残っている・・・日常の世界

    Ⅲ 内なる異性・・・「心の中に異性がいる」ユング
     漱石「それから」・・・東洋的な男女と西洋的な男女
     シェイクスピア「ロミオとジュリエット」・・・ジュリエットは14歳だった! 
     桑原博史「とりかえばや物語全訳注」・・・男と女が入れ替わる
     エマ・ユング「内なる異性――アニムスとアニマ」・・・理想的男性像、理想的女性像・・・二人の男女には2人分の男と二人分の女がいる・・・なので話がややこしくなる。 
     村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」・・・現代人の魂の問題
     安部公房「砂の女」・・・凄い女性像

    Ⅳ 心――おのれを超えるもの 
     ユング「ユング自伝――思い出・夢・思想」・・・ユングの深い体験 
     大江健三郎「人生の親戚」・・・自己実現の悲しみ
     白洲正子「明恵上人」 ・・・明恵は河合隼雄の日本における師 
     茂木健一郎「脳と仮想」・・・イマジネーションは近代科学を超える

  • 本著は本紹介では感じない、深さ・曖昧さを持った本だと感じました。
    心の深層心理を物語の中で読み解く 河合氏は、言葉の深さ・心に残る感情を感じさせてくれる言葉が多いです。

    この世界は「クロ/シロ 正義/悪」など
    二分法で決めがちであり、その方が世間受けが良く受け入れやすいです。
    ただ、人自体が曖昧で不完全な存在だからこそ、はっきりと分けられない感情や思いを持っています。
    それと向き合うことは精神的な辛さ・面倒さがあるために避けがちになります。


    向き合う
    間を置く
    別の角度から見てみる
    逃げるetc
    大きな価値転換を行うため、内面的に大きな変化を起こします。
    変化を伴うことで、人が成長し、時には崩れる可能性を孕んでいることを書かれていました。
    「トムは真夜中の庭で、ジョナコンダ夫人の肖像、あのころはフリードリヒがいた」など示唆深いものは期間を置いて再読したいです。

  • この世にある無数の本の中から、私たちの『こころ』を開いてくれそうな本を
    臨床心理学者の故・河合隼雄氏がオススメとして紹介し、登場人物たちの
    心の動きを解説してくれる一冊。

    非常に読みやすいです。
    当時行われた講演の語り口を出来るだけ残して文章化されているので、
    河合先生の人柄が文章からにじみ出てくるよう。
    まえがきで息子にあたる河合俊雄氏が言っておられるように、
    語り部として非常に優れた方だったのだということを改めて感じさせられる。
    もっともっと多くの言葉・物語りを残してくださったら良かったのにと思う。

    心理を本当に学ぶための本ではないので、そういった学問的な要素を
    強く求める方は専門書を読まれる方がストレートで良いかと思います。
    これはあくまでも、こころと本を結ぶための一冊。
    自分のこころを開いていく作業の入り口に立った時に読む本です。

  • 同僚の先生からお借りして。
    エマ・ユングの本を読んでみようと思いました。

    わたしは、めったに人を好きになりません。
    「この人しかいない!」みたいに思うことも未だかつてない。これからもないと思う。


    何気ない道を、一人で歩いていて、気づいたら、同じ方向に歩く人がいて、いつの間にか人が二人、三人、って増えていて、気が付いたら、そのうちの一人と手をつないでいた。

    私が人を好きになる感覚は、こんな感じに近い。

    手、繋いでみたけどさ、とりあえずもう少し、このまま歩いて行こうか。(それはいつか離す可能性があることをお互いよく分かってる)

    やっぱりちょっと、距離があった方がいいかもね。離れてみようか。

    みたいなね。緩いつながりの中で、ただ向かう方向だけはお互いちゃんとわかっている。

    言えるのは、そのことと、

    私が手を伸ばしたら、繋ぎ返せるだけの距離にいる人、

    ってことだと思われる。


     
    人は、心と体のほかに、魂と呼ばれる存在のものがあるらしい、とこの本には書いてありました。

    魂のつながりって、とても大事なんだそうです。


    そのことは、わたしも「そうだろうなぁ」って思いながら読みました。


    でもきっと、今現在「この世」に生きているのであれば、
    わたしは「心と体」がきちんと向かい合う距離感というものも大事だよって、

    この本言ってると思いました。

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こころの読書教室 (新潮文庫)の作品紹介

一冊の本を端から端まで読むと、何かを「知る」以上の体験ができる……物語を手がかりに人間の心の深層を見つめ、鋭い考察を重ねた臨床心理学者河合隼雄。豊かな読書体験をもとに、カフカ、ドストエフスキー、ユングから村上春樹、吉本ばなな、児童文学や絵本まで、「深くて面白い本」二十冊を読み解き、心の深層に迫る。縦横無尽に語り下(おろ)した晩年の貴重な書。『心の扉を開く』改題。

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